人間の視野を上回る範囲の写真が撮影できる広角や魚眼の撮影でも、ミラーレスとスマホの画質の違いが顕著に表れます。
スマホでは、さまざまなアタッチメントレンズ(外付けレンズ)が売られており、スマホに取り付けるだけで広角撮影や魚眼撮影ができるようになります。しかし、ひとくちにレンズといっても、ミラーレスの交換レンズとスマホのアタッチメントレンズではクオリティーが大きく異なるのです。
ミラーレスの交換レンズは、機種やシリーズごとに専用の設計となっており、異なるメーカーやシリーズのレンズは装着できません。その代わり、ベストな写りで撮れるよう工夫されています。
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マイクロフォーサーズ規格に対応したオリンパスの魚眼レンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO」
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EOS Kiss MなどのEF-Mマウントのミラーレス一眼で使えるキヤノンの広角ズームレンズ「EF-M11-22mm F4-5.6 IS STM」
かたや、スマホ用のアタッチメントレンズは汎用的な設計となっているので、1つ買えばスマホの機種を問わず利用できるのがメリットです。
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スマホ用のアタッチメントレンズの例。昨今は、クリップのような形状をしており、スマホのレンズ部分に挟み込んで利用するタイプが主流となっている。構造が単純なので、基本的にどのスマホでも使える。魚眼レンズ、広角レンズ、望遠レンズ、マクロレンズなどがセットで販売されることが多い
しかし、中央部以外はボケボケの描写になったりと、写りに関してはミラーレスの交換レンズには遠く及びません。クリップ式でスマホに挟み込む構造のレンズが多く、装着が簡単なのは評価できますが、ちょっとでも指が当たるとズレてうまく撮影できないのも欠点といえます。
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スマホ用の広角レンズを装着して撮影した写真。通常よりもワイドに写せるが、周辺部にレンズの縁が写り込んで黒くなる「ケラレ」が発生してしまっている。また、中心部以外は像が流れるようにボケて解像感がなくなっているのが分かる
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ミラーレスと広角ズームレンズの組み合わせで、被写体の近くに寄って撮影した写真。遠景からと同様に、外壁のレンガを細かく精細に描写している
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広角レンズを装着したスマホで撮影した写真。やはり、周辺部が流れるような描写になって解像感がなくなってしまった。樽状にゆがんだ描写も気になる
このように、ミラーレスは高品質な交換レンズが使えることで、望遠や広角でもよりきれいに撮れることが分かりました。次回の記事では、ミラーレスが高画質で撮れる理由をさらにチェックしていきたいと思います。
著者:大浦タケシ
宮崎県都城市生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業後、雑誌カメラマンやデザイン企画会社を経てフォトグラファーとして独立。以後、カメラ誌および一般紙、Web媒体を中心に多方面で活動を行う。日本写真家協会(JPS)会員。