アメリカ政府の制裁措置によりファーウェイの事業が大きく影響を受けています。スマートフォン事業では製品の心臓部であるチップセットの入手が自由にできなくなり、思うように新製品が出せていません。毎年春に発表していたカメラ特化のフラッグシップモデルも2021年は7月末にようやく「P50」シリーズの発表にこぎつけました。

  • 2021年のフラッグシップモデル「P50 Pro」。発売は8月12日と例年より数か月遅れた

ライバルとなる中国の各メーカーは次々と新製品を投入しており、中国市場を見てみるとシャオミ、OPPO、vivo、realmeなどは毎月複数モデルを発売しています。またファーウェイから分離したHonorも今では中国国内のスマートフォン出荷数でファーウェイを追い抜きました。中国ではファーウェイのブランド力は今でも絶大であり、多くの消費者がファーウェイ製品に信頼と期待を寄せています。しかしファーウェイは販売するための新製品を出そうにも出せないのです。そのためスマートフォン出荷台数で次々と他のメーカーに抜かれてしまいました。

そこでファーウェイは新製品を出す以外の手法で中国国内で生き残りをかけようとしています。8月には自社のオンラインストア「Vmall」で中古スマートフォン(中国語で「二手手机」)の販売を始めました。

  • ファーウェイのオンラインストアで販売される中古スマートフォン

ファーウェイのスマートフォンは本体はもちろんのこと、カメラも歴代の製品は高い性能を誇ってきました。1、2年前のファーウェイの製品は今でも十分実用性があります。中古販売を始めたのは2019年3月に発売した「P30」「P30 Pro」と、同年9月発売の「Mate 30」「Mate 30 Pro」の4機種です。中古品は本体の程度により「99%品」と「90%品」の2種類が販売されます。たとえばMate 30 Pro 5G版の99%品は5,399元(約9万1,000円)。新品より500元(約8,000円)安くなっています。

  • 現在在庫ある中古はMate 30 Proの5G版のみ

中古販売される4機種のカメラ性能を見てみると、Mate 30 Proは4,000万画素+4,000万画素超広角+800万画素3倍望遠+深度測定カメラを搭載しています。最近はOPPOの「Find X3 Pro」のように高画質カメラを2つ搭載するスマートフォンが出てきていますが、Mate 30 Proはその先駆けなのです。

  • 高画質カメラ複数搭載の先駆けだったMate 30 Pro

ファーウェイのオンラインストアを見ると、スマートフォンの製品ラインナップは「P」シリーズ、「Mate」シリーズ、そして「nova」シリーズが多数そろえられています。ところが製品を買おうと思うと「売り切れ」や「明日10時から受付開始」といった具合の限定数販売の様子で、実際の在庫はかなり少ないようです。「ファーウェイのスマートフォンを買おうと思ったけど、あれも無い、これも無い」ではお客さんも購入を断念してしまうでしょう。中古スマートフォンの販売着手は、とにかく売るものを増やそう、ということなのです。

  • 一見すると多数のスマホが売っているが、製品ページを開くと売り切れも多い

ファーウェイは中古品販売だけではなく、既存のファーウェイ端末ユーザーに製品を末永く使ってもらおうとアフターサービスも強化しています。7月からはスマートフォン本体のメモリ(ストレージ)容量を増加するサービスも開始しました。スマートフォンを買ったものの、本体ストレージの容量が少なくて写真や動画を撮ったら一杯になってしまった、なんて経験はちょっと前のスマートフォンならよくあることでした。

  • ファーウェイのスマホストレージ増量サービス

対象になるのは2017年に発売された「P10」以降の主にハイエンドモデルで、サービスセンターでスマートフォン内部のメモリをより高い容量のものに好感してくれるのです。たとえばP10はストレージ容量が64GBのモデルがありましたが、増量サービスにより256GBまで増やすことができます。費用は659元(約1万1,000円)かかるものの、内蔵ストレージは外部メモリカードよりも高速アクセスが可能で紛失の恐れもありません。

  • 古いスマホもまだまだ使い続けられる

このほかにもバッテリー交換サービス(これは日本でも提供)、本体背面の外装交換サービスなども実施しています。ファーウェイのスマートフォンを使い続けているユーザーが新機種に買い替えなくとも、自分のものが見た目も中身もリフレッシュされればより愛着も沸くでしょうね。

なおファーウェイは2021年6月にスマートフォンの新しいシステム「HarmonyOS 2」を発表しました。従来の「Android+EMUI(ファーウェイ独自のカスタムユーザーインターフェース)」から、今後発売されるスマートフォンは全てHarmonyOS 2搭載となります。そしてこれまた古い機種もHarmonyOS 2へのアップグレードが提供されます。スマートフォンのソフトウェアに関しても、旧機種ユーザーは最新のものを利用できるのです。

  • ファーウェイは「HaromyOS」を今後のモデルのみならず、旧機種にも提供する

ファーウェイのこれらの施策は現在同社のスマートフォンを使っているユーザーにとっては有用であり、ファーウェイ製品に対する安心や信頼がより高まるのではないでしょうか。今後はぜひ他のメーカーもファーウェイに倣い類似のサービスを提供してほしいものです。