海外でスマートウォッチを展開しているOMATEから、指輪型のスマートリング「ICE RING」が発表されました。OMATEは2013年にスマートウォッチ「TrueSmart」を発表、Appleの「Apple Watch」より2年も先にスマートウォッチ市場に参入しているメーカーです。

  • OMATEのスマートリング「ICE RING」

スマートウォッチでは老舗メーカーのOMATEですが、スマートウォッチ市場の競争激化により最近では海外でもあまり名前を聞くことは無くなっていました。2023年夏には新製品「TrueSmart 2」を発表しましたが、こちらも大きな話題にはなっていません。とはいえOMATEはスマートウォッチの開発を通じて小型センサーの搭載や電池寿命の改善など多くの技術を集積しています。

  • 最近発売されたTrueSmart 2

そこで新たに目を付けたのがスマートリング市場ということなのでしょう。スマートウォッチの背面よりもさらに面積の少ない指輪の内側にセンサーを配置し、そして指輪の大きさの中にバッテリーを組み込む技術はどの企業にもできるものではありません。またスマートリング市場はまだ立ち上がる前の段階でもあり、優れた製品を出せば市場でのリーディングポジションを奪うこともできます。

すでにいくつかの企業がスマートリングを出しているものの、ビジネス的に成功しているとはいいにくい情況です。そこでOMATEはICE RINGを自社直販だけではなく、ヨーロッパのはジュエリーショップでも販売。またファッション腕時計やラグジュアリーウォッチを展開するLOUIS PIONと提携し、同社でも販売されます。つまりICE RINGをファッションアイテムとして扱うことで、スマートリングを知らない層や興味を持っていなかった人たちに売り込もうとしているのです。

  • ICE RINGはファッションアイテムを目指す

ICE RINGのサイズは重さ2.9g、厚さは2.5mm。見た目は太めの指輪なので、たしかにファッションアイテムとしても使えそうです。スマートウォッチは基本的に片腕にしかはめないため、すでにお気に入りの腕時計を使っている人にとっては買い替えにくいもの。一方スマートリングなら現在指にはめている指輪とは別の指にはめることができます。ICE RINGのシンプルなデザインは他の指輪や自分のファッションスタイルを乱すことも無いでしょう。カラーはシルバー、ゴールド、ブラックの3色。価格は199ユーロ(約3万2,000円)です。

  • カラバリは3色展開

ICE RINGでできることは3つ。健康モニタリング、睡眠分析、フィットネス管理です。本体にあるセンサーを使って心拍数、血中酸素濃度を測定します。また活動量の計測も行い、運動のリマインドやストレスレベルの数値化なども行ってくれます。スマートウォッチに搭載されている機能とほぼ同じことを指輪のサイズで実現します。

  • 複数のセンサーなどで生体データ、運動データを取得

また睡眠分析はスマートリングならではの機能になるかもしれません。最近のスマートウォッチは睡眠分析機能を強化したモデルが増えています。しかし就寝中に腕時計を外したい人もいるでしょうし、電池が1日程度しか持たないスマートウォッチを使っている場合は就寝中に充電が必要です。一方スマートリングなら指先にはめたまま眠ることも違和感なく出来るでしょう。ICE RINGのバッテリーは20mAhで通常の使用で4から6日、最大10日間試用可能とのこと。なお充電はスタイリッシュな充電ドックを使い、30分で満充電となります。スマートフォンアプリで電池残量も見られるので、万が一寝る前に電池が切れそうでもわずかな時間で回復させることができるわけです。

  • 充電台も付属する

睡眠分析機能はICE RING内蔵のモーションセンサーを使い、睡眠中の体の動きをモニタリングします。4つの睡眠段階「覚醒」「深い眠り」「浅い眠り」「レム睡眠」を追跡。睡眠障害を評価する「ピッツバーグ睡眠質問票」に基づき、睡眠中のデータから睡眠の質をスコア化してくれます。ICE RINGを装着しているうちに日々の睡眠が改善され、書いて粋な目覚めや健康的な生活を送ることができるようになるでしょう。

  • 睡眠の質やストレスレベルを測定、スコア化し生活の質改善をサポート

そしてフィットネス管理はスマートウォッチ同様に、ランニングや水泳時の運動量を記録。他にもGPSを使用して位置情報や距離を記録できます。なおこれらのデータはクラウドには保存されず、スマートフォン内だけに保存されます。そのためデータの漏洩や悪用といった恐れも少ないといいます。

  • 高度な集積回路がICE RINGを生み出した

OMATEのスマートリング参入は実はこれが2回目で、今から約8年前にもスマートリングを販売したことがあります。フェラガモ傘下ブランドの「Ungaro」とコラボしたスマートリングを発売したのです。しかしデザインがかなり特殊で万人向けではなかったこと、連携したスマートフォンの着信をスマートリングがバイブレーションして通知するだけという単機能だったこともあり、普及には至りませんでした。

ICE RINGはファッションアイテムでありながらも高機能で健康管理を支援し、さらに販売ルートもジュエリーショップとすることでスマートリングの認知度を高める製品になるかもしれません。日本でもぜひ実店舗で販売してほしいものです。

  • スマートリングの普及なるか