スマートウォッチと言えば大人のものというイメージがありますが、海外では子供用のスマートウォッチが売れている国も多くあります。その用途はスケジュール管理や支払いといったスマートフォンのコンパニオンではなく、子供の安否を確認するためのセキュリティー製品として使われています。特に中国では年少の子供用スマートウォッチは大きな人気。シャオミやファーウェイなど大手メーカーだけではなく、子供用スマートウォッチ専業メーカーもあります。その中国で中学生をターゲットにしたスマートウォッチが登場しました。

  • 中学生向けのスマートウォッチ。カラバリは黒または白

中国では子供の人口だけでも日本の人口を越えるほど。国連のデータによると、中国の2019年の子供の人口は0歳から14歳までで2億4,000万人以上もいます。年齢を区切ると0歳から4歳、5歳から9歳、10歳から14歳それぞれ約8,000万人以上となっているのです。つまり子供向けのスマートウォッチだけでも十分なビジネスになるわけです。

  • 中国でみかけたスマートウォッチをはめている子供

子供向けスマートウォッチ最大手の小天才は、大人向けのスマートウォッチ顔負けの機能を搭載したモデルを多数展開しています。最新モデル「Z8」はデュアルカメラを搭載、時計部分が90度立ち上がり360度回転させることも可能、さらに時計部分そのものを取り外してアクションカメラのようにも使えます。もはやスマートウォッチを超えた存在であり、中国の子供たちの間でも大きな憧れの製品になっているとのこと。ちなみに価格は1,999元、約3万9,000円で子供用としてはかなり高価です。

  • 子供向けスマートウォッチとは思えない小天才の「Z8」

小天才のスマートウォッチは中国のみならず、台湾や香港などの中国語圏や、東南アジアでも販売中です。一部の国ではimooのブランドで販売されています。ただし最新モデルは中国国内だけでの展開。もし海外で発売したら現地の子供たちが欲しがることは間違いないでしょう。

  • 本体だけで通話したり、自転車に取り付けてアクションカムにもなる

Z8は派手なギミックだけではなく、子供を守るという安全機能もしっかりしています。位置情報は親のスマートフォン、子供のスマートウォッチどちらでも地図アプリで共有できますし、場所だけではなく建物の高さも検知し、たとえば学校の何回にいるのかといった高度も検知できます。またカメラが付いているのはとっさの時にすぐにビデオ通話で安否確認を容易にするためです。

  • 小天才のスマートウォッチは位置情報をより正確にシェアできる

親御さんには安心を、子供たちには使う楽しみを与えてくれる小天才のスマートウォッチですが、本体のデザインは落したりぶつけても壊れないようにしっかりした設計となっており、さらに本体カラーもカラフルです。2022年秋には紅葉や柿など季節をイメージさせるオレンジモデルが登場。これくらい派手な方が装着している姿も目立ちますし、子供用のスマートウォッチとしてはふさわしい色なのでしょう。

  • 中国も秋といえば紅葉や柿のシーズンだ

とはいえ子供たちもだんだんと成長するに従い、洋服など身に着けるものも子供用からすこし大人びたものへと興味が移っていくでしょう。また中学生になると制服の学校も多くあります。小学生の頃は楽しく使っていた子供向けのスマートウォッチも、中学校へ進級するとかえって腕にはめているのがはずかしい、と考える子供も増えるでしょう。しかし大人向けのスマートウォッチはカメラがありませんから安否確認用には不十分です。

そこで小天才は中学生をターゲットにしたスマートウォッチ「Z8少年版」を発売しました。小天才が子供向けスマートウォッチ市場に参入したのは2015年。その時1年生だった子供たちはすでに中学生になっていますから、上級生モデルを出すのはちょうどいいタイミングなのでしょう。

  • 小天才「Z8 少年版」。ターゲットは中学生だ

Z8少年版は基本機能はZ8と変わっておらず、4G対応でナノSIMカードを装着可能、カメラも時計の表面、裏面に装備しており、時計部分を取り外しできます。本体カラーは黒または白で、カメラ回りなどがゴールドの縁取りがされているもののきわめて落ち着いた色合いです。これならどんな制服にも合いそうですし、幼い印象もありません。

  • Z8少年版は制服を着ても似合う色合いだ

ウォッチフェースやアプリの画面も中学生くらいの学生をターゲットにしたかわいらしい雰囲気にしつつも、子供っぽさはありません。オリジナルのZ8は玩具やおもちゃの延長のような雰囲気のアプリ画面が目立ちましたが、Z8少年版はデジタル文具を思わせるデザインにも見えます。

  • Z8少年版のウォッチフェイスやアプリ画面。年少向けのデザインではない

そもそも子供向けのスマートウォッチは市場規模が大きいとはいえ、ニッチな製品です。子供たちは成長しますから、いずれその製品を使わなくなる日が来るわけです。またメーカーとしてもそれまで獲得したユーザーをみすみす手放すのは勿体ないでしょう。小天才はスマートウォッチ同士をタッチすることで友達同士となり、メッセージなどを送受信できるソーシャルサービスも提供しています。日常生活や学校での様々な話題が活発にやりとりされるSNSプラットフォームが抱える多くのユーザー数は、スマートウォッチの販売台数以上に小天才にとって貴重な資産です。

  • 小天才のスマートウォッチをタッチしあうと友達になりメッセージの送受信ができる

そう考えると、いずれ小天才は高校生向け、さらには大人向けのスマートウォッチにまで進出する可能性もあるでしょう。大人向けのスマートウォッチにはカメラ機能はありませんが、子供向け製品同様に緊急時の周辺情況を自動送信するといった用途として今後必要とされるものになるかもしれません。実際に海外では家の中で転倒してしまったときに、その情報と写真を自動的に医療機関やSOSへ発信してくれる大人向け(主に年配者向け)スマートウォッチも販売されています。

  • カメラ内蔵の年配者向けスマートウォッチ

小天才という名前はなかなかうまいネーミングですが、ユーザーの成長、ユーザー数の拡大とともに、あらゆる年齢層向けのスマートウォッチを展開する大手メーカーへと生まれ変わる日がそろそろやってくるのかもしれません。世界のスマートウォッチ市場のシェアは、1位Apple、2位サムスン、3位ファーウェイ、4位小天才(カウンターポイント調査)。小天才は子供向け製品を作っているだけですでに大手メーカーなのです。今後より高い年齢層向けの製品を展開するようになれば、Appleに次ぐ大手メーカーになりうるかもしれません。

  • 2021年のスマートウォッチシェア(右)。小天才(imoo)は世界4位だ