外の排水溝掃除は必要？
室内の排水口と同じように、外の排水桝にもメンテナンスが必要です。
キッチンや洗面所などの排水口であれば、日頃から手入れしている方が多いでしょう。しかし自宅の外の排水溝は、室内よりも目にする機会が少ないもの。掃除が必要かどうか、わかりにくいですよね。
外の排水溝は、排水桝（ます）と呼ばれ、キッチンや浴室、トイレなどの生活排水を流す排水管とつながっています。
生活排水だけでなく、雨水を流す役割を持つ排水桝もあります。桝の内部には汚れが溜まり続けるため、定期的に点検、掃除を行いましょう。
排水桝はいわば、室内の排水管と下水をつなぐ中間地点のような場所。排水管点検、掃除のために設置されている設備です。
室内の排水管の悪臭、つまりが気になったときは、外の排水桝にトラブルが起こっている可能性があります。
排水（汚水）桝の役割・排水の仕組み
排水桝の役割は以下の2点です。
- 排水管の点検・掃除
- ゴミと水の分別
排水桝は汚水が流れる排水管の中間地点。排水管の点検、掃除のために備え付けられているものです。
もし排水桝がなければ、つまりが生じた際に土を掘り返し、排水管を分解して掃除することになるでしょう。
排水桝には点検、掃除以外にも役割があります。それはゴミと水の分別です。
家庭の汚水には、さまざまなゴミが混入しています。たとえばキッチンの排水管の場合は、調理に使用した油や食べかす。洗面所や浴室であれば、髪の毛や石鹸かすなどが挙げられます。
生活の中で生じた汚水をそのまま下水に流すとつまりを招くため、ゴミと水を分ける必要があります。
その役目を担っているのが排水桝です。排水桝は自宅の排水口から流れた汚水を受け止め、油やゴミと水を分離。水だけを下水に流す働きがあります。
しかし分離されたゴミは、排水桝の中に溜まっていきます。蓄積した異物を放置するとつまり、悪臭の原因になるため、定期的な点検、掃除が必要です。
排水桝は下水桝とも呼ばれていますが、同じものを指す言葉です。
排水桝の種類｜汚水桝・雨水桝・公共桝の違い
ひと口に排水桝といっても、以下のような種類があります。
| 排水桝の種類 | 役割・特徴 |
|---|---|
| 汚水桝（インバート桝） | ・トイレ・エアコンなどの排水を処理する ・水以外の異物が沈殿する |
| 雨水桝 | ・雨水を住宅の敷地内に集める・地面に浸透するタイプ ・下水に流すタイプがある |
| 公共桝（最終桝） | ・生活排水が合流する ・公共下水道につながっている |
汚水桝はキッチンや洗面所、浴室などの排水管につながる場所です。
基本的には排水設備の分だけ設置されています。仮に自宅の排水設備がキッチン、トイレ、洗面所、浴室の4ヶ所であれば、4つの汚水桝があるということです。
雨水桝は雨水を集め、下水に流す役割があります。汚水桝、雨水桝の合流地点が公共桝です。
自宅を山にたとえるとわかりやすいかもしれません。
山の頂上を自宅にたとえると、汚水桝が設置されているのは自宅のすぐ下。上流です。雨水桝があるのは、山の中間地点。麓の下流に公共桝があるようなイメージです。
汚水桝、雨水桝の排水は上から下に向けて公共桝を通り、下水へと流れていきます。
排水トラップとの違い
排水桝と名前が似ている設備に、排水トラップがあります。
排水トラップとは、悪臭や害虫予防を目的として排水管に備え付けられている設備のことです。
排水管のS字、U字になった部分に水を溜めておくことで、悪臭や害虫が室内の排水口まで入ってこない状態を作ります。
排水桝にもトラップ桝と呼ばれるものがあります。構造、役割は排水トラップと同じです。
排水桝の掃除を怠るとトラブル発生につながる
排水桝を掃除したことがない家庭は意外に多いかもしれません。排水桝の掃除を怠ると、以下のようなトラブルが発生する可能性があります。
- 水の流れが悪くなる
- 排水桝から汚水が溢れ出る
- 自宅周辺に悪臭が漂う
定期的に掃除していなければ、汚れが蓄積し続ける状態になります。汚れが原因でつまりが発生すると、汚水が下水まで流れにくくなるでしょう。
状況によっては汚水が排水口から溢れたり、悪臭が漂ったりすることもあります。悪臭が自宅内だけでなく、近所にまで広がる事態は避けたいものです。
このようなトラブルを予防するためにも、外の排水溝は定期的にメンテナンスしましょう。
自分で排水桝を掃除する場合の掃除方法
ここでは自分で排水桝を掃除する方法を紹介します。排水桝の掃除には、高圧洗浄がおすすめです。家庭用の高圧洗浄機で掃除できますよ。
ただし自分で行うことに難しさを感じた場合は、無理せず作業を中断し、専門業者に相談しましょう。
必要な道具
排水桝掃除に使用する道具は以下のとおりです。
- 家庭用高圧洗浄機
- 汚れてもよい服装
- マイナスドライバー
- スコップ
- ゴム手袋
- 穴が開いたおたま
- 新聞紙
- スポンジ・ブラシ
- ゴミ袋
排水桝の内部は、腐敗した沈殿物が悪臭を放っていることが考えられます。掃除中に汚水がかかる可能性があるため、汚れても問題ない服装で作業することをおすすめします。
100円ショップなどで販売している使い捨てタイプのレインコートを着用してもよいでしょう。
高圧洗浄による排水桝の掃除方法
排水桝は自宅の敷地内に複数設置されており、掃除する順番があります。上流の生活排水が流れる汚水桝、雨水を集める雨水桝が先。下流にある浄化槽の役目を担う公共桝は後です。
ただし公共桝の管理、メンテナンスは行政が行います。居住者が公共桝を掃除する必要はありません。
掃除手順は以下のとおりです。
- 排水桝を見つける
- 排水桝のふたを開ける
- 排水桝内部の大きな汚れを取り除く
- エルボを取り外す
- 沈殿している汚れをすくい取る
- 排水管に高圧洗浄機のノズルを差し込む
- 排水桝内部を掃除する
1.排水桝を見つける
つまりを起こしている排水管につながる排水桝を特定することからスタートします。
排水桝のふたには「おすい」と書かれています。マンホールのような円筒形の形状です。
もし見つからない場合は、ふたを開けてつまりが生じている場所から水を出してみるとわかりやすいでしょう。
2.排水桝のふたを開ける
排水桝が特定できたらマイナスドライバーを使用し、ふたを開けます。
3.排水桝の内部の大きな汚れを取り除く
排水桝の底に沈殿している大きな汚れを、スコップで取り出す工程です。
何年も排水桝掃除を行っていないのなら、長期に渡って汚れが蓄積し、グロテスクな状態になっている可能性があります。
キッチンの排水管とつながっている排水桝の場合は、油が固形化しているかもしれません。この場合はスコップで軽くたたき割り、除去しやすく崩しましょう。
4.エルボを取り出す
エルボとは、排水管の口に設置するL字型の部品のことです。排水管に接続されているエルボを取り外すことで、排水桝が掃除しやすくなります。
エルボは排水管に差し込んであるだけです。簡単に外れます。このとき、取り外したエルボの汚れも落としておきましょう。
5.沈殿している汚れをすくい取る
エルボを取り外したら、穴あきおたまを使用し、排水桝の底に沈殿している汚れを取り除きます。
6.排水管に高圧洗浄機のノズルを差し込む
排水管を掃除する工程です。高圧洗浄機のノズルを差し込むのは、水が出てくる排水管。下流から上流に向けてノズルを入れ少しずつ、水圧を上げながら奥へと進めます。
使用する際は、水圧に注意が必要です。水圧が強すぎると、汚水が室内の排水口まで逆流することがあります。
また噴射の勢いでノズルが大暴れした場合は、水をまき散らすだけでなく、周辺のものにぶつかり、破損する可能性が考えられます。
高圧洗浄機を使用する際は商品の説明書をよく読み、正しく使用しましょう。
7.排水桝内部を掃除する
高圧洗浄後は、排水管が傷つかないように注意しながらスポンジやブラシを使用して排水桝内部を掃除しましょう。
掃除後は、エルボを元どおり取り付けます。
8.水を流す
排水管がつながっている場所から水を流しましょう。問題なければ、ふたを閉めます。これで1つの排水桝掃除は終了です。
自分で外の排水溝を掃除する際の注意点
高圧洗浄機を使用し、自分で排水桝を掃除する際は、排水管の破損に注意しましょう。排水管が破損すると水漏れが生じる可能性があります。
高圧洗浄機の使用は頻度が低いもの。慣れない作業のため、思わぬトラブルが発生することもあるでしょう。
排水管は複雑な構造です。思うようにノズルが奥へ進まないこともあります。差し込んだノズルに排水管内部の汚れが絡み、ノズルが回収できなくなる可能性もゼロとはいえません。
もし自分で行う排水桝洗浄が困難な場合は、業者に相談することが得策です。
排水桝の正常な状態を維持するには？
せっかく排水桝をキレイにするのなら、できるだけ長期間維持したいですよね。
汚れを防ぐコツは汚水が排水桝へ辿り着く前に、汚れやつまりのもとを排除することです。生活を営む以上、完全に汚水を流さないことはできません。
しかし排水管つまりは、少しの工夫で予防可能です。
清潔で正常な状態をキープするコツは、以下のとおりです。
- 油汚れ・食べかすをそのまま流さない
- 頻繁に40～50度のお湯を流す
- 排水桝の定期点検・掃除を行う
- 定期的に排水管を掃除する
さっそく日常生活に取り入れ、可能な限り長く正常な状態をキープしましょう。
油汚れ・食べかすをそのまま流さない
たとえばキッチン排水管からつながっている排水桝を汚れから守るには、油汚れや食べかすを皿から直接流さないことが大切です。
油汚れはキッチンペーパーで拭き取り、食べかすは流さずに捨てましょう。
頻繁に40～50度のお湯を流す
冷えて固まった油汚れを落とすには、40～50度のお湯を流す方法がおすすめです。夕食の食器洗い後、就寝前などにお湯を流すことを習慣にしてみてはいかがでしょう？
ただし、排水管の耐熱温度は60～70度。沸騰したお湯は配管を傷めてしまうため、温度に注意が必要です。
定期的に排水管を掃除する
パイプクリーナーなどを使用し、定期的に排水管を掃除することも汚れ防止の効果が期待できます。
パイプクリーナー選びに関しては、こちらの記事を参考にしてください。
https://news.mynavi.jp/mizu-trouble/column/drain-pipe/13234/
排水桝の定期点検・掃除を行う
悪臭やつまりが気になる前から定期的に排水桝をチェックし、掃除することも大切です。
排水桝の掃除頻度の目安は、年に一度。新築住宅であれば、5年以内に1回点検、洗浄がおすすめです。
定期的に排水桝を覗き、大きな汚れを除去するだけでもつまり予防になります。
業者に依頼した方がよいのはどんなとき？
家庭用の高圧洗浄機を使用すれば、自分で排水桝を掃除することは可能です。しかし状況によっては、専門業者に依頼した方がよいときがあります。
たとえば、以下のようなケースです。
- 排水管全体を掃除したい
- 異物が自分で除去できない
- 原因が特定できない
くわしく見ていきましょう。
排水管全体を掃除したい
家庭用の高圧洗浄機は業務用と比較すると、水圧が弱くノズルが短いもの。そのため排水管全体に水が届かず、つまりの原因を除去することが難しいケースがあります。短いノズルでは、排水管の手前しか掃除できません。
排水管の奥まで全体的に掃除したいのなら、専門業者への依頼がおすすめです。専門業者が使用する高圧洗浄機は、威力の高い業務用。家庭用よりも広範囲の排水管掃除ができます。
異物が自分で除去できない
つまりの原因が固形物の場合、自分で掃除するのは危険です。水を噴射することで固形物が移動し、除去が困難になることが考えられます。
この場合は、配管の改修工事が必要になるかもしれません。
自分で取り除けない固形物がつまっている場合は、無理せず業者に依頼しましょう。
原因が特定できない
つまりの原因がわからない場合は、業者に任せることをおすすめします。
安易に家庭用の高圧洗浄機を使用することで、状況が悪化。つまりの原因が届かない場所に押し込まれたり、排水管が破損したりするようなトラブルに発展することもあります。
つまりの解消には原因に応じて適切な対処法を取ることが大切です。下記の記事を参考に原因の特定を試してみて、難しい場合は業者への依頼を検討しましょう。
専門業者であれば、内視鏡を使用して原因を探り当てることが可能です。排水管の複雑な構造を熟知し、確かな技術を持った専門業者に依頼しましょう。
業者に依頼したときの費用相場
専門業者への依頼は、どのくらい費用がかかるのか気になりますね。外の排水溝の高圧洗浄を依頼する際の費用相場は、20,000～60,000円ほどです。ただし、排水管の長さ、作業スタッフの人数によって料金が異なります。
排水管がつながっている場所によっても状況が異なるため、費用も変動します。家族構成、排水管の使用頻度も家庭によって違いがあるもの。排水桝の汚れ具合は家庭それぞれです。
正確な料金が知りたい場合は、無料見積もりを行っている業者に問い合わせてみるとよいでしょう。
下記の記事で屋外の排水管がつまってしまった際の対処法を紹介していますので参考にしてみてください。
外の排水溝掃除を任せる業者選びのポイント
せっかくお金をかけて専門業者に依頼するのなら、信頼できる会社に任せたいですね。
専門業者の選び方のポイントは、以下の3つです。
- 相談・見積もり無料の業者を選ぶ
- 実績が豊富な業者を選ぶ
- 複数の業者に見積もりを依頼する
これから紹介する内容を参考に、優良な業者を見極めてくださいね。
見積もり・出張料が無料の業者を選ぶ
優良な専門業者は、見積もり、出張料を請求しない傾向があります。訪問後のキャンセル料も無料の会社であれば、さらに安心できますね。
ただし良心的な業者だとしても、自宅から距離がある場所に拠点を構えている場合は、出張料が発生する会社もあります。
たとえばスタッフが訪問する際、有料道路を使用するケース。この場合は、依頼主が了承した上で訪問するため、説明がないまま請求されることはないでしょう。
業者とのトラブルを避けるためにも、問い合わせ時に確認しておくことをおすすめします。
実績が豊富な業者を選ぶ
連絡する前に専門業者の公式ホームページを確認し、依頼したい洗浄方法の実績があるかどうかをチェックしましょう。
おもなチェック項目は以下の3つです。
- 実績数
- 創業年数
- 依頼者の感想
前述したように、排水管つまりの状況は家庭によって異なります。過去にどのような排水管つまりを改善してきたのか確認しましょう。
いくつもの排水管つまりを改善し、どのようなパターンでも対処できる業者なら安心して任せられますね。
創業年数の長い会社が経営を続けられる理由は、依頼する人がいるからです。競合他社に負けず長く続く業者は、確かな技術と知識を有し、依頼主が納得できるサービスを提供しているということ。
自社のホームページに、実際に依頼した人の声を掲載している会社もあります。作業現場、依頼主の写真とともに感想が掲載されているのなら、信ぴょう性が高いといえるでしょう。
複数の業者に見積もりを依頼する
専門業者に依頼する際は、相見積もりがおすすめです。相見積もりは複数の業者に見積もりを依頼し、必要な作業、費用相場を知るために行います。
1社だけの見積もりでは情報が足りず、適切な価格なのかわかりません。かといって何社も依頼すると、自宅で応対する時間がかかります。
相見積もりの目安は2～3社です。客観的な視点で料金やサービス内容を比較しましょう。
まとめ
自宅の外の排水溝には、高圧洗浄が有効です。家庭用の高圧洗浄機があれば定期的に掃除でき、排水管つまり、悪臭を予防できます。
ただし、状況によってはプロを頼ることも必要です。「自分で対処できない」と感じたときは、水回り専門業者に依頼することをおすすめします。
とはいえ高圧洗浄機を購入するにしても、業者に依頼するにしても費用がかかります。家計を預かる身としては、できるだけ費用を抑えたいですよね。
初めて外の排水溝を掃除するのなら、点検を兼ねて無料見積もりを専門業者に問い合わせてみてはいかがでしょうか？
自分でできるかどうか確認してから、高圧洗浄機の購入に踏み切っても遅くありません。深刻な状態でなければ、自分で掃除してもよいですね。
費用を賢く節約して家計も排水管も守り、悪臭のない快適な生活を送りましょう。
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※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。あらかじめご了承ください。
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