前回は、エアコンとオイルヒーターの効率の違いについて話を進めた。スタンダードクラスのエアコンと比較した場合でも、エアコンとオイルヒーターとでは、4倍以上も効率が違う。

エアコンの効率面での優位は動かない。写真は三菱電機「ハイブリッド霧ヶ峰」2013年モデル

オイルヒーター使用時は部屋の広さに適したものを選ぶ

さらに興味深い事実がある。オイルヒーターの場合、10畳の広さで使用するには、1,500Wクラスのモデルが必要になる。より一般的な1,200Wクラスのモデルは8畳用だ。ここでの畳数は、断熱材入りのコンクリート住宅を想定したものだ。

それに対して、石油ファンヒーターや石油ストーブの場合、コンクリート住宅で10畳までの部屋で使えるモデルの暖房出力は、最大2.8kW前後のようだ。オイルヒーターでは1,500W、つまり1.5kWで10畳なのに、石油ストーブでは2.8kWで10畳なのだ。エアコンの場合、10畳用(冷房能力2.8kW機)の暖房能力は、3.4kW~3.6kWが一般的だ。同じ適用面積でも、機器によって、「エアコン>石油ストーブ>オイルヒーター」という順で、発生する熱量は異なっている。

その結果が、木造住宅での適用床面積の差に現われている。オイルヒーターの場合、コンクリート住宅で10畳用とされている製品では、木造住宅の適用床面積は4畳程度だ。それに対して石油ストーブでは、コンクリート住宅で10畳用とされている製品の木造住宅での適用床面積は7~8畳だ。

オイルヒーターは、住環境にシビアな暖房器具だ。部屋の広さに対して十分なパワーのオイルヒーターを使用していないと、非高率なだけでなく、あまり暖かくもならない。これには、上記のような理由が関係しているのだろう。

効率や発生する熱量が異なっても、部屋が十分暖かくなればそれでOKではないかと言う意見もあるだろう。オイルヒーターでも、暖かい部屋を作ることは可能だ。ただしそれには"とにかく部屋の広さにあったヒーターを揃えること"という条件がある。しかし、これがなかなか難しい。現在家庭用に市販されているオイルヒーターは、最大で1,500Wクラスだ。つまり10畳よりも広い部屋では、そもそもオイルヒーター単独で暖をとるのは適さないことになる。

部屋の広さ以外に気をつけることは?

もちろん広さだけではない。部屋の気密性も大きく影響してくる。すきま風が入ってくるような環境はもちろんのこと、隣の部屋との間のドアを開けたり、換気扇を動かしただけで、大きく効率は低下する。発生する熱量が、エアコンや石油ストーブなどと比べて少ないため、気を遣う部分が大きい。

これらの条件をクリアし、部屋の広さにマッチしたオイルヒーターを使用すれば、エアコンや石油ストーブよりも快適な暖房を行うことが可能だ。

オイルヒーターには、他の暖房器具にはない優れた点がいくつかある。優れた点の1つは、無風という点だ。部屋の空気をかき回さないため、ハウスダストなどを巻き上げる心配もない。喉の弱い人や、小さな子どものいる家庭には最適だ。また、安全性という面でもオイルヒーターは優れている。表面が熱くならないため、よほどのことがない限り火傷をせず、さらに火を使わないため、火災や一酸化炭素そ中毒の心配がない。この点は、エアコンにも共通するが優れた特徴だといえる。

オイルヒーターがエアコンに対して安全面で劣る唯一の点が、衝突した際に危険という点だ。エアコンの室内機が、一部の暖房エアコンを除けば、壁の上の方に設置されるのが一般的なのに対して、オイルヒーターは部屋の真ん中に置かれる鉄の塊だ。タンスの角に足の小指をぶつけて痛い思いをしたことは誰でもあるだろうが、オイルヒーターのフィンに足の小指を引っ掛けたときの痛みはその比ではない。

このフィンの形状はある意味危険だ

なお、オイルヒーターの代表的なメーカーであるデロンギの製品には、「X字型フィン」や「L字薄型フラットフィン」と呼ばれる特殊な形状のフィンを採用しているモデルがある。これらは表面積を拡げることで放熱効率を高める目的があるのだが、こういった惨事を防ぐためにも有効だ。