一般社団法人家電製品協会(家製協、AEHA)は、2025年3月7日、東京・内幸町の帝国ホテル東京で、創立50周年記念式典を開催した。
家電製品協会は、前身となる家電製品等再資源化促進協会として、1974年9月に設立。1980年に家電製品協議会を統合し、家電製品協会となり、現在の体制を構築。家電製品の安全基準の策定や推進、家電リサイクル、消費者相談、人材育成などに取り組んでいる。
家電リサイクル事業では、エアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機の4品目を対象に、家電リサイクル法に基づく、リサイクル料金の収受と管理票の機能を持つ家電リサイクル券システムを構築。家電リサイクル法を円滑に遂行するための事業を進めている。2024年12月末時点での累計取引台数が3億2000万台を達成したという。
また、人材育成では、2001年から、家電製品エンジニア、家電製品アドバイザー資格審査制度を開始。2016年に創設したスマートマスター資格制度では、2024年10月に累計合格者数が1万人を超えたという。
さらに、1995年に家電製品PLセンターを設置。家電製品による事故や品質、安全性に関する相談を受け付け、消費者と製造業者が紛争になった場合の助言や、紛争解決をサポートしている。
記念式典で挨拶した同協会の槙公雄理事長(ソニー代表取締役社長兼CEO)は、「1974年9月に、家電製品等再資源化促進協会として設立して以来、一貫して家電製品を通じた豊かな社会の実現に邁進してきた。製品安全、ユニバーサルデザイン、省エネルギーの推進、消費者の紛争解決支援、家電リサイクルの推進、家電に関する資格制度の運営など、時代の要請に応える様々な取り組みを行ってきた。デジタル革新やAI技術の急速な進展、地球環境問題の深刻化など、家電製品を取り巻く環境は、かつてない速度で変化をしている。とくに、循環型社会の実現は喫緊の課題となっており、この実現には、家電製品のライフサイクル全般に渡る多様なステークホルダーとの連携強化が必要である。安全で、快適な暮らしに貢献するという当協会の理念は、時代が変化しても揺らぐことはない」と述べた。
来賓として挨拶した経済産業省 商務情報政策局の野原諭局長は、「2024年は、30年ぶりの高水準の賃上げや設備投資、名目GDPで600兆円超など、日本経済にとって明るい兆しが見られた。2025年も継続的な賃上げを実現し、好循環を定着させることが重要である。賃上げと投資がけん引する成長型経済の定着に向けて、積極的に支援をしていく」と述べ、「サーキュラーエコノミーを推進していくことも重要である。資源の再利用や製造過程でのCO2排出量の削減などにも効果がある。世界でサーキュラーエコノミーへの移行が進むなかで、日本は優れた循環技術を持っており、それを生かし、産官学の連携を通じて、経済成長にも貢献できる。家電製品協会は、家電製品等再資源化促進協会としてスタートしており、家電製品の排出を大きな課題として認識しながら取り組んできた経緯がある。私自身も家電リサイクル法の企画を担当していた。家電製品協会の重要性はますます高まっている」と語った。
乾杯の音頭をとった家電製品協会の評議員であり、東京大学大学院工学系研究科の梅田靖教授は、「家電製品協会は、50年間に渡って、重要な役割を果たしてきた。家電リサイクルは、ごみを無くそうというところからスタートしたが、いまでは再生プラントから生まれる高品質な再生プラスチックが引く手あまたの状態となり、時代が変わっている。国会では、資源有効利用促進法改正の動きも出てきた。アジアにおいてもサーキュラーエコノミーが注目されている。家電製品協会が活躍する場はこれからも広がっていくだろう」と語った。
また、会場では、「家電製品協会のこれからのチャレンジ」と題した約5分間の映像を放映したほか、関連事業者などに対する団体表彰も行われた。
特別功労賞は全国電機商業組合連合会、UD事業功労賞は早稲田大学人間科学学術院藤本研究室、資格認定事業功労賞としてシー・ビー・ティ・ソリューションズが表彰されたほか、家電リサイクル事業功労賞として、三菱マテリアル、SGムービング、リバーの3社が表彰された。