下水や汚水とは?
汚水管のつまりの解消法の前に、まずは下水や汚水とは何なのかを確認しておきましょう。
また、汚水管の種類によってつまりやすいものがあるため、併せて押さえておいてください。
下水の種類
家庭で排出されるあらゆる排水を「下水」といい、下水は主に以下の2種類の水が含まれています。
種類 | 内容 |
---|---|
汚水 | 家庭から発生するお風呂・トイレ・洗面台・キッチン・洗濯機からの排水 |
雨水 | 道路などに降った雨 |
本記事では、前者の「汚水」が原因で汚水管につまりが発生した場合の対処法について解説します。
また、汚水は雑排水とも呼ばれ、家の各所から汚水管(排水管)を通って排水枡に溜まり、さらに公共の下水管へ流れていく仕組みです。
排水枡とは、家庭の排水が下水に流れていく過程にある点検口であり、道路に流れる排水管と家庭の汚水を合流させる役割を持っています。
横向きの汚水管はつまりやすい
汚水管は、水平方向と垂直方向の組み合わせでできており、横向きに配置されている水平方向の配管でつまりが発生することが多くなっています。
「排水縦管」は、垂直方向に落下するように水が流れていきます。しかし、「排水横管」は横向きになっている緩い傾斜の排水管をゆっくりと水が流れるため、排水管の内部に汚れが溜まりやすいことが特徴です。
この「排水横管」の比率が大きいほど、水の流れがゆっくりになるためつまりが発生しやすくなるといえます。
汚水管がつまる原因はどのようなものがある?
汚水管がつまってしまう原因には、家庭排水が原因のものとそのほかの環境が原因のものに分かれます。
それぞれの原因について、何が水の流れを悪くしてしまうのか確認していきましょう。
家庭排水が原因のつまり
まず、家庭排水が原因のつまりについてですが、主に以下の箇所の汚水管でつまりが発生しやすくなっています。
- お風呂
- トイレ
- 洗面台
- キッチン
- 洗濯機
それぞれ汚水管がつまる原因について見ていきましょう。
お風呂の排水
お風呂の排水が原因で汚水管がつまってしまうのは、主に以下の4つの汚れが原因です。
- 髪の毛
- 皮脂や垢
- 石鹸のカス
- シャンプーなどの詰め替え時のゴミ
お風呂の排水の多くに髪の毛や皮脂、石鹸などが含まれるため、どうしても排水口に汚れが付着してしまいます。
そのような汚れを放置することで雑菌が繁殖してヘドロができてしまい、さらにヘドロに汚れが付着して肥大化し汚水管のつまりが発生します。
また、ヘアピンやアクセサリーなどを取り忘れてお風呂に入ってしまい、誤って異物を流すこともつまりの原因となりかねません。
トイレの排水
トイレの排水で汚水管がつまってしまう際は、以下の3種類の原因が考えられます。
- 大量のトイレットペーパー
- 水量が少なすぎる
- 異物が流れてしまった
トイレットペーパーは基本的に水に溶ける性質を持っていますが、あまりにも大量のトイレットペーパーを流そうとすると溶け切らないまま流れてしまい、汚水管のつまりを引き起こしやすくなるでしょう。
また、上記と似ていますが流すものの量に対して水の量が少なすぎた場合、完全に流し切ることができずにつまってしまうことがあります。
洗面台の排水
洗面所の排水はお風呂の場合と似ており、以下のような汚れ・異物が原因で汚水管につまりが生じてしまいます。
- 髪の毛
- 皮脂や垢
- 石鹸のカス
- 整髪剤の溶け残り
- ヘアピンやアクセサリー
これらの汚れはヘアキャッチャーに溜まっていきますが、細かな汚れやゴミはヘアキャッチャーをすり抜けて汚水管へと流れていくため、汚水管にぬめりが発生しやすくなります。
発生したぬめりを放置すると、さらに汚れが付着してヘドロ化することで汚水管がつまってしまうでしょう。
キッチンの排水
キッチンの排水が原因で汚水管につまりが生じてしまう原因は、主に以下の3つです。
- 油汚れ
- 食べ物のカス
- 洗剤の溶け残り
キッチンの排水のなかでいちばん蓄積しやすい汚れは、油汚れが挙げられます。
大量の油を流すことはもちろん、少量であっても油を流すと汚水管で冷えて固まってしまうため、水の流れが悪くなります。
固まった油があると、そこに食べ物のカスや洗剤の溶け残りがこびりついてさらに水の通りを悪くさせてしまい、最終的には汚水管がつまってしまうでしょう。
洗濯機の排水
洗濯機の排水が原因で汚水管がつまってしまった際は、以下の3つの異物が流れたことが考えられます。
- 洋服についた髪の毛や糸くず、泥など
- 洗濯機のなかに溜まったほこり
- 洗濯バサミなどの固形物
洗濯機は使用するたびに洋服から汚れが出るため、定期的に排水口や洗濯槽を掃除しないと汚水管がつまりやすくなってしまいます。
また、掃除の際に誤って洗濯バサミなどの固形物を排水口に落としてしまうと、つまりの原因となりかねないため注意しましょう。
その他の原因のつまり
前述した生活排水のほかに、以下のようなものが原因で汚水管につまりが生じてしまうことがあります。
- 建物の構造
- 汚水管に入り込んだ木の根
- 汚水ポンプの故障
- 汚水管の沈下・破損
- 汚水管の勾配が逆
- 自然災害
それぞれの原因について、なぜつまりが起きてしまうのかを確認していきましょう。
また、これらが原因で汚水管がつまった場合は自分で直すことは難しいため、基本的には業者による修理が必要です。
とはいえ、考えられる原因を知っておくことで自身で原因を考えられたり、業者へ依頼する際の流れがスムーズになったりするため、頭に入れておいてください。
建物の構造
建物の構造(主に排水横管が多い造り)が原因で、汚水管につまりが生じることがあります。
つまりが起こりやすい構造として、マンションやアパートなどの集合住宅はさまざまな家庭の排水が集まるためにつまりやすいと思うかもしれません。
しかし、実は一戸建ての住宅のほうが横向きの汚水管が多く、水の流れが緩やかで汚水管内部に汚れが溜まりやすい特徴があります。そのため、汚れが溜まって水の流れを悪くしてしまい、汚水管がつまりやすいとされています。
汚水管に入り込んだ木の根
屋外の下水付近に木が生えている場合、その木の根っこが地面を通る下水管に張り付き、配管が破損したり水漏れを起こしたりしてしまいます。
木の根っこは水分があるほうへ伸びていきやすい性質を持つため、徐々に汚水管の内部へと伸びていき、最終的に水の流れを止めてつまりを発生させてしまうのです。
汚水ポンプの故障
汚水ポンプの故障による汚水管のつまりは、地下がある建物で起こりうるトラブルです。
この場合は汚水管自体に問題はなく、汚水を下から上に汲み上げるためのポンプによる不具合により排水が上手く行われず、汚水管のつまりだと感じてしまいます。
汚水ポンプが故障した場合はポンプの交換が必要になるため、業者へ連絡することがおすすめです。
汚水管の沈下・破損
汚水管が沈下したり破損したりすることで、汚水管のつまりを引き起こしてしまうケースがあります。
汚水管が沈下する流れとして、まず屋外に汚水管(排水管)同士を繋いでいる排水枡の繋ぎ目が外れることにより、汚水管が沈下してしまいます。
汚水管が沈下すると家庭排水は地面の土へ流れ、土が緩くなるのとともにさらに汚水管が沈下し、水の流れが悪い状態が続いてしまうのです。
また、雨により地面が緩くなったうえに強い振動が加わると汚水管が途中で破損してしまうことがあり、沈下した場合と同じように徐々に水の流れが悪くなっていくでしょう。
汚水管の勾配が逆
汚水管の勾配が逆(昇り勾配)になっていると汚水が流れにくくなり、結果的に汚水管のつまりを引き起こしてしまうでしょう。
汚水管は高い方から低い方へと汚水が流れるように設計されていますが、汚水管が沈下・破損するときと同じように地面の水分量や振動、さらに経年劣化などで勾配が逆になってしまうことがあります。
このような勾配不良により、本来は下水の本管に流れるはずの生活排水が逆流してしまい、汚水管のつまりを引き起こしやすくなるのです。
自然災害
大雨や台風などの自然災害により、大量の雨水とともに土や砂がマンホールを通して下水に流れ込むことで、汚水管のつまりを引き起こしてしまうことがあります。
普段であれば、家庭で排水された水は汚水管を通ってマンホールへと流れます。
しかし、自然災害の影響でマンホール部分に土砂が溜まり、排水が押し戻されることで家庭の排水口から汚水が逆流してしまうのです。
この場合の対処法は、基本的に自然災害が収まりマンホール内の水位が下がるのを待つしかないため、一時水の使用を控えるようにしましょう。
また、排水口から逆流する汚水をせき止める応急処置として、水を溜めた袋「水のう」が役立ちます。詳しくは以下の記事で紹介しているので、是非参考にしてみてください。
汚水管がつまった際の対処法一覧
ここからは、生活排水が原因で汚水管がつまった際の対処法について紹介します。
以下の4種類の掃除方法について解説しますので、それぞれの手順を確認していきましょう。
- ワイヤーブラシを使う
- 液体パイプクリーナーを使う
- 真空式パイプクリーナーを使う
- 高圧洗浄機を使う
ワイヤーブラシを使う
ワイヤーブラシは、排水口付近の手が届く範囲にある、床下の汚水管のつまりに効果的です。
ワイヤーブラシはつまりの原因となっている箇所に直接アプローチし、汚れやつまりを削り取って水の流れを改善します。
先端がらせん状のものとブラシ状のものがあり、つまりの除去にはらせん状のものが適しています。ワイヤーブラシの選び方については下記の記事で紹介しています。
ワイヤーブラシが用意できたら、以下の手順で汚水管のつまりを削り取っていきましょう。
- 1. 排水口のフタやゴミ受け、排水トラップがある場合は取り外す
- 2. ワイヤーブラシを排水口にゆっくり差し込む
- 3. つまりの箇所にたどり着いたら、ブラシを回転させる
- 4. つまりの原因となる汚れが削り取れたら、ブラシを引き抜く
- 5. 水の流れが改善されたら、外した部品を取り付ける
注意点として、ワイヤーブラシを奥まで入れすぎたり無理に突っ込んでしまうと、汚水管を傷つけてしまうことがあります。
汚水管が故障するとさらに修理が必要になってしまうため、無理のない範囲で作業を行うようにしてください。
液体パイプクリーナーを使う
液体パイプクリーナーは、軽度の汚水管のつまりであれば改善できるケースが多いといえます。
液体パイプクリーナーは商品によって濃度が異なり、基本的にはつまりを解消したい時には2%以上、普段の掃除では1%以上を選ぶことがおすすめです。下記の記事を参考にしてみてください。
液体パイプクリーナーが用意できたら、以下の手順で汚水管のつまりを取っていきましょう。
- 1. 排水口のフタやゴミ受け、排水トラップがある場合は取り外す
- 2. 排水口にパイプクリーナーを適量流し込む
- 3. 規定の時間放置し、水でしっかりと洗い流す
- 4. 水の流れが改善されたら、外した部品を取り付ける
液体パイプクリーナーは汚水管がつまってしまった際だけでなく、日常的なメンテナンス方法として定期的に使用することで、つまりの発生原因を防ぐ効果があります。
月に1度や半月に1度などのタイミングでパイプクリーナーを使い、排水口を綺麗な状態に保つようにしてみてください。
真空式パイプクリーナーを使う
真空式パイプクリーナーは、吸引力を利用してつまりを解消するという点はラバーカップと同じですが、より強い圧力と吸引力で汚水管のつまりの元を引き上げられます。
真空式パイプクリーナーが用意できたら、以下の手順で汚水管のつまりを取っていきましょう。
- 1. 排水口のフタやゴミ受け、排水トラップがある場合は取り外す
- 2. レバーを下げた状態でカップを排水口に密着させる
- 3. レバーを引き、つまりの元を引き上げる
- 4. つまりが解消されるまでレバーを上下に動かす
- 5. 水の流れが改善されたら、外した部品を取り付ける
注意点として、真空式パイプクリーナーは商品によって排水口のサイズに適合しない場合があります。購入する際にはサイズを確認し、つまりを解消したい箇所に合わせて購入するようにしましょう。
高圧洗浄機を使う
汚水管のつまりの程度がひどい場合には、高圧洗浄機を使って汚れを取ることもできます。
ただし、素人が行うには難しかったり、そもそも高圧洗浄機が自宅になかったりする場合が多いかと思いますので、専門業者へ依頼することがおすすめです。
参考までに、高圧洗浄機を使ってつまりを除去する手順は、以下のとおりです。
- 1. つまりの原因箇所に繋がる屋外の汚水管を探す
- 2. 原因の汚水管に洗浄用のホースを50cm〜1m程度差し込む
- 3. 弱めの水圧から徐々に上げていき、奥の方まで洗浄する
- 4. ヘドロのような汚水が出なくなったら掃除を辞める
- 5. つまっていた箇所で水を流し、改善されていれば掃除完了
下記の記事でより詳しく解説されていますのでよろしければご覧ください。
汚水管のつまりを日常的に防ぐ方法
ここからは、日常的に行える汚水管のつまりを防ぐ方法について紹介します。
つまりが起こりやすい場所ごとに、簡単に行える対処法を解説しますので、今日からぜひ試してみてくださいね。
お風呂での対策
お風呂で流れる髪の毛や皮脂、石鹸のカスなどが原因で汚水管がつまりやすくなってしまうため、ヘアキャッチャーに溜まったそれらの汚れをこまめに取り除くことが大切です。毎日手軽にできる掃除方法を下記の記事で紹介しています。
また、小さなゴミを流さないために排水ネットを取り付けたり、目の細かいヘアキャッチャーに取り替えることも対策としておすすめです。
さらに、定期的にパイプクリーナーを使用して汚れを分解させることで、汚水管のつまりのリスクを格段に下げられるでしょう。
トイレでの対策
トイレで大量のトイレットペーパーを流したり、異物を流したりすると汚水管がつまる原因となります。そのため、流すものの量が多くなってしまうときは何回かに分けて流したり、誤って異物を流さないように気をつけることが大切です。
また、節水目的で水を流す時に「小」しか使わないという方も稀にいますが、流すものの量に対してあまりにも水の量が少ないと、つまりを引き起こしてしまうことがあります。
適切な使用方法で水量を調整し、また水を流す際には異物が便器の中に入ってしまっていないかを確認することで汚水管のつまりを防げるでしょう。
洗面台での対策
洗面台もお風呂と同じように髪の毛や皮脂、石鹸のカス、さらに整髪料やアクセサリーなどが原因で汚水管のつまりに繋がってしまいます。
そのため、こまめにヘアーキャッチャーを掃除して清潔な状態を保ち、ぬめりを発生させないようにしましょう。
また、アクセサリー類を誤って流してしまわないように外してから身支度をするか、排水口の栓をあらかじめしめておくことがおすすめです。
キッチンでの対策
キッチンの水道に流される油が原因で汚水管がつまってしまうことが多いため、まずは油を流さないように心がけてみましょう。
大量の油を流さないことはもちろん、料理に使ったフライパンに残った油も拭き取ってから洗い、できる限り流さない意識が大切です。
また、食べ物のカスを排水口に溜めておくことで雑菌が繁殖し、ぬめりを発生させやすくなってしまうため、1日の終わりに排水口のゴミを捨てるようにしましょう。
洗濯機での対策
洗濯機からの排水には洋服から出る糸くずやほこりが混じっており、それが原因で汚水管のつまりを引き起こしやすくなっています。
そのため、洋服の毛玉やほこりはできる限り取ってから洗うことのほか、糸くずフィルターをこまめに掃除したり、排水口付近の掃除を定期的に行うことがポイントです。
掃除の際には、固形物を誤って排水口へ落とさないように注意しましょう。
自分で直せない場合は業者へ相談を!
ここまで自分で行える汚水管のつまり解消方法を紹介してきましたが、試してみても直せない場合は、迷わずに業者へ連絡することがおすすめです。
自分で無理して作業を行った結果、排水管を傷つけてしまったり水漏れが発生してしまったりすることもあるため、無理はしないようにしましょう。
また、業者に依頼した場合の費用相場は以下の通りです。相場より高すぎたり低すぎたりする場合は悪徳業者である可能性も考えられるため、依頼を検討する際は一度確認しておいてください。
作業内容 | 費用相場 |
---|---|
トーラーによる掃除 | 10,000〜20,000円 |
高圧洗浄機による掃除 | 20,000〜40,000円 |
トーラーとは、5〜10mのワイヤーにブラシがついた清掃用具のことをいい、主に業務用のワイヤーブラシを指します。
上記の相場はあくまで参考にしておき、実際に依頼する際は複数社で見積もりをとって納得できる会社へ依頼するようにしましょう。
まとめ
今回は、汚水管につまりが発生した場合について、つまりやすい配管の種類やつまりが発生する原因、主な対処法、普段からできる対策方法などを紹介しました。
汚水管がつまってしまう原因にはさまざまなものがありますが、生活排水が原因によるつまりであれば、自分で改善できる方法がいくつかあります。
業者へ依頼するよりも安く済ませられることがほとんどのため、まずはご自身で紹介した対処法を試してみてください。
もし上述したつまりの対処法を試しても解消されないという場合は、汚水管を破損させたりさらにトラブルを引き起こしたりしてしまう前に、早めに業者へ相談することがおすすめです。
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