中島情報文化研究所は、大手企業およびITベンダ11社の協力を得て、独立行政法人国立高等専門学校機構・東京工業高等専門学校に対象に、現役の企業人による無償授業を開始する。

実際の企業人を講師とし、「社会とITとのかかわり」「企業の中でのIT利用の実態とこれからの利用施策」など、社会や企業におけるITの生きた活用をメインテーマに授業を企画/実施するもので、「従来の技術論に偏重した授業内容のなかに、不足していた現場のIT部門の声や、先進ITベンダの動向などを反映させた授業を拡充するとともに、社会、企業のニーズをいち早く取り入れることで、教育環境の改革や教職員の意識改革などにもつながる」(中島情報文化研究所)としている。

講座開設や実施に伴う費用はすべて各企業が無償で行い、さらに授業内容は、PRやリクルート色を極力押さえるという。企業にとっては、次世代の技術者育成を通じた社会貢献という役割が中心になるという。

協力企業は、EMCジャパン、本田技研工業、ベネッセコーポレーション、ティージー情報ネットワーク、新日鉄ソリューションズ、エンプレックス、日本ビジネスオブジェクツ、K・ビジネスサポート、鹿島建設、ジェイティービー情報システム、セイコーエプソンの11社。

一部授業は、10月から開始しており、12月から正式にスタートする。

国立東京工業高等専門学校では、2年前から八王子市内の先端的中小企業の社長を毎年数名ずつ講師に迎え、特別授業を実施してきたが、「全国的に展開する企業の幹部による特別授業により、これまでにない授業を企画/推進し、学校、学生、そして企業にも魅力あるものにしたい」(同校・水谷惟恭校長)としている。

中島情報文化研究所では、今回の成果を踏まえて、東京地区以外の教育機関での展開を検討するという。

中島情報文化研究所は、日経BP社編集委員、MM総研所長を務める中島洋氏が設立。大学やIT調査会社での研究調査のノウハウや、中島氏のジャーナリストとしての知見や豊富な人脈から、各種機関と連携して、インターネットや情報科学分野の調査、市場開拓、事業開発などの支援事業を行っている。