スマートフォンや音楽プレーヤーを購入したが、付属のイヤホンが貧弱で、買い換えたいという人は多いようだ。そこで本コラムでは今回から数回にわたり、標準付属品からの買い替え対象になりやすい価格帯のイヤホンをいくつかピックアップして、その使い勝手や音質などをチェックしていきたいと思う。
最初の1本は、オーディオテクニカのデュアル・シンフォニックドライバーインナーイヤーモニターヘッドホン「ATH-IM50」だ。デュアル・シンフォニックドライバーとは、ハウジング内に2つのダイナミックドライバーを配置し、それが同調して動作することで、ドライバーの歪みを抑える構造とのことだ。
実売5,000円台のショップもあり、プレーヤー付属品からの乗り換えにも最適
2014年3月現在、5,000円台後半で購入できるショップもあり、モニタースタイルのイヤホンとしては低価格だ。このぐらいの価格帯になると、音楽プレーヤーやスマートフォンに標準で付属してくるイヤホンからの乗り換え用としてもターゲットに入ってくるといえるだろう。
まずはそのスタイルを見てみよう。左がATH-IM50。右が比較用に用意したソニーのハイブリッドイヤホン「XBA-H1」だ。ハウジングのサイズはATH-IM50のほうが2回りほど大きい。ただし、XBA-H1はケーブルが下に出るタイプであるのに対して、ATH-IM50はケーブルを耳の後ろに回すタイプだ。そのため、ハウジングのサイズが大きくても、それによって外れやすくなるということはない。
ハウジングは樹脂製で、質感は価格なりのものだ。特に高級感は感じられない。ロゴの部分は濃いグレー。ATH-IM50にはブラックとホワイトの2色があり、今回使用しているのはブラックだ。少なくともブラックに関しては、あまり目立つデザインではない。
ケーブルのハウジング側はワイヤー入りでフレキシブルに変形可能だ。決まった形に保持されているわけではないので、装着するたびに、耳の形に合わせて曲げてやる必要がある。その点は面倒ではあるのだが、より正確な位置に確実に固定することが可能だ。ただし、あまり力がかかるように固定すると、耳への負担が大きくなる。
ケーブルは着脱式で、長さは1.2m。太さは実測で幅4mm×厚さ2mmといったところで、このクラスのイヤホンに標準装備されているケーブルとしては極太だ。コネクタの形式は独自タイプで、2014年3月時点では他社製の交換用ケーブルは存在していない。オーディオテクニカからは、オプションとして「AT-HDC1/1.2」「AT-HDC1iS/1.2」「AT-HDC5/1.2」の3種類が用意されている(2014年2月14日発売)。
付属ケーブルの価格から考察するATH-IM50のコストパフォーマンス
AT-HDC1/1.2は、ATH-IM50に標準装備されているものと同じもの。AT-HDC1iS/1.2は、AT-HDC1/1.2と同じ素材のケーブルにスマートフォン用のマイクとリモコンを装備したものだ。なお、オーディオテクニカの製品では、型番の後ろに「i」が付くものはiPhone/iPod用で、iSが付くものはAndroid OSを採用したスマートフォン向けだ。AT-HDC5/1.2は、芯線に6NのOFCを採用した高解像度ケーブル。シース(※)にはチタンが配合されている。ATH-IM50ユーザーとしては、スマートフォン用のAT-HDC1iS/1.2は気になるところだ。
※ シース:ケーブルの一番外側にある被覆のこと。
価格はいずれもオープンだ。推定市場価格は、AT-HDC1/1.2が3,150円前後、AT-HDC1iS/1.2が3,700円前後、AT-HDC5/1.2が7,000円前後となっている(いずれも消費税5%時点での税込み価格)。5,000円台で購入できるヘッドホン用のオプションとしては高価だが、これらはいずれもATH-IM50専用ではなく、「ATH-IM70」や、BA(バランスド・アーマチュア)ドライバーを搭載した「ATH-IM01」「ATH-IM02」「ATH-IM03」「ATH-IM04」と共用だ。AT-HDC1/1.2も、それなりのクオリティを持ったケーブルということなのだろう。となると、ATH-IM50の本体部分はどれだけ低コストというか、高コストパフォーマンスなのかということになる。
イヤピースは、シリコンイヤピース(L/M/Sサイズ)と、コンプライフォームイヤピース(Mサイズ)が付属する。シリコンイヤピースは一般的にカナル型のイヤホンに付属してくるものとそれほど差はないのだが、コンプライフォームイヤピースは独特の付け心地だ。
コンプライフォームイヤピースは、全体が一種の低反発素材でできている。装着時には全体を潰して小さくする。すると、耳の穴の中で、耳の穴の形状に膨らんで、高い密閉性を発揮する。音のエネルギーが逃げにくいため、低域再生を重視する人はこちらを使用したほうがよいだろう。
次回に続く |