暮らしの中でふと出てくるいろいろなお悩み、家電を利用して解決できることは多いもの。IT・家電ジャーナリストで家電製品総合アドバイザーの安蔵靖志さんに、おすすめ家電や使い方を紹介してもらいます。
今回のご相談
洗濯物は外で干すようにしていますが、天気の悪い日は部屋干しです。日中は仕事で家にいないため、暑い日に外で干すと取り込むころには洗濯物がバリバリになってしまうのがイヤで、そんなときも部屋干しをしています。子どもが学校から持って帰ってきた運動着や上履きなど、少しの洗濯物を室内で短い時間で乾かしたいです。(30代・女性)
三菱電機の衣類乾燥除湿機「サラリ MJ-M120TX」(実勢価格:44,000円前後)をおすすめします
衣類の部屋干しにはエアコンの「除湿(ドライ)」機能を使うのも手ですが、ピンポイントかつ短時間で衣類を乾かしたいなら「衣類乾燥除湿機」て特に効果的。ここでは三菱電機の衣類乾燥除湿機「サラリ MJ-M120TX」をおすすめします。
- 省エネ性の高い「コンプレッサー方式」を採用し、1日最大12Lのパワフル除湿
- 生乾きを見逃さない「部屋干しおまかせムーブアイ」が賢く衣類を乾燥
- 衣類や小物をピンポイントで狙って乾かせる「ズバッと乾燥モード」がユニーク
【ポイント1】省エネ性の高い「コンプレッサー方式」を採用し、1日最大12Lのパワフル除湿
衣類乾燥除湿機には大きく3つの方式があります。(1)室内の空気を冷やして結露させ、水として取り出す「コンプレッサー方式」、(2)吸湿剤に吸わせた湿気をヒーターで温めて水蒸気にし、冷やして水として取り出す「デシカント方式」、(3)コンプレッサー方式とデシカント方式を組み合わせた「ハイブリッド方式」です。それぞれのメリット・デメリットは以下の通りです。
■コンプレッサー方式
◎:省エネ性が高い
○:除湿能力が高い
△:サイズが大きい
△:本体価格が高い
◎:室温が上がりにくい
△:冬場の除湿に弱い
■デシカント方式
△:省エネ性が低い
△:除湿能力が低い
◎:サイズが小さい
◎:本体価格が安い
△:室温が上がりやすい
◎:冬場の除湿に強い
■ハイブリッド方式
◎:省エネ性が高い
◎:除湿能力が高い
×:サイズが大きい
×:本体価格が高い
◎:室温が上がりにくい
◎:冬場の除湿に弱い
冬場に結露を防止したい、冬でもしっかり部屋干しをしたいという人には、ハイブリッド方式が向いています。しかし、本体サイズが大きくて価格も高めですので、梅雨の時期に部屋干しなどに使いたい人には、コンプレッサー方式がおすすめです。
三菱電機のサラリ MJ-M120TXは、1日あたり最大で12L(西日本を中心とした60Hz地域の場合。東日本など50Hz地域では最大11L)というパワフルな除湿能力を持っています。「3次元広角狙えルーバー」で左右約100°(吹き出し口から前方100cmの場所で幅約180cm)、上下は約160°の範囲に風を送れます。
目安としては、一度に乾燥できる衣類は約6kg。たとえば約2kgの衣類(ワイシャツ2枚、パジャマ1組、Tシャツ3枚、下着7枚、タオル3枚、靴下2足)なら、「衣類乾燥(標準)部屋干しおまかせムーブアイOFF」モードで約141分(※1)、「部屋干しおまかせムーブアイON」モードなら約105分(※2)で乾かせるとのことです。
※1:消費電力量は約905Wh、電気代目安は24.4円
※2:消費電力量は約674Wh、電気代目安は18.2円
約2kgなら2時間弱で乾燥が完了し、電気代も20円かからないのであれば安心ですね。なお、電気代の目安は27円/kWhで計算、乾燥モードについては後述します。
【ポイント2】生乾きを見逃さない「部屋干しおまかせムーブアイ」が賢く衣類を乾燥
サラリシリーズのユニークなポイントは、衣類の生乾き部分を赤外線センサーで検知する「部屋干しおまかせムーブアイ」です。生乾き部分は濡れていて冷たいため、それを赤外線センサーで検知しつつ、緑色の「光ガイド」で照らして風の方向を示しながら風を吹き分けてくれます(光ガイドはオフにもできます)。これによって、標準モードよりも短時間かつ省エネで衣類を乾かせるというわけです。
もちろん、室内の湿気を取る除湿機としても活躍します。窓の結露や湿った場所を部屋干しおまかせムーブアイで検知して窓の結露を抑える「部屋サラリ」モード(使用の目安は50Hz地域で9畳まで、60Hz地域で10畳まで)と、浴室内の水滴や湿気を検知して乾かす「浴室(浴室カビガード)」モードという、2つの自動運転モードも用意しています。
【ポイント3】衣類や小物をピンポイントで狙って乾かせる「ズバッと乾燥」モードがユニーク
ここまででも魅力的なのですが、さらに特徴的なのが衣類や小物をピンポイントで狙って乾かせる「ズバッと乾燥」モードです。
上記の「光ガイド」は、通常の衣類乾燥時には面白い機能ではあるものの、乾燥や使用感に直接影響するものではありません。しかしわざわざ光ガイドを搭載したことには意味があります。
本体上部の上下左右ボタンを押して光ガイドを動かすことで、少量の衣類に風の狙いを付け、ピンポイントで乾かせるのが「ズバッと乾燥」モード。風の方向をピタッと決めようとしてもなかなか思うようにいかないものですが、光ガイドがあることで、乾かしたい洗濯物に対してピンポイントで当てられるわけです。
子どもが持ち帰ってきたスモックや体操着などを、洗ってすぐ次の日に持っていかなければならないといったケースがあります。たとえば一般的な保育園着の場合、少量だけ洗濯して「ズバッと乾燥」モードを使うことで、約16分で乾かせる(和室6畳相当、室温20℃、相対湿度70%、60Hz地域の場合)とのこと。これなら安心ですね。
そのほか、風を下に向けてふとん乾燥に使う「ふとんサラリ」モードもあります(ダブルサイズのふとんまで対応)。梅雨の時期はもちろん、寝汗をかきやすい夏場のふとん乾燥にもってこいですね。
最後に除湿機として注目したいのが、連続排水に対応している点です。サラリ MJ-M120TXの排水タンクは容量3.0Lと決して大きくはないので、ジメジメした部屋だとすぐいっぱいになってしまう場合もあります。しかし本体に市販のホースを接続することで、空気中から取り出した水を、ベランダやお風呂場などへ排水できます。連続排水に対応していない除湿機は割と多いので、宅内でいつも湿気に悩まされている場所がある家庭には注目の機能です。
こんな衣類乾燥除湿機もおすすめ
■物干しラックの下にも設置できるコンパクトモデル
シャープ「CV-P60」(実勢価格:2万円台前半~3万円台前半)
物干しラック下のデッドスペースを活用できる高さ約32cmのコンパクトなサイズを実現した、デシカント方式の衣類乾燥除湿機。1日あたりの除湿能力は、50Hz地域で5.4L、60Hz地域で5.6Lです。衣類の真下から広く風を届ける360°全周吹き出しによって、2kgの衣類なら衣類乾燥モードで約99分で乾かせます(西日本を中心とした60Hz地域の場合、消費電力量は約941Wh、電気代目安は25.4円)。シャープ独自の「プラズマクラスター7000」を搭載しており、衣類に付着した生乾き臭や、部屋干し時の気になるニオイも抑えてくれます。
■1年を通して活躍するハイブリッド方式の衣類除湿乾燥機
パナソニック「F-YHVX120」(実勢価格:55,000円前後)
コンプレッサー方式とデシカント方式を組み合わせた「ハイブリッド方式」を採用。1日あたりの除湿能力は、50Hz地域で9L、60Hz地域で10Lです。コンプレッサーの排熱をデシカント方式のヒーターに再利用することで、省エネ性を高めています。2kgの衣類なら標準モードで約104分(※3)、速乾モードだと約75分(※4)で乾かせます。
※3:消費電力量は約390Wh(50Hz)~約425Wh(60Hz)、電気代目安は10.5円(50Hz)~11.5円(60Hz)
※4:消費電力量は約856Wh(50Hz)~約894Wh(60Hz)、電気代目安は23.1円(50Hz)~24.1円(60Hz)
衣類乾燥能力としては、上記のサラリ MJ-M120TXしのぐパワフルさ。今回は本体価格も含めたコスパで三菱電機のサラリ MJ-M120TXをイチオシしましたが、日々の室内干しにフル活用したい人、寒い冬も含めて1年中活用したい人には、F-YHVX120もかなりおすすめです。
■衣類の真下から乾かせるコンパクトなデシカント方式
パナソニック「F-YZVXJ60」(実勢価格34,620円)
デシカント方式の製品。1日あたりの除湿能力は、50Hz地域で5.4L、60Hz地域で5.6Lとなります。2kgの衣類なら衣類乾燥・速乾モードで約108分で乾かせます(50Hz地域・60Hz地域とも、消費電力量は約837Wh、電気代の目安は22.6円)。電気代は高めになるものの、衣類乾燥時間はほぼハイブリッド方式に引けを取りません。高さ33.5cmとコンパクトで衣類の真下に設置できるため、部屋干しを乾かすとき場所を取らないのも魅力です。電源コードを本体内に収納できるので、除湿機が不要な時期にはクローゼットや納戸などにすっきりと片付けておけます。