INSUITE Enterpriseをひとことで表現すると、「企業情報ポータルの機能を備えたグループウェアであり、ナレッジベースである」ということになります。企業内に膨大に存在する非定形な情報やコミュニケーションを1カ所に集約し、使い勝手よく活用できるようにするのが根本的な機能です。

企業情報ポータル、グループウェア、ナレッジマネジメントの機能を一体で実現することで、メール偏重のワークスタイルから脱却し、必要な人に必要な情報を自動的に伝え、リアルタイムで情報を共有/活用することができます。また、統合されたユーザーマスターとシングルサインオン機能を備えた情報共有基盤として、Webアプリケーションやデータベースのポートレット化により、非定形業務を包括してサポートするビジネスコックピットを実現可能です。すべての機能は、人をサポートし、人のパフォーマンスを最大化することを念頭に提供しています。

「INSUITE Enterprise」のポータル画面。使い勝手とセキュリティ双方の向上が図られている。「セキュリティ面では、ユーザーごとにきめ細かな権限付与ができるようになっているほか、情報の所有権を持つユーザーが、情報のエントリごとに誰に対して情報を公開するかを簡単なインタフェースでその場で設定できる。使い勝手を考え、あらかじめ設定されたデフォルト設定が常に適用されるほか、毎回異なる個別設定も容易にできる」(山本社長)

ポートレット生成画面。プログラミングスキルがなくても、必要な情報をフォームに入力するだけで簡単にポートレットが作成できる

内部統制は、システムを入れたら実現可能といった類のものではありません。「企業文化」を定着させ、仕組みをまわしていくためには、内部統制の基本要素の頂点にある統制環境をまず強化しなければなりません。そのために、私たちドリーム・アーツでは、INSUITE Enterpriseを使って、非定型業務の強化を支援しています。

「性悪説」にとらわれない内部統制をめざして - インタビューを終えて

企業内でポータルやグループウェアを利用してコラボレーションの質を高める、という話は、業界のトレンドとしてはすでに旧聞に属するテーマで、最新トレンドとは言えなくなっている。しかし、ドリーム・アーツの話を聞くと、まだまだ実際の業務現場ではポータルやグループウェアの活用も充分なレベルに達しているわけではないことが伝わってくる。IT業界では次々新技術が生まれ、注目を集めるが、ユーザーが常に最新技術を追い続ける必要があるわけではない。問題点と解決策を冷静に検討し、必要な対応を確実に行なっていくことが何より重要なことだろう。

また、内部統制に関しても、結局は社員個々の意識を高め、価値観を共有できるようにしていくことが重要との指摘は示唆に富むものだ。内部統制の議論では、ともすれば性悪説に立って不正ができないシステムを構築することに意識が向きがちなのだが、どれほど手を尽くしても抜け道を完全に塞ぐことはできないだろう。繰り返されるイタチごっこの果てに悪循環に疲れ果てる、という結末も容易に想像できる。

一方で、個々人間の有意義なコミュニケーションを支援していくことで意識の変革を促し、組織全体の底上げを図っていくというのは、間接的なアプローチであり、即効性は期待できないかもしれないが、遠回りではあってもむしろ王道的な真っ当なやり方だという印象を受ける。当然、二者択一ではなく、両方のアプローチを組み合わせてそれぞれの組織にあったシステムを作り上げていく必要があるのだが、従来のあまりに性悪説に傾きすぎた議論を見直し、冷静に考え直してみるきっかけとして、傾聴に値する意見であると思われる。