ウォーターハンマー現象とは?
水道を使う際に起こる「ウォーターハンマー現象」とは何なのか、詳しく解説します。
水撃作用とも呼ばれる水道からの異音
ウォーターハンマー現象は、水撃作用とも呼ばれる現象です。水道を急に開け閉めした時や洗濯機・食洗機を使用している時に、壁の中から「ドン」や「ガン」と建物全体に響くような鈍い音が聞こえることを指します。
食洗機や洗濯機、トイレや給湯器の使用で起こることが多く、その他水道管が通っている場所ならどこでも起こる可能性があります。
ウォーターハンマー現象は特に夜間や早朝など静かな時間に起こるとよく響くため、気になることが多いでしょう。日頃から異音を感じる場合は、放置せず早めに対処するのがおすすめです。
離れた場所から異音がすることもある
ウォーターハンマーの異音は水道を使用した場所だけでなく、離れた場所でも発生することがあります。水道管が他の水栓や近隣の住宅とつながっているため、瞬間的に遠くまで音が伝わることがあるのです。
たとえば自分の家で起こったウォーターハンマーの影響で、道路を挟んで向かいの家で「ドン」と異音が起こってしまうこともあります。あまりにも頻繁に異音が起こると、ご近所トラブルにもなりかねません。
ウォーターハンマー現象の原因とメカニズム
ウォーターハンマー現象が起こる原因やメカニズムは主に2つあります。
- 水道管内の急激な圧力の変化で発生
- 水柱分離によって水が衝突して起こる
水道管内の急激な圧力の変化で発生
ウォーターハンマー現象の発生は、水道管の中で急激な圧力変化が起こるのが原因です。勢いよく流れていた水が急にせき止められることで、運動エネルギーが行き場を失い水道管内に圧力がかかります。結果、ドンと響くような衝撃音につながります。
水道管内の圧力変化は、主に急な水道の開閉で起こります。洗濯機や食洗機など水を使う家電の他、特に片手で簡単に操作できるシングルレバー水栓では、無意識のうちに水を勢いよく出したり止めたりしやすいので、注意しましょう。
水柱分離によって水が衝突して起こる
水柱分離とは、ポンプが急停止した時に水道管内の水が2つに分断される現象です。
故障など何らかの原因でポンプが急停止すると、慣性の法則により水はそのままの勢いで流れ続けようとしますが、ポンプからの水の供給が追いつかなくなります。そのため水道管の中で圧力が急激に下がり、水道管内の水が2つに分断されることがあります。
その後、水道管内の圧力が急回復すると分断されて止められていた水同士がぶつかり合い、ドンと大きな音が鳴るのです。水柱分離によるウォーターハンマー現象では、水道管内の圧力が不安定になるため、他の場所でも同じような異音が連続して起こるケースがあります。
水道ポンプの停止は部品の劣化・破損などで起こることが多いです。急な水道の開け閉めを行っていないにも関わらず頻繁にウォーターハンマーの異音があるなら、ポンプに不具合が起こっていることを疑ってもいいかもしれません。
ウォーターハンマー現象を放置するとどうなる?
ウォーターハンマー現象が起きた際、そのまま放置してしまうとやがて大きなトラブルにつながる可能性があります。ウォーターハンマー現象が原因で起こりうるトラブルは、以下の3つです。
- 水道管の破損につながる
- 接続されている機器のセンサーが故障する
- 音や振動は近隣トラブルに発展することもある
ウォーターハンマー現象がずっと続くようなら、大きなトラブルを引き起こす前にしっかりと対策しましょう。
水道管の破損につながる
日常的なウォーターハンマー現象を放置すると、水道管の破損につながるかもしれません。ウォーターハンマーの衝撃が長い間繰り返されることで、配管の接続部分や給水装置・継手などにダメージが蓄積し、緩んだり傷んだりして水漏れの原因となります。
結果、水道代が余計にかかったり、ひどい場合だと水道管から漏れた水が床や壁に染みたりして建材が腐ってしまうことも。修理・修繕に大きな金額がかかる事態にまで発展する可能性があります。また、集合住宅の場合は階下や隣人など他の家を巻き込んだトラブルにまで発展することがあるので、注意が必要です。
接続されている機器のセンサーが故障する
ウォーターハンマーによる衝撃や振動が続くと、水道に接続された機器に悪影響を及ぼすかもしれません。具体的には給湯器のセンサーや水道メーターなどに異常や故障が起こる可能性があります。
たとえば、給湯器のセンサーが故障すると温度が一定に保てなくなるため、お風呂や洗い物などでお湯を使用している時に温度が不安定になる不具合が発生します。
給湯器のセンサー交換には1万円~2万円前後が費用相場です。型が古い給湯器など部品の生産が終了している場合は、センサーのみの交換ができず給湯器自体の交換が必要となり、もっと大きな費用がかかるおそれもあります。
余計な出費を抑えるためにも、ウォーターハンマー現象が起こらないように普段から対策しましょう。
音や振動は近隣トラブルに発展することもある
ウォーターハンマーの異音や振動が、近隣トラブルに発展するケースもあります。特にマンションやアパートの場合は周囲に響きやすいため、ウォーターハンマーを放置していると周りの住人に迷惑をかけてしまうかもしれません。
たとえば早朝や夜中に洗濯機を回したり食洗機を使用したりすると、周囲にドンという音が響くため注意を受けることもあります。また、昼間に洗濯機や食洗機を使っていたとしても、夜に働いている人にとってはウォーターハンマーの衝撃音が安眠の妨げになってしまいます。
ウォーターハンマーに対して何の対処もせずにそのまま放置して水道を使い続けてしまうと、嫌がらせをされているのかと誤解を与えてしまうケースもあるでしょう。最悪の場合は訴訟になったり退去を求められたりする可能性もあります。無用な近所トラブルを避けるためにも、ウォーターハンマー現象を放置しないようにしましょう。
ウォーターハンマー現象を防止する方法
気になるウォーターハンマーの衝撃音を防止するための方法を3つ紹介します。
- 水栓の急激な開閉をしない
- 水撃防止器の設置
- 元栓を絞って水量を減らす
日頃から意識してできるものや簡単にできる対策を紹介するので、トラブル防止のためにもぜひ実践してみてください。
水栓の急激な開閉をしない
水栓を勢いよく開けたり閉めたりしないようにしましょう。急な水栓の開け閉めは水道管内に急激な圧がかかるため、ウォーターハンマー現象の原因になります。蛇口をゆっくり開け閉めすることで圧力の変動を和らげれば、ウォーターハンマーが起こりません。
普段の生活の中で蛇口を勢いよく開け閉めすることがついつい癖になっている方は、少し意識してゆっくり開け閉めするだけでウォーターハンマーの衝撃音が改善されます。水道を使う時はゆっくりとした動作を意識してください。
水撃防止器の設置
水撃防止器の設置も、ウォーターハンマーに対して有効です。水撃防止器とは、水道管内の圧力を内部で吸収し、ウォーターハンマーの衝撃を和らげる商品のこと。
水撃防止器はホームセンターや、楽天市場・Amazonなどのネット通販でも販売されています。1つ大体4,000円~5,000円が相場で、高くても10,000円ほど購入可能です。少し値段は張りますが、大きなトラブルに発展するとそれ以上に費用や労力がかかるので、その事前対策だと考えましょう。
水撃防止器は、部品や工具があればDIYでの取り付けも可能ですが、自分で取り付けできるのか判断できない場合は無理に取り付けせず、水道業者に依頼するのが安心です。
水撃防止器の取り付けを業者に依頼する場合の費用相場は、水撃防止器の購入費用と取り付け作業費で、15,000~30,000円程度。住んでいる地域によっては出張費用やその他の費用が必要な場合もあるため、業者依頼の際には事前に確認するのがおすすめです。
元栓を絞って水量を減らす
水道の元栓を絞って水量を減らすと、ウォーターハンマーの異音を防止できます。
水道の元栓は屋外に設置してあるメーターボックスの中にあり、メーターの横にあるツマミを時計回りに回すと水勢を弱められ、反時計回りに回すと水勢が強まります。
一戸建ての場合、メーターボックスは敷地内の地面に埋まっていることが多いです。マンションの場合は、玄関から出てすぐのところに部屋ごとに扉のついたメーターボックスがあります。
アパートの場合は、メーターボックスが部屋ごとに分かれていることもあれば1カ所に集まっている場合もあり、建物ごとに違います。1カ所に集まっている場合は、誤って他の部屋の元栓を触らないよう注意しましょう。水道メーターやメーターのフタ裏に部屋番号が書かれているので、自分の部屋のメーターボックスであることをしっかりと確認してから元栓を閉めてください。
また、あまりにも元栓を絞りすぎてしまうと水量が少なくなり、給湯器のセンサーがうまく働かずお湯が出なくなることもあります。友人や家族に家の中で水の勢いを確認してもらいながら元栓を回すと、効率よくちょうどよい水量に調節できます。
ウォーターハンマーの原因を知って快適な生活を
ウォーターハンマー現象について、起こる原因やメカニズム、日頃から意識できる簡単な対策を紹介しました。ウォーターハンマーは水道を使用していると水道管の中で鳴ることのある「ドン」や「ガン」という建物に響くような衝撃音です。
ウォーターハンマーの衝撃音は放置すると給湯器などの周辺機器へ悪影響が起こったり近隣トラブルの原因となったり、トラブルへと発展することもあります。蛇口の開閉をゆっくり行ったり水撃防止器を取り付けたりなど、少しの工夫でウォーターハンマーの発生を防げるため、日頃から対策しましょう。
対策しても改善しないウォーターハンマー現象が起こる場合、他の家で起こっている異音が自宅にまで届いている可能性や、ポンプに不具合が起こっている可能性も。原因が分からない場合は、一度水道業者に依頼して原因を特定してもらうのもおすすめです。
水まわりのレスキューガイドでは全国各地の水道業者を独自調査。ウォーターハンマーだけでなくさまざまな水のトラブルを解決できる水道業者を紹介しているので参考にしてください。
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