電気自動車(BEV)に近い静粛性や滑らかさが得られる一方で、充電場所や電欠の心配がないのがプラグインハイブリッド車(PHEV)の魅力だ。
日本で購入できる日本メーカーのPHEVは、トヨタ自動車(レクサス含む)、三菱自動車工業、マツダ、ホンダ(リースのみ)が販売しており、ボディタイプとしては人気のSUVがメインとなっている。
その中でも、「マルチパスウェイ」を掲げるトヨタのラインアップの充実ぶりはさすがで、セダンの「プリウス」、スポーツ&エステートの「クラウン」、SUVの「RAV4/ハリアー」、高級ミニバンの「アルファード/ヴェルファイア」(アル/ヴェル)とさまざまなタイプのPHEVを用意している。
今回はアルファード/ヴェルファイアのPHEVに試乗して、ミニバンとPHEVの相性はどうなのかを確かめてみた。
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豪華さのアルファード、力強さのヴェルファイア
2台並んだアル/ヴェルは、どちらも最上位グレードの「エグゼクティブ ラウンジ」。PHEVは同グレードのみの設定だ。
まずエクステリアは、あのギラリ輝く格子状のメッキグリルで豪華さをアピールするアルファードに対して、ヴェルファイアは力強くシンプルな横基調のブラックメッキグリルを装着。先代ではヴェルファイアの方がよりアピール度の強いギラギラ顔だったのが、現行では逆転しているように見えるのがちょっと面白い。
フロントウインドーのキックアップ部分には、それぞれのエンブレムが刻まれている。
リアのコンビネーションランプはアルファードが格子状の3Dタイプ、ヴェルファイアはスポーティーな2眼タイプになっている。
シルバースパッタリング塗装の19インチアルミホイールとダンロップタイヤ(サイズ:225/55R19)の組み合わせ、リアの「エグゼクティブ ラウンジ」「PHEV E-Four」エンブレム、右リアフェンダーに備える充電ポートなどは両車共通の意匠。今回のボディカラーはアルファードが専用色の「プレシャスレオブロンド」、ヴェルファイアが「ブラック」だ。
インテリアの基本的なデザインは両者共通。アルファードはニュートラルベージュカラーのレザーやファブリックが基本となり、明るく華やかで、かつ落ち着いたラグジュアリーな空間を演出している。
一方のアルファードは赤茶の「サンセットブラウン」とブラックの組み合わせで、エクステリア同様にシックで力強い印象で仕上げられている。
PHEVシステムに違いはある?
搭載するパワートレインは両モデル共通。筒内噴射とポート噴射を併用するD4システム採用の自然吸気 2.5L直列4気筒ガソリンエンジン(最高出力177PS/最大トルク219Nm)にフロントモーター(182PS/270Nm)、リアモーター(54PS/121Nm)を組み合わせたE-Fourプラグインハイブリッドシステムだ。システム最高出力は306PSを発揮する。ちなみに、これは同社の「クラウン」が搭載するPHEVシステムと同じものだ。CVTを介して4輪を駆動し、全長4,995mm、全幅1,850mm、全高1,945mm、ホイールベース3,000mm、車重2490kgという大きな“箱”を動かすのである。
床下に積む駆動用リチウムイオンバッテリーの容量は18.1kWh。50kWの急速充電器を使用すれば、80%までの充電時間は38分だ。WLTCモードのハイブリッド燃費は16.7km/L。47Lの燃料タンクから算出すると、航続距離は約785kmということになる。フル充電なら、電気だけで73kmを走行可能(より小さくて400kgも軽いクラウンなら約90km)だという。
近年は航続距離が700kmを超えるBEVも登場してきているけれども、ガソリンさえ補給できればストップしてしまう心配がないというPHEVの(特に心理面での)メリットは、とっても心強いのだ。
乗り心地の違いは?
ここからは乗ってみてのインプレッションだ。
まず、アルファードのドライバーズシートに座ると、細いA1、A2ピラーとボディ前方の高い位置に視線を置くという視界の良さを感じることができた。都内の一般道を走り出すと、視界の良さをいかして、混雑して周りをクルマに囲まれた状況でも不安を感じることなく、大柄なボディを思い通りに操ることができる。場所によるけれども、信号待ちの時間までバーグラフで表示されるので、イライラさせられることもない。
本杢のステアリングの操作感は軽く、14インチの大画面HDディスプレイオーディオに表示される鮮明なナビ画面を見ながら(注視はダメ)の走行は、本当に快適だ。
PHEV専用となるウルトラスエード張りのルーフやベージュを基調とした室内は明るく、足回りの設定はソフトタッチだ。それならば、ということで、エグゼクティブラウンジらしさを味わうために2列目に移ると、そこは「ゲストが一番」を堪能できる場所。前後スライド、リクライニング、オットマン、マッサージなどの各種機能がシート横のスイッチや取り外し可能なリモコン、ルーフパネルなどを使ってフルパワーで調整できるので、極めて快適な移動時間を堪能できる。VIPであっても家族であっても、一度ここを味わってしまうと、もう元には戻れない。それほど魅力的なシートのあつらえになっていることがわかった。
一方のヴェルファイアは、車内のレイアウトや機能はアルファードと同じとしながら、走り出した瞬間にその性格の違いをドライバーに伝えてくる。すなわち、フロント部分(ラジエーターサポート部とサイドメンバーをつなぐ部分)に専用の補強パーツであるパフォーマンスブレースを追加するとともに、サスペンションの味付けが硬めにセッティングしてあるので、一気にキビキビ感が増していることに気がつくのだ。
表示されるメーター形状はアルファードより丸型を強調したスポーティーなグラフィックになり、バッテリーを床下に配した低重心や、ハイパワー化による0-100km/h加速7.1秒という俊足をいかしたレスポンスの良い走りを味わいたいなら、迷わずヴェルファイアを選んだ方が良い。
アルファードは同乗者に加減速のGをなるべく感じさせないような巧妙かつ滑らかなセッテイングが施されているので、後席の乗員をより大切にしたいのならコチラになる。
まあ、予想通りの結果といえばそうなのだが、同じPHEVをパワートレインとする高級ミニバンであっても、性格の違いのある2台を設定し、選ぶ楽しさまで創出しているのはさすがトヨタ。どちらも税込みで1,000万円を超えるプライスタグを掲げているのだが(ヴェルファイアの方が20万円ほど高い)、結構な勢いで売れているという事実もまたすごいことである。















































