私がプレイしているソシャゲでは特定の強敵が出たとき「人類悪顕現」という文字が禍々しい演出と共に表示されるのだが、それを見るたび「労働のことかな?」と思う。
「万病の元」のキャッチフレーズでおなじみ、心身に害なことであまりにも有名な「労働」だが、やめたらやめたで「衣食住に困る」という健康に悪い事態に陥りがちなことでも定評がある。
つまりやってもやらなくても健康に悪いのが労働の恐ろしいところであり、さらに恐ろしいのがこれを作り出したのが人間だということだ。
「人間は自然には勝てない」というが、広範囲かつ甚大な被害、何より「去る様子がない」という自然を超えた特性を持つ労働という人工災害を作りした人間の方がよほど脅威だ。
だが、我が国もヒロポソやリゲイソを静脈に打ってまで働こうとしていた時代に比べれば、労働は体に悪いので可能な限り減らし、その上で衣食住に困らない働き方ができるようにしよう、という流れになってはきてはいる。
「普通」の働き方はアスリート並み? 働き方のバリエーションが増えたらいいよね
そしてついに名古屋の人気遊園地「レゴランド」が「週休3日制」を導入すると発表したそうだ。
育児中の社員からの要望が多かったことから、育児中に加え要介護の家族を持つ正社員を対象に週休3日制をはじめて、働きやすい職場を作っていきたいということだ。
この「週休3日制導入」に対し、世間は「9割賛成」らしいのだが「じゃあその分給料減らしてええか?」と聞くと、一気に「7割反対」という手首のホットターン現象が起きるそうだ。
「お金より人生を楽しむ時間の方が大事だよ」と言えるのは、FIREに成功した人か、実家が豊満なボディの人だけであり、多くの人間が「休みと収入」を天秤にかけた場合収入を取るのが現状である。
そもそも、休みを増やした分だけ収入が減るのなら「時短勤務」と大して変わらないという意見も多い。実際レゴランドの「週休3日制」も、週3日休んでも給料に全く影響なしという制度ではないようだ。
しかし、レゴランドの週休3日には2つのパターンがあるという。まずは、勤務実態に応じて給料が減額される「報酬削減型」であり、こちらは時短勤務と大差ない。
そしてもう一つが週40時間の労働時間を維持しながら週休3日を取得することで給与を減額しない「総労働時間維持型」である。
週4日の勤務で週40時間働こうと思ったら、単純計算で「出勤日は全て2時間残業」となり、そっちの方が子育て世帯にはハードじゃないかという気もするが、休みを残業でカバーしている分給与に変動はない。
どちらにしても、社員が休んだ分だけ何かしらの負担を負う制度であるため、これが週休3日なのかというと若干違うような気もする。
しかし、企業側もタダでさえ人手不足かつ、物価が高騰する中、社員の休みを増やし、さらに給与も以前のまま払うというのは無理がある。
やはり、子育てや介護をしながら働く人の支援は企業努力でなんとかすることではなく、国がすることだ。
そうは言っても、週休3日制導入によりレゴランドでの「働き方の選択肢が増えた」のも事実である。 働き方のバリエーションが増えれば「働ける人間」も増えるということだ。
現在、スタンダードな正社員の勤務形態は「週5日出勤8時間勤務」だと思われる。
みんなが普通にこれをやりすぎてマヒしているが、「週の7割、そして1日の3分の1の時間をかけて労働できる」というのは才能であり、誰でもできることではない。
つまり会社員は「プロ社会人」であり、カテゴリとしては「アスリート」にあたる。
健康上や家庭の事情でこの労働条件が無理という人も当然いるし、中には「社会人の才能がない」という理由で企業への入団を諦めてしまうものもいる。
企業的には「それが出来る社会性のある人に来てほしい」のであり、それができないのは甘えなのかもしれない。
しかし、できない人間を社会不適合者として切り捨てるだけでは、ひきこもりやニートを増やし、労働力はさらに減り、税収が減ってまた増税という話に持っていかれてしまうかもしれない。
それなら、働き方のほうを自由化して労働力を増やした方がまだ良いだろう。
「土日だけでなく中に1日休みがあれば精神的に楽になった」という人は多いので、週休3日になることで「これなら働ける」という人間は増えるはずだ。
また、今後は日本の職場はどんどん高齢化していくだろう。
社員のほとんどが何らかの持病を抱え、がんサバイバーも「残すは唾液腺がんのみ、前立腺と胃はかぶりすぎ」という状況になってしまうかもしれない。
だが将来的にそういった老ですら貴重な戦力になっている可能性は高く、「週5で8時間勤務」に固執していたら社員の体力的に職場が回らなくなる恐れがあるので、より自由な働き方が必要になってくるだろう。
今のところ人類悪・労働が滅びる様子はない。今我々ができる抵抗は、心身に負担の少ない働き方をして労働から受けるダメージを減らすことだけだ。
今回は子育て介護家庭のみ対象だったが、今後は全社員対象、さらに週休3日と言わずに「1日だけ40時間労働して週休6日」など、日数や労働時間をもっと自由化してほしい。
そうなれば、金はなくても「実質セミリタイア生活」も可能である。