シャオミの「Xiaomi 12T Pro」は日本で販売されるスマートフォンとしては初の2億画素カメラを搭載するだけではなく、120Wの急速充電に対応します。これは内蔵5,000mAhのバッテリーをわずか19分で満充電することが可能な速度です。このXiaomi 12T Proに付けられたキャッチフレーズは「神ジューデン」。まさに神がかり的な充電速度と言えるでしょう。
ところが海外ではこの神ジューデンをさらに超える速度を持つスマートフォンが発売になりました。しかもそのモデルを販売するのはXiaomi 12T Proを出しているシャオミです。シャオミが中国で11月に発売した「Redmi Note 12 Pro+ Discovery(探索版)」は業界最速を誇る210W充電に対応しています。
Redmi Note 12 Pro+ Discoveryのカメラ性能はXiaomi 12T Proと同等で、2億画素カメラに加え800万画素の超広角、200万画素のマクロの3つを搭載します。チップセットはメディアテックのDimensity 1080で、Xiaomi 12T Proが搭載するクアルコムのSnapdragon 8+ Gen 1には劣りますが、一方では充電能力で勝っているのです。なおRedmi Note 12 Pro+ Discovery 8GB+256GBモデルの中国販売価格は2,399元、約4万7,000円。さすがはコスパに優れたRedmiシリーズだけあって、2億画素カメラを搭載してもここまで安いのです。
その自慢の充電性能は、内蔵4,300mAhのバッテリーをわずか9分で充電してしまいます。Xiaomi 12T Proの19分充電でも超高速ですが、Redmi Note 12 Pro+はその半分以下の9分、10分もかからないのです。これはもはや「神」を越えた、魔ジューデンと呼んでもいいかもしれません。ここまで高速ならばコンビニでコーヒーを飲んで一服する間に満充電できてしまうでしょう。バッテリー容量が5,000mAhより少ないことを不安に思う人もいるかもしれませんが、世界最速の充電速度でその分をカバーできるわけです。
シャオミは日本でここのところRedmiシリーズを立て続けに出しており、Xiaomi 12T Proは久々のXiaomiブランドモデルとなります。しかし今回あえて「神ジューデン」というキャッチワードを作りアピールするということは、いずれ210W充電のRedmi Note 12 Pro+も日本で発売される可能性があるのかもしれません。
さてシャオミ以外にも魔ジューデンに対応するスマートフォンが登場しています。Xiaomi 12T Proが日本で発表された12月8日のほぼ同時刻に、中国ではvivoがゲーミングにも対応したハイエンドスマートフォン「iQOO 11 Pro」を発表しました。チップセットは最新のクアルコムSnapdragon 8 Gen 2を搭載、カメラは5,000万画素+5,000万画素超広角(150度魚眼対応)+1,300万画素ポートレートというちょっと変わった組み合わせ。BMWのモータースポーツ関連技術開発を行うBMW Mとコラボしたモデルも投入されます。
このiQOO 11 Proの充電性能は200W。Redmi Note 12 Pro+に10W及びませんが、内蔵4,700mAhのバッテリーを10分で充電できるとのこと。これもRedmi Note 12 Pro+の充電速度に1分負けますが、バッテリー容量はこちらのほうが400mAhも多いため両者の充電速度の差はほとんどないと言えるでしょう。またiQOO 11 Proは無線充電も高速で、50Wの出力に対応。ケーブル接続でもワイヤレスでも瞬時に充電できてしまいます。
実はvivoは2022年7月に発売した「iQOO 10 Pro」で200W充電を実現しています。Redmi Note 12 Pro+はシャオミが「世界最速充電」の座を奪うために、vivoに対抗して開発したモデルかもしれませんね。またシャオミ以外では新興国で販売されているInfinixの「Zero Ultra」が180W充電に対応し、4,500mAhの内蔵バッテリーを12分で満充電できます。このように各社の超高速充電モデルを見てみると、Xiaomi 12T Proの19分という時間が長く感じてしまうほどです。
世界を見ると120W以上の急速充電に対応したスマートフォンはすでに50機種以上が発売されていますが、さらに高速なモデルとなるとまだ数は多くありません。スマートフォンの急速充電技術ではOPPOが他のメーカーに先駆けて独自技術「VOOC」を開発しており、市販モデルでは兄弟ブランドの「OnePlus 10T 5G」などが150W充電を採用しているのが同社最速です。なおOnePlusは150W充電を「10分の充電で1日分の充電ができる」と説明していますが、実際に外出中にスマートフォンのバッテリーが低下してきたとき、適当なところで10分充電すれば家に帰宅するまで電池切れの心配は不要でしょう。
OPPOは2022年2月に実験レベルで240Wの充電技術のデモを披露しており、4,500mAhのバッテリーを9分で充電できるとのこと。これはわずかですがシャオミのRedmi Note 12 Pro+よりも高速で、今のところ世界最速です。この240W充電の開発からまもなく1年になろうとしており、もしかするとOPPOの次のモデルにこの充電技術が搭載されるかもしれません。
さてここまでスマートフォンの充電速度が高速になると、たとえばカフェなどに設置されているUSB Type-Aの10W程度の充電端子を使った充電では「気の遠くなるような」時間がかかってしまいます。そのため自分で急速充電対応の充電器を持ち、外出先でもUSB端子ではなく普通のコンセント口を探す必要が出てくるでしょう。ちょっと面倒かもしれませんが、今までのようにモバイルバッテリーを自宅で充電し、それを毎日持ち歩く必要が無くなります。
すべてのスマートフォンが神ジューデン速度になるにはまだ数年かかるでしょうが、充電速度の高速化は重いモバイルバッテリーを日々使う作業から解放してくれるのです。またスマートフォンのバッテリーが切れてどうしようもなくなった、なんて経験も少なくなっていくでしょうね。