シンクにつく水垢汚れの原因
シンクの水垢の原因は、水道水に含まれるミネラル成分と石鹸カスです。ミネラル成分や石鹸カスとは何なのか、何故この2つが水垢の原因になるのか、水垢発生までのメカニズムを解説します。
ミネラル成分
水道水にはマグネシウムやカルシウムといったミネラル成分が含まれます。シンクの水が蒸発する時、ミネラル成分は蒸発せずに残ります。その残ったものがミネラルによる水垢です。水道水を流したあと、水気を拭き取らず放置しておくことが発生の原因です。水だけが乾いてミネラル成分が残ることを繰り返し、白く頑固な水垢になります。
地域により水道水に含まれるミネラルの量には差があります。関東の水道水はミネラル成分を多く含んでいるため、その地域に住んでいる方はミネラルによる水垢に注意が必要です。
石鹸カス
石鹸やハンドソープに含まれる油分と、シンクに残ったミネラル成分が反応すると石鹼カスになります。ミネラル成分と石鹸カスが合わさると、白くザラザラとした水垢になります。アルカリ性の性質を持つ石鹸カスが原因の水垢は、こすっただけでは落とせない頑固な汚れに分類されます。
シンクの水垢の掃除方法
水垢は蓄積すると、こする程度では中々落とせません。ここでは水垢を効果的にに落とすことができる、クエン酸とメラミンスポンジを使った掃除方法を紹介します。
クエン酸水スプレーを使用する
簡単な汚れなら食器用洗剤でも落とせますが、頑固な水垢汚れにはクエン酸水スプレーがおすすめです。水垢は基本的にアルカリ性なので、酸性のクエン酸がよく効きます。蓄積した水垢は、こするだけでは落とせません。アルカリ性の汚れにクエン酸をかけると中和するため、水垢汚れを浮かせることができます。
クエン酸水スプレーの作り方
水200mlを入れたスプレーボトルに、小さじ1杯のクエン酸を溶かしよく混ぜます。シンクの気になる水垢部分にクエン酸水スプレーをかけてください。シンクの側面にある水垢の場合、スプレーをかけてもクエン酸水が下に垂れてしまいます。
液垂れを防ぎたい場所には、クエン酸水を染み込ませたキッチンペーパーをシンク側面に貼ってください。クエン酸水をかけたあと、約30分放置すると汚れが浮きます。頑固な水垢の場合は2時間程放置すると効果的です。放置したあとはスポンジなどでこすって水垢を落とします。
クエン酸を使用する際の注意点
酸性のクエン酸は、塩素と反応すると有害なガスが発生します。クエン酸を使用する時は塩素系の漂白剤などと一緒に使わないでください。クエン酸水を使用する時は、ゴム手袋やビニール手袋をしましょう。クエン酸は酸性なので、肌にダメージを与えます。よくクエン酸は肌にいいと聞きますが、それは食用のクエン酸のことです。掃除用のクエン酸は肌に少なからず悪影響を及ぼすので、素手での使用は避けましょう。
また大理石のシンクにはクエン酸は使えません。大理石には天然と人工の2種類がありますが、どちらも酸性の洗剤で変色します。一度変色してしまうと二度と元には戻りません。
メラミンスポンジを使う
上記で説明したクエン酸水スプレーに加え、メラミンスポンジを使用すると更に効率良く水垢を落とせます。メラミンスポンジは水をたっぷりつけて使用してください。十分に濡らすとスポンジに汚れがつきやすくなります。目安はスポンジから少し水が滴る程度です。
使用中にキシキシと音がなったら水分を補充するサインです。メラミンスポンジの研磨力で手が傷つく可能性があるため、使用の際はゴム手袋などを着用しましょう。
メラミンスポンジの注意点
メラミンスポンジは、単体ではシンクの掃除に向きません。メラミンスポンジは研磨剤と同じです。単体で使うとかなり強い力でこすらないと汚れが落ちないので、研磨力でシンクが傷ついてしまいます。シンクの掃除に使う時はクエン酸などと併用しましょう。
メラミンスポンジは塩素と相性が悪いです。メラミン樹脂でできたスポンジのため、塩素と反応するとメラミンが溶けます。そのため塩素が含まれている洗剤との併用は避けてください。
シンクの水垢を防止する方法
水垢がつくのを防止できれば、頻繁に掃除する必要はなくなります。どうすれば水垢がつかなくなるのか、その方法を解説します。
定期的に掃除する
キッチンシンクは毎日使用する場所なので水垢を防ぐことは難しいですが、水垢が頑固な汚れになる前に掃除をしてしまえば苦労しません。例えば毎晩使用後には水を切り、乾拭きをする。たったこれだけでも水垢は付きづらくなります。
2、3日に1回ほどを目安に食器用洗剤で気になる部分を洗うことで清潔な状態を保てます。掃除頻度を増やすと大変に感じますが毎回数分を意識して簡単な掃除をするのがおすすめです。
水気を取り除く
水垢発生の主な原因は、シンクの水気を放置することです。石鹸カスが原因の水垢も、水道水に含まれるミネラル成分により発生します。シンクの水気をふきんなどで拭き、取り除くことで大半の水垢は防止できます。水気を取る道具として、一度に多くの水分を吸収できるマイクロファイバークロスがおすすめです。
コーティング剤を使用する
シンクにコーティング剤を塗布すると、水垢などがつきにくくなります。コーティング剤はシンクの汚れを防止するだけでなく、シンクの表面を保護する役割も持っています。シンクには目に見えない凹凸がありますが、コーティング剤を使うと凹凸が埋まり滑らかになります。シンクの表面がつるつるになると、水垢などの汚れが付着しにくくなります。水垢の予防には、撥水性のあるコーティング剤がおすすめです。撥水性が高いと水気を取るのも楽になります。
シンクのコーティング剤は大きく分けて2種類あります。簡単にコーティングでき効果が短いスプレータイプと、コーティングが少し大変ですが効果が長い塗布タイプがあります。スプレータイプの効果期間は約1ヶ月です。塗布タイプの効果期間は1〜4年と、コーティング剤の種類により差があります。同じスプレータイプや塗布タイプのコーティング剤でも、水まわり全てに使えるものからシンク専用までさまざまです。塗布タイプの中には塗るのにコツが要る製品もあるので、購入前に使用法をよく確認しましょう。
コーティング剤の使用方法
水まわりのコーティングは、自分で行う方法と業者に依頼する方法があります。自分で行う場合は、コーティングの前にコーティング予定の場所を徹底的に掃除する必要があります。コーティング剤はニスのようなものなので、水垢などが残っていると汚れを閉じ込めてしまい汚れがそのままになります。コーティング時点のシンクの状態が維持されるため、できるだけシンクをピカピカに磨きましょう。
塗り方は使用するコーティング剤の説明書に従ってください。塗る際のポイントは、同じ箇所を重ね塗りせず、全体に薄く伸ばすように塗布することです。ムラにならないよう一定方向にコーティングしましょう。手にコーティング剤がつくと肌が荒れる可能性があるので、手袋をして作業するようにしてください。コーティング後は自然乾燥が必要で、乾燥時間は製品により違います。塗布対応の製品の場合は乾燥時間の平均は4〜5時間、スプレータイプの乾燥時間は30分ほどです。
コーティング剤を使用する際の注意点
シンクが濡れていたり、湿気があるとコーティング剤がきちんとつかず効果が薄れます。掃除後シンクを乾燥させ、部屋の湿度は85%以下にしてコーティングしましょう。シンクの表面温度が5℃以下の場合もコーティング剤がつきにくくなるので、部屋の温度は25℃以上にして作業してください。
コーティング剤は薬剤臭があるうえ、体に有害な物質が含まれています。特にスプレータイプはコーティング剤を吸い込んでしまう可能性が高いので、必ず換気をし、マスクをしながら作業しましょう。施工後は自然乾燥が必要なので、コーティング後も換気を続けることをおすすめします。乾燥時間を早めるためにドライヤーなどで乾かすと、急激な温度の変化によりムラができる可能性が高くなります。どうしても早く乾かしたい場合は、扇風機などを遠くから当てましょう。弱い風がわずかにシンクに当たる程度に調整してください。
コーティング剤を使用したあとのシンクには、メラミンスポンジなどの研磨成分のあるものは使えません。研磨力によりコーティングが剥がれてしまい、効力が少なくなるからです。アルカリ性の洗剤とも相性が悪く、コーティング面を傷つけてしまいます。塩素系漂白剤などを使用するとコーティング効果が薄まるので注意しましょう。
シンクを掃除する際のポイント
水垢以外にも、シンクには汚れが存在します。これまでステンレスのシンクの掃除について解説しましたが、ここでは大理石のシンクの掃除方法も紹介します。
油汚れには重曹を使用する
食器や調理に使ったフライパンを洗ったりするシンクでは、油汚れはつきものです。油汚れには酸性のクエン酸より、アルカリ性の重曹が適しています。なぜなら油汚れは酸性だからです。重曹の粒子には研磨成分が含まれているため、メラミンスポンジのような役割も果たせます。
重曹を粉のまま使う掃除法
重曹を粉のままシンクに振りかけることで、油分が重曹に吸収されます。油汚れが気になる部分にかけて15分ほど放置したあと、重曹ごとスポンジなどでこすり油分を取り除きます。力強くこすると重曹の研磨成分でシンクが傷つくため、優しい力でこすってください。掃除のあとはシンクを水で流します。重曹は水に溶けにくいので、多めの水で洗い流してください。
重曹を水に溶かして使用する方法
蛇口やシンク側面の油汚れには、重曹を溶かしスプレーボトルに入れた重曹水での掃除がおすすめです。200mlの水に重曹を小さじ2杯入れて溶かします。この時65℃のお湯で溶かすとアルカリ度が高くなり、掃除の効果も高まります。65℃で溶かすと熱分解が急速に起こり、アルカリ度が上昇します。アルカリ度が上がると肌荒れを起こす確率も上がるため、必ずゴム手袋を着用して掃除してください。
スプレーしても油汚れが落ちない時は重曹を少ない水かお湯で練り、ペースト状にします。ペースト状になった重曹を汚れに塗り、スポンジなどで優しくこすりましょう。
大理石のシンクはお手入れ方法が違う
ここまで解説したのは、シンクがステンレスの場合のお手入れ方法です。大理石のシンクはステンレス製のシンクとお手入れ方法が異なります。
大理石の掃除に使える洗剤
酸性に弱い大理石にはクエン酸が使用できないと上記で解説しましたが、大理石はアルカリにも弱いです。アルカリ性や酸性の洗剤をかけると大理石は変色します。洗剤だけでなく果汁や食材のゴミが付着しても変色します。変色した箇所は二度と戻りません。元に戻すためには、業者に依頼し大理石の表面を削ってもらう必要があります。
重曹や塩素系漂白剤はアルカリ性なため、大理石には使用不可です。大理石の掃除に使用できる洗剤は、大理石専用の洗剤か中性洗剤です。
大理石のお手入れの手順
傷つきやすい大理石の掃除は慎重に行う必要があります。まず大理石の表面にあるホコリなどを水で流します。ザラザラしたものがシンクにある状態で掃除すると、摩擦でシンクに傷がつきます。柔らかいスポンジや布を用意し、大理石用の洗剤か中性洗剤で大理石を磨きます。
研磨成分が入っているクリームクレンザーやメラミンスポンジも、軽くこする程度であれば大理石にも使用可能です。クレンザーは研磨成分が強いので使用できません。大理石は研磨剤で傷つきやすい素材です。少しでも研磨力のあるものを使用する時は、必ず力を入れずにこすってください。強い力でこすると、大理石が削れてくすんでしまいます。ただしクリームクレンザーとメラミンスポンジで落とせる汚れは、大理石の表面にある軽い汚れです。軽くこすっても水垢などが落ちない場合は使用を諦めましょう。
毎日使う場所だからこそしっかりとお手入れを
食材を扱う場所であるシンクは、日頃から清潔を保っておく必要性があります。水垢などの汚れが溜まると、そこから菌が繁殖し食中毒になってしまう可能性もあります。キッチンの清潔さをキープするためには、日々のお手入れが大切です。毎日使うシンクだからこそ、しっかりとお手入れしピカピカの状態を保ちましょう。
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