「インスタ映え」という言葉が「現代用語の基礎知識選 ユーキャン 新語・流行語大賞」の大賞となったのは、2017年のこと。もう5年近く前のことなんですね。Instagramで「映える」ことを目指して人気のスポットに出かけ、かわいいスイーツと一緒に自撮りする、そんな仕草が当たり前となった今、アメリカを中心に「リアル」が注目されています。

BeReal(ビーリアル)」は、欧米のZ世代に人気急上昇中のSNSです。アメリカの調査会社「data.ai」によると、BeRealのダウンロード数は1,000万を超え(2022年5月時点)と、2021年第4四半期から390%も増えています。日本国内では、App Storeの「ソーシャルネットワーキング」カテゴリーで52位(2022年9月1日時点)と、まだこれからという印象です。

BeRealは、ありのままの「リアル」を共有するSNS。通知が送られてきたら2分以内に写真を撮り、投稿します。写真はスマホのインカメラとアウトカメラで撮影されるため、自撮りと背景を1枚に収めた写真となります。

  • 前後カメラの写真が1枚になる「BeReal」

ありのままの姿を共有するために、BeRealには一般的なSNSにはない制約があります。もっとも大きな特徴は、1日1回ランダムな時間に撮影するよう指示されること。寝起きの時間やリラックスしている就寝前でも、「2分以内にBeRealを撮って友だちが何をしているのか見てみよう!」といったように、容赦なく通知が来ます。たった2分では着替えて化粧をしたり、場所を移動したりは難しいですよね。

  • ランダムな時間に通知が来ます

さらに、投稿できる画像はスマホアプリのカメラで撮影したものだけ。自撮りを美顔加工したり、背景にモザイクをかけたりできません。

もし2分以内に写真を撮影して投稿しなければ、遅れた時間が投稿に記載されます。「2分以内に撮れなかった」という、証(あかし)が刻まれるのです。そして自分が投稿するまで、ほかのユーザーの投稿を見られません。友だちのリアルを見るには、自分のリアルを投稿するしかないという仕掛けです。

2分以内に自撮りを背景入りで撮影して投稿するには、本当に日常が映えている「リア充」か、かなりおおらかな心を持つ人でないと厳しいですよね。

ユーザーの公開投稿が見られる「ディスカバリー」を見てみると、Z世代らしい学校の風景や、部屋でペットとくつろぐ様子などがシェアされています。今のところ海外のユーザーが多いため、外国の日常風景を見ているだけでもかなり楽しめます。これが気心知れた同士での交流となれば、もっと楽しいのかもしれませんね。筆者にはその勇気がなく、まだ誰ともつながっていません。

SNSが次々とサポートする「前後カメラ」機能

実は今、ほかのSNSでもスマホのインカメラ・アウトカメラで同時撮影する機能が立て続けにサポートされています。

Instagramは2022年7月25日、リール動画のリミックス機能のひとつとして、前後のカメラで同時撮影できる「デュアル」をリリースしました。背景と自撮りを同時に撮影できます。

  • Instagramのリール「デュアル」機能(画面左)(出典:Meta)

Snapchatも2022年8月29日、カメラ機能に「デュアルカメラ」を追加しています。デュアルカメラで撮る写真は、「縦長」、「横長」、「ピクチャー・イン・ピクチャー」、「切り取り」という4種類からレイアウトを選べます(iOS版から順次リリース)。

  • Snapchatの「デュアルカメラ」(出典:Snap)

スマホの前後カメラで同時撮影できるアプリは以前からありましたが、BeRealの流行が影響しているのか、再び注目されているようです。BeRealとInstagramは自分の様子をしっかりと伝える機能と考えられますが、Snapchatは創作のバリエーションを増やすためという理由もありそうです。

スマホの前面と背面にはカメラが配置されているのですから、1枚に収めるスタイルがもっと自然に使われてもいいですよね。スマホの進化は成熟したと言われることもありますが、アプリによってまだまだ可能性が広がりそうです。