AdMob買収完了の道筋が見えてきたGoogle CEOのEric Schmidt氏(Google I/Oにて)

米連邦取引委員会(FTC)は5月21日(現地時間)、同委員会が数週間にわたって続けていた米Googleによる米AdMob買収に関する調査について、問題なしとする声明を発表した。これにより、長らくペンディング状態にあったGoogleによるAdMob買収がようやく進展することとなった。

調査段階におけるFTCの懸念は、すでにインターネット広告市場で独占的ポジションを築きつつあるGoogleが、AdMob買収によりモバイル広告でも同様の地位を築くかという点だった。モバイル広告の世界ではリーディングカンパニーと呼べるAdMobだが、まだ市場自体は極小で、さまざまなベンダが成長が待望される市場のシェア獲得を狙って参入を続けている。

FTCによれば、現在のこの市場を牽引しているのはiPhoneであり、やがてはiPhoneとAndroidの2つのプラットフォームが中心に位置することになると分析する。だがAppleはすでにQuattro Wireless買収で広告プラットフォーム「iAd」を発表し、AdMobなどのサードパーティ製プラットフォームの排除に動いており、AdMob自体の競争力が脅かされつつある。FTCが最終的に買収にゴーサインを出したのは、こうしたAppleとの競合が決め手だったようだ。米Google会長兼CEOのEric Schmidt氏は調査が長引いたことを受け、同様の見解を出してFTCを牽制していた。

これにより買収完了に向けた道筋が見えたところだが、一方でiPhoneでの勢力拡大の道はほぼ閉ざされたため、モバイル広告市場はiPhone vs. Androidという形でプラットフォームどうしでの戦いへと舞台が移りつつある。Androidはここ半年ほどで急速にシェアを伸ばしており、どれだけユーザーやパートナーを取り込めるかに勝負の行方がかかっている。