ICT教育と社会事情

ブラジルで私立学校の運営に携わるEduardo Chaves氏

ここでSOFのメディアブリーフィングで紹介されたブラジルの教育におけるICT導入事情について紹介しよう。同国で学校運営に携わるEduardo Chaves氏は、教育システムの変化が求められる背景として人口問題を挙げた。ブラジルの人口は、過去わずか35年間で9千万人からその倍の1億8千万人にまで膨れ上がっている。「その大半は若年層で構成」されており、教育人口の拡大に対応する教育システムが求められているという。

Chaves氏が関わるルビアという学校は私立校。90%を公立校が占める中央集権的な教育システムをとる同国では、試験的な取り組みが行える数少ない教育機関だ。ここでは「決まったコンテンツをただ生徒に教え込んでゆく公立の学校とは違い、生徒が将来社会で成功していくために必要なスキルの習得(自信やコミュニケーションスキルなど)に重点を置いている」(Chaves氏) 授業はプレゼンテーションや実験を中心に、生徒が主体的に学んでゆく学習環境を作っているという。その環境作りは、同校が「Innovative Schools Program(ISP)」指定校となってから実施されてきた。

ISPは、マイクロソフトの教育プロジェクトの一環で、世界各国から選ばれた12校にテクノロジーの導入などを行うもの。同校ではISP参加から半年でPCが50台に増えたほか、様々なICT機材の提供を受けた。ただし、こうした教育環境が整えられる学校はまだわずか。Chaves氏は、「我々にとっての本当の挑戦は、今ここで小規模に行われている教育変革の取り組みを実際の社会(公立学校)にどう拡げてゆくのかということになる」と語る。

Innovative Schools Program(ISP)参加校を選択する基準
1. 今後2年間、どのようなヴィジョンを持ってプロジェクトに携わりたいかがはっきりしていること。
2. 実際にテクノロジーを21世紀の教育にどう組み込んで行くか計画していくこと。
3. ひとりの熱意ある教師がいるだけでなく、複数の教師や教育関係者、学校またコミュニティ全体が、この教育変革に前向きに取り組める環境であること。
4. 2年後にマイクロソフトがプロジェクトに関わらなくなっても、その取り組みが維持されてゆくこと。