説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりが正しく理解していないこともあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、「なぜ通信し過ぎると速度制限されるの?」という質問に答えます。
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iPhoneを含むスマートフォンは、世界中で堅調に台数を増やしています。Webブラウザやメールはパソコンと同様、携帯電話会社に囲い込まれない形での利用が可能なため、データ通信量はスマートフォン以前の携帯電話(フィーチャーフォン)よりかなり多くなります。一説によれば、その量はフィーチャーフォンの2倍とも4倍ともいわれています。
フィーチャーフォンの頃は、メーカーと携帯電話会社が協同で端末の開発を進めることが一般的でした。携帯電話会社が持つ通信設備の現状、そして設備投資計画も踏まえたうえで端末の仕様が決まるため、インフラに過度の負担が生じる心配はありません。
しかし、スマートフォンではソフトウェアが独自に進化します。iPhoneの場合、iOSはApple主導で開発が進められ、テレビ電話機能(FaceTime)など、データ通信量が増える新機能が次々投入されてきました。基本的に世界統一モデルで展開しているため、特定の携帯電話会社の事情は考慮されません。さらに、プッシュ通知のような頻繁にトラフィックを発生させるアプリが増え、YouTubeといった動画視聴アプリも普及するなど、データ通信量は増える一方です。
携帯電話会社は爆発的に増えるトラフィックに対応するしかありませんが、設備投資には多額の資金が必要となるうえ、一方ではそれほど通信量を必要としないフィーチャーフォンのユーザも多数存在します。日本でiPhoneを扱うソフトバンクとau/KDDIの場合、iPhoneを含むスマートフォン向け料金プランを若干高めに設定することで、端末の違いによる投資効率のアンバランスを緩和しようとしています。
ですから、過剰にデータ通信を行うユーザは携帯電話会社にとって頭の痛い存在です。ごく少数のユーザのために通信設備を増強するわけにはいかず、放置すれば他の利用者の通信を圧迫してしまいます。1カ月の累計でデータ通信量が7GBを超えたユーザには速度制限を実施する、という「7GB制限」は苦肉の策といえます。ヘビーユーザには困った話でしょうが、不採算を理由にパケット定額プランが値上げ/消滅するよりはマシかもしれません。