スマートフォンのディスプレイの形はどの製品を見ても長方形です。そんな中、ディスプレイを丸くしたスマートフォンが登場します。クラウドファンディングで予約中の「The Cyrcle Phone 4G」(サークルフォン4G)は、本体の外観もディスプレイも丸い世界初のスマートフォンなのです。

  • 丸いディスプレイを搭載するThe Cyrcle Phone 4G

    丸いディスプレイを搭載するThe Cyrcle Phone 4G

The Cyrcle Phone 4Gがなぜ丸いのか、クラウドファンディングの説明を読むと「SNSのアイコンも以前は四角だったものが、今は丸くなっている。人々は丸みを帯びたオブジェクトを好み、画像やビデオは丸い形にトリミングするとさらに見栄えが良くなる」とあります。たしかに丸い形状にはどことなく暖かみや自然との調和が感じられるような気がします。

ディスプレイは直径87.6mm(3.45インチ)、800x800ピクセルの円形。本体サイズは130x103x22mm、重さは147gです。丸い形をしているのでポケットやカバンからの出し入れもしやすそう。カメラは前後にそれぞれ1,300万画素のものを搭載、フロントカメラ横には温度センサーも搭載しています(体温が測れるのでしょう)。側面にはmicroUSB、USB Type-C、3.5mmヘッドホン端子を2つ、microSDカードスロット、さらにデュアルSIMカード対応のSIMカードスロットを備えます。

  • 丸い形はポケットなどから出し入れしやすい。端子類は豊富に備えている

OSはAndroid 10を搭載。一般的なスマートフォンならアプリのアイコンが4行x5段のように整然と並ぶのに対し、The Cyrcle Phone 4Gはスマートウォッチのように丸いディスプレイのため、待ち受け画面は中央の時計表示を中心にその周りにショートカットアイコンが8個並びます。よく使うアプリを配置するとしても、どのアプリをどこに置こうか、なんて楽しみながら配置したくなります。

  • 製品化前の試作モデルの待ち受け画面。ショートカットアイコンは円周上に並ぶ

チップセットはクアルコムのSnapdragonで型番は不明、メモリ3GB、ストレージ32GBということからエントリークラスの性能と思われます。しかしThe Cyrcle Phone 4Gはスペックを考えて購入するスマートフォンではありません。The Cyrcle Phone 4Gを持って使うことそのものを楽しめる製品なのです。たとえばセルフィーを撮るとき、丸いThe Cyrcle Phone 4Gを持って撮影する姿はスマートフォンを使っているようには見えません。まるで化粧品のコンパクトを持つようにして撮影できるわけです。

  • The Cyrcle Phone 4Gを使ってセルフィー。普通のスマホを使うときと違う気分で撮影できる

またThe Cyrcle Phone 4Gには2つのヘッドホン端子がありますが、これも重要な機能。2人で同じ音楽や動画を一緒に視聴できるわけです。ヘッドホン端子が2つあるスマートフォンってなかなかありませんよね。The Cyrcle Phone 4Gなら気に入った音楽や動画をSNSで広くシェアするのではなく、すぐそばにいる恋人や友人、家族などとその場ですぐに共有できるのです。この「身近な共有体験」はThe Cyrcle Phone 4Gの最大の特徴でもあるでしょう。

  • ヘッドホンを2つ接続すれば、身近な人と音楽や動画をシェアできる

丸い形は四角い形よりも手の平で持った時になじみやすく、しっかりと保持できます。丸いディスプレイに表示されるアプリは、なんだか鏡の中を見ているようなちょっと不思議な感覚で使うことができそうです。なおアプリは全画面(円形)表示の他、ディスプレイ内に四角いウインドウで表示することもできます。

  • 丸いディスプレイの使用感はちょっと不思議な感覚だ

アプリを四角いウインドウ表示したときは、ウインドウサイズを自由に変えることもできます。一部のAndroidスマートフォンが備えている、アプリのポップアップ表示に似た機能をThe Cyrcle Phone 4Gは搭載しているわけです。たとえば写真を撮るときなどはどれくらいのエリアが写るのかを確認するため四角いウインドウにしたほうがいいでしょう。

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この丸いディスプレイにソフトウェアキーボードを呼び出すと表示されないアルファベットがありそうですが、The Cyrcle Phone 4Gは画面中央にキーボードを表示してフルキーボード表示を実現しています。チャットやSNSへの入力時にやや難儀しそうですが、それも楽しみながら使うのがThe Cyrcle Phone 4Gとの正しい付き合い方なのでしょう。なお日本語のフリック入力ならキーボードを下側に表示できそうです。

  • キーボードは中央に配置してフル表示ができる

使うことや所有することが楽しめそうなThe Cyrcle Phone 4Gは、2021年10月9日までクラウドファンディングのKickstarterでプレオーダーを行っています。通信方式はLTEに対応しており、アメリカ向け、日本向け、その他向けの3バージョンを提供。発送は2022年9月と約1年先になります。

ちなみにThe Cyrcle Phone 4Gは2020年1月にラスベガスで開催されたCESで試作モデルを展示しており、その際の来客の反応から日本向けモデルを別バージョンとして用意することにしたのでしょう。日本向けを分けたということは、ドコモ、KDDI、ソフトバンクの3大キャリアに対応していると思われます。

  • CES2020で展示されていたThe Cyrcle Phone 4Gの試作機。本体は3Dプリンター印刷

なお予約価格は699ドル、約8万円。スペックを考えるとやや割高ではあるものの、The Cyrcle Phone 4Gは唯一無比の「楽しめるスマホ」です。興味ある方は検討してみてはいかがでしょうか?

  • 見た目も使い勝手も他にはない唯一無二のスマホだ