最近のスマートフォンは低価格モデルと高価格モデルの2極化が進んでいます。シャオミが2万円台の5Gスマートフォンを販売する一方、Appleの最新モデル「iPhone 13 Pro Max」にはついにストレージ1TBモデルが登場し、日本では税込みで19万4,800円となります。スマートフォンを日常的なコミュニケーションツールとしてライトに使うならシャオミの製品でも十分でしょうが、Appleのブランドやエコシステム、性能も捨てがたいもの。とはいえ今はキャリアによるスマートフォンの値引きにも限界があり、iPhoneを安く買うことは出来なくなっています。

iPhoneは1世代前のモデルでも十分なスペックを持っています。今回iPhone 13が発表されつつも、Appleは「iPhone 12 mini」「iPhone 11」も引き続き販売します。前モデルでも十分という人は、価格が安くなったこれらの製品を選ぶのも十分ありでしょう。また中古ショップで程度のいい製品を買うのも悪くありません。

とはいえ中古品は保証の面などで心配もあるものです。そこで韓国では通信キャリアが公式に極上程度の中古のiPhoneやGalaxyの販売を始めました。価格は安く、1年後に半額で下取りもしてくれるのでモデルによってはかなりお買い得かもしれません。

  • KTが公式に中古スマホの販売を開始

韓国のキャリア、KTが販売する中古スマートフォンは「Mint Phone(ミントフォン)」というブランドで展開されています。韓国キャリアは日本の「スマホおかえしプログラム」のような販売を行っており、2年後にユーザーからスマートフォンを回収します。その回収したものを完全初期化や消毒などを施したうえで、傷のほぼ無い状態のものを選別してMint Phoneとして販売するのです。なお韓国では新品も中古品もSIMロックはありません。

  • KTの販売するMint Phone

Mint Phoneには「S級品」と「A級品」の2種類があります。S級品は傷が1つあるかないか、A級品は傷が数個ある程度。どちらも極上品と言えます。しかもケースをつけるならその程度の傷は全く気にならないでしょう。なお価格はS級品のほうがA級品よりも高くなります。

  • S級品は傷がほぼ無い状態

  • A級品は傷が2-3個ある程度。それでも程度は十分に良い

中古スマートフォンと聞くと「使っても大丈夫だろうか」「壊れたらどうしよう」「大手キャリアに持ち込んで契約できるのだろうか」などと心配する人もいるでしょう。Mint Phoneは、そのあたりも安心です。まず本体は完全に初期化され、専用のパッケージに入れて販売されます。KTのコーポレートカラーであり、サービス名でもあるミントの色のパッケージはちょっとおしゃれな感じで、中古品というイメージはありません。また透明ケースや保護フィルム、USBケーブルももセットされているので別途買うものはありません。

  • Mint Phoneのパッケージにはアクセサリーも付属

またMint PhoneはKTと通信契約を結ぶときに、料金の割引も受けられます。中古スマートフォンでありながらも、キャリアが売る新品のスマートフォンと同じ扱いが受けられるのです。そしてMint PhoneはKTの店舗の他、大手ECサイトなどから通販で買うこともできるので気軽に購入できます。例えるならドコモの店舗や楽天のオンラインストアで、ドコモが販売する中古スマートフォンが買えるようなものです。

  • KTの店内にもMint Phoneコーナーを設置、新品スマホと同じ扱いで購入できる

そしてMint Phoneにはキャリアの1年保証があるので安心して使えます。さらに1年後、購入価格の最大50%の上限価格で買い取りをしてくれます。つまり1年使って「お返し」するなら、半額で使うことができるわけです。

  • 1年後に半額で買取してくれる。リサイクルの点からも優れたサービスだろう

たとえばiPhone 11 128GBの韓国の価格を比べてみましょう。Mint Phoneのサービス開始時である2021年8月時点で比較します。新品の価格は92万ウォン(約8万5,000円)です(現在はiPhone 13発売で価格が下がっていますが、Mint Phoneのほうも価格が下がる予定です)。

これに対してMint PhoneのS級品は63万8,000ウォン(約5万90,00円)、A級品は59万4,000ウォン(約5万5,000円)。それぞれ新品価格に対して29%、34%安くなっています。さらに1年後に半額で買取してもらえば31万9,000ウォン(約2万9,500円)、29万7,000ウォン(約2万7,500円)となり、新品の半額以下、1/3程度で使うことができるわけです。

  • ちょっと前のモデルなら実質1万円以下で使えるものもある

さすがに最新モデルのiPhone 13や1年前のiPhone 12はMint Phoneでは販売されないようですが、それ以前のモデルでよければ毎年Mint Phoneを買い替えていくと、かなりお得にスマートフォンを使うことができるというわけです。使っている途中に気に入って使い続けたいと思えば半額買取はないものの自分のものとして所有することも可能です。

日本は格安スマートフォンがここ数年で一気に増えたことから、コストを抑えたい人はそれらを選ぶこともできます。その一方でiPhoneやGalaxyの型落ち品の上位モデルを使いたいという人が中古スマートフォンに手を出そうとも、保証面などの心配からためらうケースも多いでしょう。Mint Phoneのようなキャリア公式中古スマートフォンはキャリアにとって自社回線のユーザーを増やすこともできます。日本でもぜひ同様のサービスを検討してほしいものです。