前回までの話で、オイルヒーターはかなり大きめの電力消費と引き換えに、他の電気式の暖房器具とは違うレベル快適さをもたらしてくれる機器だということは分かっていただけただろうと思う。

電力不足の冬には、燃費の悪いオイルヒーターはやはり厳しい

さて、ここで当初の問題に話を戻そう。この電力不足の冬に、オイルヒーターの立ち位置について、そしていくら快適とはいえオイルヒーターを使用していても良いのだろうかという点だ。

前回の実測値では、エアコンで2時間暖房を行った際の消費電力が0.80kWhだった。一方、オイルヒーターで同じ時間暖房を行った際の消費電力が1.83kWだった。2倍以上の消費電力だ。しかも筆者が使用しているエアコンは、部屋に元から据え付けてあったもので、かなり古くグレードも低い。最新の省エネタイプのエアコンならば、この差はさらに大きくなるだろう。もちろん、オイルヒーターに省エネモデルなどというものは存在しない。この消費電力の差は、快適さのための代償としては、やはり大きすぎるのではないだろうか。電力不足の冬にオイルヒーターの立ち位置は、かなり厳しい状況だといわざるを得ない。もちろん、小さな子供や老人などがいて、安全性や健康面を重視しているというケースや、エアコンの暖房が苦手という人は話は別だ。

部屋全体を暖めるのではなく、そこにいるユーザーだけが温かければよいという考え方もある。しかし残念ながら、オイルヒーターはそういった用途には向かない。そういった用途に向いた暖房器具は、やはりカーボンヒーターなどの輻射熱を利用したものになるだろう。また、洗面所といったように限られたスペースならば、600W程度の低出力なセラミックファンヒーターなどでも十分に役に立つだろう。

完全に余談だが筆者は火鉢を使っている

前回の記事を書き終わったあと、筆者はオイルヒーターを封印してしまった。現在、筆者が暖房用に使用しているのは、火鉢だ。家電チャンネルなのに何ていうことを……という意見もあるかもしれないが、とにかく火鉢にしてしまっている。もちろん、これを読者の方に勧めているわけでは決してない。

これはこれでなかなか楽しいが、決して勧めているわけではない

燃料は木炭だ。相当に一酸化炭素を出すらしいので、換気に気を付ける必要がある。そのため、気密性を求めるオイルヒーターとは併用できない。また、灰をまき散らすので、風を起こすエアコンとの併用も、できれば行いたくないところだ。

燃料の木炭は、木材から作られる。化石燃料を使用しないので、二酸化炭素の排出量はゼロということになる。こういった理由を付けることもできるが、実際のところ、部屋の中に、小さいながらも火がある環境というのが、なかなか楽しいというのが大きな理由だ。室温は摂氏15度ぐらいで、窓を開けているときとさほど変わらないが、それでも火鉢のそばにいれば、それなりに暖かいし快適ではある。ちなみに、まだ使い始めて間もないのだが、燃費はオイルヒーターよりも悪そうだ。