前回は、ファイルサーバーリソースマネージャー(以下FSRM)の導入と、そのFSRMの利用を開始する前の準備作業について解説した。今週は、フォルダに対してクォータの設定を行い、保存可能なファイルのサイズに上限を設定する際の手順について取り上げよう。

フォルダのクォータ設定

本連載の第19回でも触れているように、NTFSが備えるクォータ機能では、ユーザーを単位とする制限は可能だが、フォルダを単位とする制限は行えない。逆に、FSRMのクォータ機能ではユーザー単位の制限を行えない。つまり、この両者は相互補完の関係にあるといえるのだが、両者を併用すると混乱の原因になりそうではある。

そうした事情があるため、状況や利用形態に応じて、どちらを使用するかを慎重に検討する必要がある。一人で大量のディスクを占有する「お行儀の悪いユーザー」がいる場合にはユーザー単位のクォータ設定が必要だろうし、部署別・目的別に使用料を制限したい場合にはフォルダ単位のクォータ設定が必要だ。

フォルダ単位のクォータを設定するには、「テンプレート」を作成する。これは、容量の制限値、制限値を越えたときの挙動、制限値を越えたときの通知方法などの設定をひとまとめにしたもので、それをフォルダに適用する方法をとる。したがって、同じテンプレートを複数のフォルダに適用することもできるし、フォルダごとに別々のテンプレートを用意することもできる。

FSRMでは当初から出来合いのテンプレートを6種類用意しているので、それをそのまま適用することもできるし、それをひな形にして新しいテンプレートを作成することもできる。テンプレートの修正・新規作成については後回しとして、とりあえず、既存のテンプレートを適用する方法から解説していこう。

  1. [ファイルサーバーリソースマネージャー]管理ツールを起動する。

  2. 左側のツリー画面で[ファイルサーバーリソースマネージャー]以下の[クォータの管理]-[クォータ]を選択してから、[操作]-[クォータの作成]、あるいは右クリックして[クォータの作成]を選択する。このとき、右クリックする場所は画面中央の空白部分でもよい。

  3. まず、クォータの作成を指示する

  4. 続いて表示するダイアログで、以下の設定を行う。
  5. ・クォータのパス : 対象となるフォルダのパスを指定する。
    ・クォータの設定対象 : [パスにクォータを作成する]は、指定したフォルダだけを適用対象とする。[既存と新規のサブフォルダーに...]は、指定したフォルダとその下のサブフォルダの両方を適用対象とする。
    ・クォータプロパティ : 既存のテンプレートを選択する方法と、カスタムプロパティを作成する方法がある。[クォータのテンプレートからプロパティを取得する(推奨)]を使用すると、既存のテンプレートの中から選択する形になる

  6. [作成]をクリックしてダイアログを閉じると、設定したクォータに関する情報が画面中央に現れる。

既存のテンプレートを使用する場合には、クォータのパス、クォータの設定対象、クォータプロパティの3項目を設定すればよい

フォルダに対するクォータ設定の解除

次に、クォータの設定を解除方法について解説する。設定を解除すると、当然ながら容量制限はなくなり、ディスクの空き容量を使い果たすまでファイルを置くことができる。その際の操作手順は以下の通りだ。

  1. [ファイルサーバーリソースマネージャー]管理ツールを起動する。

  2. 左側のツリー画面で[ファイルサーバーリソースマネージャー]以下の[クォータの管理]-[クォータ]を選択する。

  3. すると、設定してあるクォータの一覧を画面中央に表示する。その中から設定を解除したいものを選択して、[操作]-[削除]、あるいは右クリックして[削除]を選択する。

[ファイルサーバーリソースマネージャー]-[クォータの管理]-[クォータ]を選択してクォータの設定を解除すると、テンプレートの適用を取り止める

FSRMにおけるクォータの解除とは、クォータテンプレートを適用するのを止めるという意味だから、テンプレートそのものの削除は別個に行う必要がある。クォータの設定を解除しただけでテンプレートまで削除したり、テンプレートの内容が変化したりということはない。

なお、同じメニューに[クォータの無効化][クォータの有効化]があり、こちらはテンプレートを適用したままで有効/無効を切り替える際に使用する。トラブルシューティングが必要になった等の事情から、一時的にクォータの適用を止めたい場合に便利だ。

クォータの設定を削除する方法でも適用を止めることはできるが、後で設定し直す手間が増えてしまう。有効/無効を切り替えるだけであれば、適用するテンプレートの設定は維持する方が手間がかからない。