マイホームを購入のハードルを下げてくれるすまい給付金ですが、適用条件を調べても結局のところどのような条件があるのか分からないと感じていませんか?すまい給付金の適用条件は新築か中古か、ローンありかなしかで変わってくるため混乱しやすいものです。
そこでこの記事では、すまい給付金の適用条件をパターン別に分けて徹底解説していきます。また申請の流れや準備できる書類まで紹介し、すまい給付金の申請にまつわる悩みを解決へと導いていきます。記事で取り上げる内容を活用してマイホーム購入の金銭的負担を減らしましょう。
※LIFULL HOME'S 住まいの窓口来場者(390組)を対象とした調査(集計期間:2019年4月~2020年3月)より
すまい給付金とは
新居を手に入れるのにとても嬉しい制度と有名なすまい給付金ですが、気になるのはその制度内容です。条件を知る前に把握しておきたい制度内容と対象者について解説します。
すまい給付金の制度概要
すまい給付金制度とは、平成26年から徐々に開始された消費税率増税を緩和するために始まった制度です。増税により特に大きな影響が出ているのは不動産業で、不動産を購入する時の消費税が高くなってしまうことが足かせとなり、マイホームを購入したいと考えていても消費税アップのために購入できないという人が増えてしまう恐れがありました。そこで政府はこの制度を通してマイホームを購入する人たちの負担を軽減しようと調整を図りました。
すまい給付金の対象者
住まい給付金の対象者は多岐にわたります。一定の年収以下の人が自分の居住用にマイホームを購入し、入居したことが認められるなら誰でも最大50万円給付してもらえます。
これまでマイホームを手に入れる時に利用できた制度の中には住宅ローン控除がありました。しかし、この住宅ローン控除を受ける条件には、所得額によって利用できない人もいました。すまい給付金の条件で挙げられている一定の年収は一つの価格帯ではなく、いくつかの種類に分けられているため多くの人が給付対象者となることができます。
すまい給付金を申請できる条件
便利なすまい給付金を受けたい時に気になるのが対象者となれる条件です。条件を大きく分けると、次の3つに分けて考えられます。
- 申請者全てが考慮できる条件
- 資金借り入れで購入した人向け条件
- 現金で購入した人向け条件
それではさっそく全ての申請希望者が考えることができる条件から、順に解説していきます。
家の所有者で居住者である
申請しようとする新居は、自分が住んでいる物件でしょうか?この点は申請できるかに大きくかかわってくることです。この制度は自分の家として住民票に登録されている物件にのみ当てはめることができるものです。それで、もし物件が別荘であったり、主として事業用の不動産であったりするなら申請することができません。
それ以外の物件であれば、次にあげる建物で申請することができます。
- 新築
- 中古
- 戸建て
- マンション
- 住居兼店舗
一戸建てやマンションなどは通常のケースになりますが、もし住居兼店舗の物件であれば自分の住むために用いるスペースが2分の1以上でなければならないという決まりがあります。
家の広さが50㎡以上
家の広さが50㎡以上でなければならないという点も、全ての申請希望者が考慮すべき条件です。広さというのは建物の床面積を指していますが、すまい給付金の条件で言われる床面積とは内寸のことです。
内寸とは不動産登記の際に書類記載されている床面積のことで、壁の内側を計測することで求められます。申請する前に登記書類を確認し、床面積が規定内に収まっているか調査しておきましょう。
またマンションの場合、共有スペースは床面積に加えられないということも覚えておきましょう。
年収が定められた額以下であること
国土交通省が運営するすまい給付金ホームページでは、どの不動産であるかに関わりなく給付対象となる年収について次の一定額を挙げています。
消費税率8%時は収入額の目安が510万円以下の方を対象に最大30万円、10%時は収入額の目安が775万円以下の方を対象に最大50万円を給付するものです。
この文で注目したいのは目安というワードです。ここで挙げられている金額は必ずというものではなく、個々の状況に合わせた金額で受けられるよう幅のあるものに設定されています。
そのようにゆとりのある金額幅設定がされているのはどうしてでしょうか?それは各個人で差が出る所得割額をもとにして給付額を定めるシステムになっているからです。
所得割額が用いられている背景には、全国全ての人の収入を一律でとらえることができないということにあります。所得割額であれば、国の指導のもと都道府県が定めた一定の基準で割り出されているので、不平等になることなく給付額を支給できます。
住宅ローンの利用者
すまい給付金はただ単に増税後の負担を減らすために定められた制度ではありません。この制度は住宅ローン減税を補強する形で取り入れられた制度です。なので、基本的には金融機関から借り入れをしてマイホームを入手する人が利用しやすい制度と言えます。
ローン借り入れをしている場合でも次の点には注意が必要です。
住宅ローン減税と併用が可能!
住宅ローン減税とは、毎年の借入残高から1パーセントの割合を所得納税額から差し引けるという制度です。この制度を利用できるのは10年間で、以下の要件を満たしているなら併用して利用できます。
適用できる条件は以下のとおりです。
- 取得から半年以内に入居していること
- 入居年の12月31日まで引き続き住んでいること
- 床面積が50㎡以上
- 控除を受ける年の所得額が3,000万円以下
- 返済計画が10年以上であること
- 過去に長期所得減税の特例を受けていないこと
もし消費税率10%でマイホームを購入し、2019年10月1日~2020年12月31日まで入居したなら、利用期間が3年延びてトータルで13年間控除を受けられるという嬉しい特典もあります。
住宅ローン減税とすまい給付金の算出方法について解説した記事はこちら

ローン借り入れをしていない人
この制度は銀行から購入金額を借り入れている人に向いているとご紹介しましたが、実は住宅ローンを利用せず現金で購入している人への条件も設定されています。
- 所有者が50歳以上
- 消費税10%時購入の場合は650万円以下
住宅ローンを利用していないということで対象外になるわけではないので、ぜひ申請要件を確認して活用することをおすすめします。
すまい給付金の申請期限
この制度はいつまでも利用できるというわけではありません。申請はマイホームに住むようになってから1年以内にすることというルールがあります。ただ、税率が2度にわたって引き上げられたことで、しばらくの間は1年3か月に期間延長がなされています。
3つのうちいずれかに該当する場合
消費税の負担軽減で始まったこの取り決めは、住宅性能についての条件も提示しています。
特に住宅性能基準に合格している証明があるか、適切な検査がなされたかという点が関係してくる条件です。住宅の造りを保証する3つのものとはどのようなものなのか、詳しくみていきましょう。
住宅瑕疵担保責任保険へ加入
住宅瑕疵担保責任保険とは、購入したマイホームに不備や建築上の過失があった場合に保証してもらえるという、いわば欠陥住宅を防ぐ保険のようなものです。
この保険に加入するのは、買主ではなく住宅を販売する不動産業者や売主で、買主を守る観点からこの保険へ10年間加入することが義務付けられています。保証する保険会社は国が指定する法人で、現在は5社の保証機関が不動産提供者と保険契約をしています。
この保険に加入していることで、住宅の安全性を確保できていることを知る指標になるのでとても重要な条件です。また、建設業許可をもっていない不動産会社が、任意で加入している保険もあります。その場合にも申請対象となるので、任意だからといって諦めてしまわないようにしましょう。
建設住宅性能表示を利用する住宅
この表示はその購入したマイホームがどのくらい安全に建てられているか、また高齢者にも住みよいか、環境に配慮した機能も用いているかなどが見られます。国が定めた品確法のもとに進められる制度ですが、以下の部分を考慮して判定されます。
- 耐震構造
- 構造強化による経年劣化が緩やかか
- 太陽光発電といった省エネ設備の有無
- 近隣への音漏れに配慮されているか
- バリアフリー構造か
- 防犯設備はどうか
このような項目に適していて性能表示をすることがふさわしい住宅もすまい給付金を受けられます。
住宅瑕疵担保責任保険法人による保険と同等の検査が実施された住宅
住宅瑕疵担保責任保険を提供している法人5社では、保険加入サービスだけでなく安心性をはかるために検査も実施しています。その検査と同じほどの高い基準を設けた検査を受けていることが証明できる書類がある場合にも、受給することができます。
こちらの国土交通省のページに、住宅瑕疵担保責任保険法人を提供している5社が掲載されています。
すまい給付期間の適用期間
この制度自体は2021年12月31日までと決められています。
税負担軽減の一時的措置のため、制度がずっと続くということはありません。制度の期間見直しがされない限りは来年いっぱいまでしか利用できないので、引き渡しが行われたら早めに申請するようにしましょう。
すまい給付金における住宅ローンの定義
すまい給付金制度が柱としている住宅ローン加入ですが、この制度が定めている住宅ローンの定義を詳しく知っておくことで、さらに詳しく条件をチェックすることができます。
住宅ローンとみなされるのは、次に詳しく解説する2つの点にあてはまるものです。
自らが居住する住宅のためのローン
初めに挙げた給付条件でも取り上げましたが、自分で住むことが前提になっているために住宅ローンの借り入れ理由も自分が住む家を購入するためでなければなりません。
事業を開始するための不動産であったり、セカンドハウスのため、また別居することが決まっている家族の住宅取得のために借り入れる場合は対象外になります。
借りる期間は5年以上
金融機関と借り入れ契約をする時には、どれほどの期間で返済するかという点をあらかじめ契約内容に盛り込みます。住まい給付金制度を受けるには、その借入期間が5年以上でなければならないという条件もあります。
借入期間が長ければ長いほど個人にかかる負担は大きくなるので、この制度の救済目的に当てはまる受給者と言えます。ローン返済期間が長い人は特にこの制度を大いに活用できるでしょう。
すまい給付金の受給金額はどれほどか
都道府県によって定められる所得割額ですが、一般的に設定されている目安額があります。以下は国土交通省が示している目安額です。
消費税率8% | 消費税率10% | ||
所得割額 | 給付額 | 所得割額 | 給付額 |
68,000円台まで | 30万円 | 76,000円台まで | 50万円 |
69,000円台~83,000円台 | 20万円 | 77,000円台~97,000円台 | 40万円 |
83,000円台以上 | 10万円 | 97,000円台~11万9,000円台 | 30万円 |
11万9,000円台~14万1,000円台 | 20万円 | ||
14万1,000円台~17万2,000円台 | 10万円 |
参考:国土交通省 すまい給付金HPを一部加工して作成
この金額はあくまで目安です。各都道府県によっては多少の差がある場合があります。
受給額を試算してみる
国土交通省のすまい給付金公式HPでは、扶養家族や収入を入力することで簡単にシミュレーションできるサービスを提供しています。
シミュレーション計算で用いられている式は以下のとおりです。
住宅購入時のお金の悩みを専門家に相談できるサービス「HOME’S住まいの窓口」

住宅ローンや家づくりに関して専門家に相談をするなら、LIFULL HOME’S 住まいの窓口を利用するのがおすすめです。このサービスは日本最大級の不動産・住宅情報サイトのLIFULL HOME’Sが運営する、 住まい選び・家づくりの無料相談窓口です。
LIFULL HOME'S 住まいの窓口では、主に以下の6つのサービスが受けられます。お金まわりの相談(FPの紹介)はもちろん、住まい選びや家づくりに関する相談にも幅広く対応しています。
- 自分に合う不動産会社のご紹介
- お金のアドバイス(FPの無料紹介も可能)
- 住まい選びのアドバイス
- 家づくりの進めかたのアドバイス
- 不動産会社とのスケジュール調整やお断りの代行
- 無料講座でお悩み解消
不動産会社やハウスメーカー・建築会社の選び方など、素人では判断しづらいことも、忖度のない中立な立場でアドバイスをしてもらえるので、初めて不動産を購入する人は一度利用を検討してみるとよいでしょう。特定の会社を強引に進めたり、営業電話がかかってきたりすることもないので安心して利用できます。
相談は、以下リンク先のサイトから、近くの店舗もしくはオンラインのいずれかで予約して受けられます。
すまい給付金を申請する方法
申請を首尾よくおこなうためには流れも知っておくことも大切です。次の流れで受給することができます。
- 申請書を入手
- その他必要書類準備
- 関係機関へ書類提出
- 申請内容受理後に振込
それでは、各手続き段階をどのように進めていくことができるのかをご紹介していきます。
給付申請書を手に入れる
まずは申請書の用紙をすまい給付金HPからダウンロードしましょう。以下5つの種類が用意されています。
- 新築ローンありの用紙
- 新築ローンなしの用紙
- 中古ローンありの用紙
- 中古ローンなしの用紙
- 代理申請用
それぞれ記入する内容が違うので、きちんと自分のケースに合った用紙かどうかを確認して用いましょう。また、サイト内には参考にできる記入例も用意されています。記入例を見ながら完成させて記入不備がないかも見本に照らし合わせて確認すると、スムーズに手続きできます。
申請に必要な書類を揃える
申請には大きく分けて3種類の書類が必要です。
- 本人確認ができる書類
- 住宅の性能や安全性を確認する書類
- どれほどの金額で購入したのかを確認する書類
これらの書類をあらかじめ用意しておくと、スムーズに申請をすることができます。また、前述した3つの基本書類以外にも、新しく住み始めた家が新築か中古かによって用意すべき書類が変わってきます。自分の申請するケースではどのような書類が必要になるのかを確認しておくことは大切です。
申請書以外にそろえる必要があるのは以下の書類です。取得場所はそれぞれ違うので、全てそろえるには時間がかかります。住宅購入の手続きを進めている段階から集め始めるようにしましょう。
窓口か事務局へ提出
申請は窓口に送付するか、事務局として指定されている機関に直接提出することができます。
以下は窓口で送付する場合の連絡先と、各都道府県にある指定機関を検索できる国土交通省提供のリンクです。
窓口連絡先 | 都道府県別指定機関検索リンク |
〒115‐8691 赤羽郵便局 私書箱38号 すまい給付金申請係 |
国土交通省 すまい給付金HP |
直接指定機関へ出向いての申請は必ず予約が必要です。上記の検索リンクでは連絡先も閲覧することができるので、その情報を利用して事前に予約連絡を入れてから訪ねるようにしましょう。
代理申請の場合
申請は代理の人にお願いして受け取ってもらう事も可能です。しかしその場合には、親族や知人ではなく不動産についての知識に通じた不動産会社にお願いする必要があります。
代理人は申請手続きのみを請け負うのではなく、金銭の受け渡しを代わって行います。それで、きちんとお金が物件所有者にわたるようにするために、不動産知識があり、なおかつ責任を負える相手でなければならないのでそのように取り決められています。
依頼する時には、すまい給付金事務局が指定している特約を結ぶ必要もあります。不測の事態を避けるためにも、事前に代理で受け取ってもらいたい旨を不動産会社に伝えておくと良いでしょう。
申請後に振り込み完了
書類が順調に審査を通過したあとはいよいよ給付金の支払いです。審査を通過したかどうかはハガキで通知されることになっていて、ハガキには以下の点が記載されています。
- 給付金額
- 振込予定日
- 振込口座
ハガキが到着した時点できちんと内容を確認しましょう。特に振込先口座が間違っていないかをチェックしておくことは大切です。
すまい給付金申請に必要な書類
申請書以外にそろえる必要がある書類の一覧は以下です。取得場所はそれぞれ違うので、全てそろえるには時間がかかります。住宅購入の手続きを進めている段階から集め始めるようにしましょう。
書類 | 取得場所 | 備考 |
住民票のコピー | 市区町村役所 | 共通 |
登記事項証明書 | 法務局 | |
所有者の住民税課税証明書 | 市区町村役所 | |
不動産購入時の売買契約書 | 不動産業者 | |
振込先口座がわかるもの | 金融機関の通帳 | |
適切な検査が行われたことがわかる書類 | 検査をした機関 | |
借入契約書 | ローン契約した金融機関 | ローンありのみ |
中古住宅を購入したことを証明する書類 | 不動産業者 | 中古物件のみ |
住宅性能が証明できる書類 | 各検査機関 | 新築でローンありのみ |
住宅瑕疵担保責任保険加入が確認できる書類 | 法人保険会社 | 新築のみ |
それではこの一覧書類を3つのケースをもとに、さらに詳しく解説していきます。
新築住宅ローンありの場合
上記で挙げた共通書類は、新築住宅の場合でも必要になるものです。登記事項証明書はインターネットで請求することもできます。また以下の書類は原本ではなくコピーしたものを用意できます。
- 不動産売買契約書
- 借り入れの契約書
- 住宅性能を証明する書類
住宅性能を証明する書類が用意できなければ、住宅瑕疵担保責任保険証明書で申請することもできます。
新築で住宅ローンを利用しない場合
住宅ローンを利用せず新築を購入したなら、共通する書類以外に以下の書類のうち1つを用意しなければなりません。
- フラット35Sに適合していることの証明書のコピー
- 現金購入者用の新築対象住宅証明書
- 登記優良住宅建築等計画認定通知書のコピー
中古住宅の場合
中古住宅を購入した時には基本的な準備書類以外に、次のうち1つの書類を用意しましょう。
- 既存住宅売買瑕疵保険付きの保証証明書
- 既存住宅性能評価書
- 住宅瑕疵担保責任保険証明書
- 建設住宅性能評価書
これらは全て原本ではなくコピーを使用することができます。
まとめ
すまい給付金は住宅購入の時にぜひ利用したいお得な制度ですが、その条件は中古か新築か、ローンがあるかなしかで変わってきます。
また、申請する時に用意すべき書類や申請用紙もケース別に違うので、自分の申請対象不動産に合ったものを事前に確認すると、手続きをする際につまずかずに済みます。
この記事で取り上げた条件区分や申請方法を参考に、ぜひお得な制度を適用期間内に賢く利用しましょう。
※「マイナビニュース不動産査定」は以下に記載されたリンク先からの情報をもとに、制作・編集しております。
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