中国のポータルサイト奇虎網はこのほど、奇虎網を傘下におく北京三際無限網絡科技が、北京阿里巴巴を相手取り、不当競争防止法違反で訴えた裁判が結審したと発表した。奇虎網によると、裁判所は阿里巴巴に対し、奇虎網への8万人民元の賠償と、公式サイトにおいて連続7日間にわたる謝罪文の掲載を命じた。

裁判所は、阿里巴巴傘下の「雅虎助手(Yahoo助手)」が、何の説明や注意喚起もないまま、奇虎網の「奇虎360度安全衛士(奇虎360)」のインストールを阻んだり、ユーザーの「削除しない」というコマンドを無視し、強制的に奇虎360を削除したりしたことが不当競争行為に当たると認定したという。また、雅虎助手がユーザーのPCにインストールされた奇虎360を遮断したことを事実であると認定したという。

奇虎360は、悪意のあるソフトウェア、ウイルスなどを除去するセキュリティソフトで、ユーザーは無料でダウンロードできる。昨年11月、奇虎360は暴風影音などと「バンドル販売を拒否する悪意のあるソフトウェアのリスト」を公表。このなかで、雅虎助手は第4位にリストアップされており、このことからも、奇虎360と雅虎助手はライバル関係にあることが見て取れる。

同様のソフトウェアをめぐる企業同士の訴訟はこれまでにも数件あったが、関連法の欠如などもあり、提訴した側が勝訴したケースはこれまでなかった。奇虎網の勝訴は、関係企業が同様のソフトウェア開発企業を訴える裁判としては初のケースで、奇虎網は「今後多発する可能性がある類似裁判にとっても大きな意義がある」と強調している。

掲示板のコメントなどでは、この判決を支持している一般ユーザーは多い。こうした状況を見ると、悪意のあるソフトウェアに対する反感と、これを除去するセキュリティソフトに対する好感が読み取れる。

注: 本稿における「悪意のあるソフトウェア」はウイルスなどのマルウェアのことではなく、悪質なシェアウェアやアドウェアのことを指している。中国では「ならず者ソフトウェア」「悪意のソフトウェア」などと呼ばれ、問題視されている。