水道管が凍結するのはどんなとき?
冬になると気温が下がり、地域によっては水道管が凍結してしまうことがあります。本項では水道管が凍結する条件や原因を解説します。
- 最低気温が-4℃を下回るとき
- 水道の水抜きをしていないとき
- 風が当たる場所の水道管
最低気温が-4℃を下回るとき
水道管は、外気温が-4℃を下回ると凍結しやすいとされています。真冬日(最高気温が0℃未満の日)が続いたときや、低温注意報が出た夜などは特に注意が必要です。厳しい寒さが続く冬場は、天気予報の最低気温をこまめにチェックするようにしましょう。
また、日本気象協会が発表している「水道凍結指数」も指標になります。水道凍結指数とは、予測気温や風などの気象情報を基に、水道管凍結のリスクを0~100で評価した値です。水道凍結指数が80以上になると、凍結に警戒が必要とされているため参考にしましょう。
水道の水抜きをしていないとき
水道の水抜きをしていない場合も、水道管の凍結リスクが高まります。水抜きとは公共水道から自宅へ分岐している水道管から水を抜く作業です。
一般的に寒冷地では凍結防止のために、水道設備に「水抜き栓」が付いています。水道を使い終わったあとに水抜き栓を閉じると水道本管から来ている水は止まりますが、水道管の中には水が残った状態になります。そこで、蛇口を開いて残った水を放出することで、水道管に水が留まっていない状態にするというのが水抜きの仕組みです。
この水抜きを行わず水が水道管内に残っていると、気温が低い冬場に凍ってしまい水が出なくなってしまいます。さらに、水は凍結すると膨張するため、配管を内側から圧迫して破損や故障につながるおそれもあり危険です。
ただし、寒冷地以外では水抜き栓が付いていない場合も多いため、別の対策を考える必要があります。
風が当たる場所の水道管
家の外など風が直接当たる場所の水道管は、屋内にあるものよりも凍結しやすいため注意が必要です。一般的に、風速1m/sで体感温度は1℃下がるといわれています。したがって、気温が10℃でも、風速が10m/sだと体感温度は0℃になるということです。
そのため、風が当たりやすいところでは、外気温が-1℃〜-2℃くらいでも凍結するおそれがあります。特に建物の北側は風当たりが強いため、水道管を保温するなどの対策を行いましょう。
むき出しの水道管は危険
屋外にある水道管がむき出しになっていると、直接外気に触れるため凍結しやすくなります。むき出しになっている水道管は、保温剤をヒモなどで巻き付けて固定し、その上から水で濡れないようにビニールテープで巻くなどの対策が必要です。保温剤は、市販されているもののほかに、毛布や発泡スチロールなどでも代用できます。
場所によっては屋内にある場合でも同様に凍結しやすくなるため、適宜対策しましょう。
水道管が凍結したときの対処法
水道管が凍結すると水が出なくなるだけでなく、水道管に亀裂が入って破裂・損傷する可能性もあるため対策が欠かせません。水道管が凍結したときに解凍する方法、万が一破裂してしまったときにはどのように対処すればよいか解説します。
水道管を解凍する方法
水道管が凍結した場合、お湯をかけて水道管を温めることで改善が見込めます。用意するもの、作業手順は以下のとおりです。
- タオルや布
- ぬるま湯(40℃〜50℃前後)
- 凍結している部分にタオルや布をかぶせる
- その上からゆっくりとぬるま湯をかける
- 解凍後はしっかりと水気を拭き取る
水道管に直接熱湯をかけるのは急激な温度変化によって水道管や蛇口の破裂につながるおそれがあるため厳禁です。タオルや布をかぶせた状態でぬるま湯をゆっくりかけ、途中で蛇口をひねって水が出るか確認しながら行うようにしましょう。解凍後はしっかりと乾拭きで水を拭き取らなければ水が冷えて再度凍結することになりますので注意してください。
お湯以外に、ドライヤーの温風を吹きかけたり、カイロを押し当てたりする方法も効果があります。ドライヤーは一定の温度を維持できるため、効率的に水道管を温められるのがメリットです。多少時間をかける必要はありますが、電源を確保できれば試してみましょう。
これらの対処法は凍結箇所がはっきりしている場合には有効です。一方、壁の中や床下の配管など凍結箇所を特定できない場合は対応できません。部屋をできるだけ暖めて自然解凍するのを待ちましょう。
破裂してしまったときの対処法
万が一水道管が破裂してしまったら、まず大元の元栓を閉めます。元栓の場所は戸建住宅の場合は水道メーターの横の地面に、マンションの場合は玄関横のパイプシャフト内に設置されています。元栓を閉めたら、すみやかに水道局もしくは指定の事業者などに連絡して修理を依頼しましょう。アパートなど集合住宅の場合は、閉める際に他の部屋のものを誤って閉めないよう注意をし、管理会社やオーナーに連絡して対応してもらうのが一般的です。
元栓がどこにあるかわからない場合は、ひとまず破裂した部分にタオルやビニールテープを巻き付けて応急処置を施し、業者が来るのを待ちましょう。
水道管が破裂してしまった場合の修繕費用は、大体2万円からが相場です。床下などの場合は3万円〜5万円かかる場合もあり、水道管本体を交換するなど作業が大掛かりになるとさらに費用がかかります。水道管の修理費用だけでなく、水漏れした分の料金も水道代として請求されるため注意が必要です。
ただし、居住地の自治体が指定している業者を選ぶと、水道料金の減免制度を利用できる場合もあります。また、火災保険を契約していれば補償を受けられるケースもあるので確認してみましょう。
水道管を凍結させないための予防法
水道管が凍結して万が一破損や故障が発生した場合、多額の修繕費用がかかってしまいます。リスクを回避するためにも、普段から水道管が凍結しないよう対策しておくことが重要です。水道管の凍結を未然に防ぐための方法を紹介します。
水道管を保温する
水道管の凍結防止には、水道管の保温が効果的です。具体的には、水道管や蛇口などに布や使い古しのタオルなどを巻き付けてビニールテープで固定し、熱が逃げないようにします。メーターボックス内にある水道管は、毛布や発泡スチロールなどを入れて保温するのが効果的です。濡れないようにビニール袋などに詰めてから入れるとよいでしょう。
費用はかかりますが、市販の気泡緩衝材や保温材、保温チューブなどを使うとより効果的です。保温チューブは切り込みが入っており、水道管にはめ込んで固定できるようになっていて簡単に取り付けられます。
寒冷地以外に住んでいて水抜き栓がない場合は、これらの方法を試してみましょう。
水を出しっぱなしにしておく
水道の水を出しっぱなしにしておくという方法もおすすめです。蛇口を少しだけ開けておき、水をちょろちょろと少量出続ける状態にしておくと凍結しにくくなります。特に、水道を使わない夜間や外出時などは凍結しやすくなるため効果的です。
ただし、当然水を出した分の水道料金がかかるので、出し過ぎには注意が必要です。出した水はバケツや洗面器などに貯めておいて、洗濯に使うなど有効活用しましょう。また水よりも温度の高いお湯のほうが良いのではと考えてお湯は出しっぱなしにするとガスの安全装置が作動するおそれがあるので水を出しておきましょう。
また、この方法は寒冷地など寒さが厳しい地域や、大寒波のときには通用しない可能性があります。どちらかというと、寒冷地以外で水抜き栓がない地域で有効な対策です。
水抜きをしておく
一般的に寒冷地では、水抜き栓を開けて水抜きをして凍結を予防します。水抜き栓には「ハンドル式」と「電動式」があり、設置場所も各家庭で異なるので、使い方や設置場所を事前に把握しておきましょう。水抜きの手順は以下のとおりです。
- 家にあるすべての水道の蛇口を閉める
- 水抜き栓を閉める
- 家中の蛇口をすべて開けて水を出す
- 蛇口に手を当てて空気を吸い込んでいるか確認
- すべての蛇口を閉める
ハンドル式は手動で水抜きを行います。電動式は、水道管内が一定以下の温度になると自動で水抜きを行ってくれるので便利です。ただし、電源が入っていなければ機能しないため、冬場は電源を切らないように注意しましょう。
先述したように、寒冷地以外で水抜き栓がない場合は水抜きを行えないため、他の方法で対応する必要があります。
トイレには不凍液が有効
気温が低い日や寒冷地においては、トイレタンクの中や便器に溜まっている水も凍結する場合があります。これらの溜まっている水は水抜きをしても残るため、市販の「不凍液」を入れておくのがおすすめです。不凍液とは、冬季の凍結防止を目的に、車のエンジンの冷却水へ添加される薬品です。ホームセンターやインターネットで購入できます。
注意点は、車用の不凍液ではなく「住宅用」と表記されているものを購入するようにしましょう。車用の不凍液には、下水に流してはいけないエチレングリコールという成分が含まれているためです。
使用手順は至って簡単で、水で希釈して不凍液を入れるだけです。ただし、トイレは使用しているとさらに液が希釈されるので、それを見越した濃度に調整するようにしましょう。
お風呂はお湯を張って自動ポンプ運転を
給湯器の凍結を防止するには「自動ポンプ運転」が効果的です。給湯器には、凍結防止のために「凍結予防ヒーター」と「自動ポンプ運転」という2つの機能があります。自動ポンプ運転とは、追い焚き機能が付いた風呂釜の配管に自動で水を循環させ、給湯器の凍結を防止する機能です。浴槽の循環アダプターの5cm以上の高さまで水を張っておくことで、気温が一定以下になった時点で自動的に作動するようになっています。
ただし、自動ポンプ運転はあくまで給湯器の凍結防止機能であって、給湯器につながる配管の凍結防止にはならないため、切り分けて対策を考える必要があります。
水道管の凍結を予防して冬でも快適な生活を
水道管が凍結すると、水が出なくなるだけではなく、水道管の破裂・損傷につながるおそれもあります。水道管が凍結してしまった場合は、ぬるま湯をかけたり、ドライヤーの温風を当てたりしてすみやかに解凍処置を施すことが重要です。凍結している間は水が使えなくなってしまうため、寒さが厳しくなる冬場は水道管を保温する、水抜きをこまめにするなど凍結防止の対策をしっかり行っておきましょう。
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