11月20〜22日、パシフィコ横浜で開催された組込み総合技術展&IoT総合技術展「ET & IoT Technology2019」にイノテックとTDKが共同ブースを出展。イノテックの組込み向けCPUボードや産業用BOX型PCと、TDKの産業用SSDソリューションが紹介された。本稿ではそのブースの模様をレポートする。

  • イノテックとTDKが共同ブースで展示。

    イノテックとTDKが共同ブースで展示。

Intel® Xeon® プロセッサー搭載BOX型PC「EMBOX TypeRE990」を展示

 産業向けIoTやAIの取り組みが進む中で、厳しい環境条件で稼働するコンピュータの需要が高まっている。工場の組み立てラインや屋外に設置されるコンピュータ機器は、温度や湿度、電源などが適切に管理されたマシンルームとは違い、厳しい環境変化に長く耐えうる高い品質と信頼性、長寿命設計が求められる。また、設置する場所も限られるため、筐体もコンパクトであることが必要であり、雷や地震といった自然災害への対応のほか、万が一の事態が起こった際の部品供給やサポート体制も重要だ。

このような産業用コンピュータの分野で多くの実績を持つのが、イノテックだ。同社が展開する組込み向けCPUボードや産業用BOX型PCは、「INNINGS」ブランドのもと、工場やFA機器をはじめ、駅務機器や道路交通システム(ITS)機器、医療機器、セキュリティ機器に組み込まれ、社会インフラを中心とした様々な業種業態の現場に導入されている。

 イノテック インテリジェントシステムソリューション本部 本部長の菅彰吾氏は、INNINGSの特徴について「自社設計、国内製造することで高い信頼性と長期間にわたるサポートを実現しています。採用部品の選定では、様々な環境に耐えうるように、積層セラミックコンデンサの採用など、長寿命設計を行い、厳しい信頼性評価試験をパスした製品のみを提供しています。また、常に最先端技術を取り入れ、業界最小クラスのサイズを実現することによって、お客様の自由度を高めることも目指しています。瞬低対策やリモートメンテナンス機能など、一度設置したら長期間の利用が可能で、メンテナンスフリーや、ハード・ソフト・ファームウェアに対する技術サポートも特徴です」と語る。

イノテック インテリジェントシステムソリューション本部 本部長 菅彰吾 氏

イノテック インテリジェントシステムソリューション本部 本部長 菅彰吾 氏

 例えば、Intel® Xeon® プロセッサーを搭載した、組込み向けBOX型PCの新製品「EMBOX TypeRE990」は、組込み向けスタンダードモデルとして様々なシーンで利用できる製品だ。基本スペックとして、3つのディスプレイ端子(DisplayPort 2ポート、アナログRGB 1ポート)と、4つのUSBポート(USB3.0)、5つのシリアルポート(RS-232C ×2 ※オプションで拡張可能)、3つのLANポートを備える。

 ストレージとしては、2.5インチHDD/SSD(SATA)を2基、CFastを1基、M.2を1基搭載でき、SATA HDD/SSDは、RAID1によるデータの冗長化が可能だ。さらにUPSも内蔵し、データ消失を防ぐことができる。SSDには産業用ストレージとして国内外で高い実績を持つTDK製品を採用し、ワンストップでの提供が可能になっている。

  • EMBOX TypeRE990

    EMBOX TypeRE990

機器の故障予測や、リアルタイム検知をデモで披露

 イノテックのブースでは、EMBOX TypeRE990を始めとするBOX型PCの活用事例とソリューションが展示されていた。まずは、エッジリッチコンピューティングにおけるソリューションのコーナーだ。EMBOX TypeRE990に、MathWorks社の解析ソフト「MATLAB」によって作成された予知保全アプリケーションを組込み、製造機器のメンテナンス時期を予測する。デモでは、MATLABのAI機能のひとつである「Predictive Maintenance Toolbox」を使って、振動をセンサーで計測、その数値データから故障時期を推測することで、ダウンタイムを30%削減できることを紹介していた。

「データをクラウドなどに出さずにエッジで処理できます。アプリケーションも組込んでいるためオンラインで分析可能で、24時間365日稼働できます」(菅氏)

また、設備異常と品質劣化の早期検出という点では、ストリーミング解析との組み合わせもポイントだ。その応用例として、FogHorn社のストリーミング解析エンジン(CEP)を使ったソリューション紹介コーナーもあった。 エッジ側でリアルタイムにデータクレンジング処理を実行し、目的に応じた品質の良いデータを生成するという。

  • エッジリッチコンピューティングとストリーミング解析エンジンのデータクレンジングを使ったソリューションの様子

    エッジリッチコンピューティングとストリーミング解析エンジンのデータクレンジングを使ったソリューションの様子

「クレンジングしたデータをAIエンジンや既存のBIツールに送信することで、  データ分析精度・分析速度が向上します。データ通信量・保存データ量・分析コストの削減も見込めます」(菅氏)

AIの活用という点では、ディープラーニングを用いた人検出デモのコーナーも興味深かった。EMBOX TypeRE900を用いて監視カメラの映像を解析し、混雑度や群衆の流れを定量把握。そのデータをクラウドと連携させて、混雑状況を予測したり、群衆のなかの特定の人物を監視したりできる。EMBOXが、PoEインタフェースを備えたネットワークカメラに対応し、機械学習のためにGPGPUを搭載することも可能なため、様々な応用が可能だという。

 このほか、CPUボードの活用事例として、ATMや改札機、サイネージ、鉄道やバスの案内表示などを紹介するコーナーや、海外の列車情報系システム、船舶システム、建設現場への展開事例などを紹介するコーナーもあった。

マイクロストレージ需要が急増しオンボードSD、SSDに脚光

TDKのブースでは、同社のSSDソリューションが網羅的に紹介されていた。TDK フラッシュメモリ応用デバイス部 事業部長の小柳津(おやいづ)剛氏は、同社ソリューションの特徴について次のように話す。

「組込みや産業用にNAND型フラッシュメモリを使用する場合、その制御に関して高い信頼性が求められます。TDKでは、独自開発のメモリコントローラICを使ってメモリの制御を行います。これにより、高信頼性を確保しながら、高速アクセスを実現しています。また開発を国内で行うことで、品質保証と製品の長期利用とサポートを可能にしています」

  • CF CARD、PATA SSDの展示

    CF CARD、PATA SSDの展示

 メモリコントローラは「TDK GBDriver」と呼ばれ、電源遮断対策(巻き戻り対策)、書き換え分散機能(ウェアレベリング)、データランダマイザ、リードリトライ機能、オートリフレッシュ、エンハンストECC、AES暗号化機能などを提供する。

 例えば、電源遮断対策は、更新データ前後のデータコピー時にあらかじめコピーする予定ページ数を登録しておくことで、電源遮断が発生しても、更新前のデータに巻き戻れるという機能だ。また、リードリトライ機能は、エラー検出時に再度新しい閾値電圧で読み込みを行うことで、正しいデータを読み出す機能である。これらによって、高い信頼性を確保する。SSDでは、電源遮断を検知するとGBDriverがアクセスを停止し、逆流防止回路付電源バックアップ回路によって、SSD電圧を維持することが可能だ。

また、高速アクセスについては、データ領域に割り当てる論理ブロック数を1セクタ単位で増減できる全セクタ数設定(クリッピング)機能や、SSDを高速化するNCQ対応などがある。

「GBDriverを搭載した産業用CFカードや産業用SSDを製品化することで、産業機器分野におけるNANDストレージ構築をトータルでサポートしています」(小柳津氏)

 ブースでは、製品ラインアップとして、SATA SSD、mSATA、M.2 NGFF、HALF SLIM、CFAST、CF CARD、PATA SSD、SD CARD、eSSDを展示していた。

  • TDK製品ラインアップ

    TDK製品ラインアップ

なお、eSSDは、SLC/pSLCフラッシュを搭載した基盤実装できるSD、SSDだ。

「エッジコンピューティングの進展によるマイクロストレージの需要が急増しています。eSSDは、省スペース要求が厳しいIoT機器などに最適なSD、SSDです」(小柳津氏)

  • TDK フラッシュメモリ応用デバイス部 事業部長 小柳津剛 氏

    TDK フラッシュメモリ応用デバイス部 事業部長 小柳津剛 氏

 産業用途では、国内設計・国内製造をうたう機器や部品メーカーは、イノテックやTDKなど数が限られているのが現状だ。高信頼・高品質が求められるなか、両社への関心は高い。ブースでも多くの来場者が足を止めて説明やデモに聞き入っていた。今後も組込み技術やAIが進化していくなか、両社の高信頼・高品質の製品が、世の中の色んな場所で、活用されていくだろう。その未来を見据えて開発を続けるイノテック、TDKの動向に今後も期待したい。

[PR]提供: イノテック TDK