年々夏が暑くなるばかりだ。
パソコンを破壊した老のように、まるで自分が何もしていないのに暑くなったかのような目線外しをしているが、おそらくこれは人間の環境破壊による影響なのだろう。
しかし私は何せ家から出ないため、外に出なければいけない皆様が感じているほどの暑さは感じていないと思われる。
やはり「家」は全ての場において最強であり、「災害避難勧告」などのフィールドカードを展開されない限りはまず負けることがない。ただ家カードは切りすぎると「収入」や「人間関係」などが崩壊する諸刃の剣でもあるので、初心者には乱用をおすすめしない。
つまり災害級の暑さでも外に出なければ成り立たない社会構造の方に問題がある、ということだ。
また家カードを手に入れても、今度は「足が冷えないエアコンの温度調節」に時間を取られることになる。家の中でも毎日地形は変わるのだ。
そして半袖半パンにハイソックスという家夏最適解スタイルにたどり着き、アマゾソの荷物を持ってきた人に「サッカー選手が出て来た」と思われるまでが我々の夏だ。
家から出ない人間が真夏にポソンを買っている一方で、外に出なければいけない者の間で近年市民権を得ているのが「携帯用避暑グッズ」であり、特に「ハンディファン」は人気のようだ。
ハンディファンとは、小型の扇風機のようなものであり、手持ちタイプや首にかけるタイプなどがある。
はじめて見た時は、こんな小さくてアナログなものに効果があるのかと思ったが、確かに末端冷え性の人間に風を当て続けるとみるみる弱っていくので、小さくても人体にとって「風」はかなり影響力があるのだ。
ちなみに夏の風物詩である西川貴教ニキが強風を受けて夏になった体を冷やしているのは『HIGH PRESSURE』で、Yo!Say 夏が胸を刺激しているのは『HOT LIMIT』である。
もはやクーラーは生命維持装置、最大の脅威はやはり…?
しかし、このハンディファンにも危険性があるとして注意喚起がなされているようだ。
風を直に当てすぎて、人生と血行がドン詰まりの中高年を中心に低体温になってしまったのかと思ったがどうやら逆のようである。
気温が想定外に上がってしまったため、屋外ではハンディファンから送られる風が「熱風」と化し、それを浴び続けることでかえって熱中症のリスクが高まってしまったという。
「エアコン全然冷えねえなあ、まあ今年もフィルター掃除してねえし仕方ねえか」と思っていたら「暖房」を押していたというのはよくあることだが、こちらは熱風を直接顔に当て続けているためより危険である。
ある意味マゾヒスト集団サウナーが好んで受けるロウリュをお手軽に楽しめているとも言えるが、こちらは体調が乱れていくばかりで整うことはない。
実際、最近は扇風機を単体で使うのではなく、エアコンとサーキュレーターを併用しろなど、神と電気代を恐れぬ提唱がなされている。
それと同じように、ハンディファンもそれだけで使用せず「濡れタオル」などの併用が勧められている。
濡れタオルを首にかけた状態でハンディファンを使用すれば、気化熱により熱風が防げて涼しさも倍になるという。
「気化熱」の説明については何としてでも省きたいところだが、風呂上りにろくに体も拭かずにエアコンや扇風機に当たり続けた人間の顔色がどんどん悪くなっていくように、風を当てることにより液体が蒸発し、その際に周囲の熱を奪うため、普通に風を当てるより冷えるという理屈らしい。
首に濡れたタオルを巻いたら首元が濡れて気持ち悪くないかとも思うが、人間は首元ビチャビチャでもなかなか死なないが、熱中症では死ぬ。
このように最近の暑さは規格を越えており、熱中症は首ビチャなど多少の犠牲を払ってでも防がなければいけないことになってきている。
災害レベルの暑さというのはオーバー表現ではなく、そんな時にむやみに外に出るのは、台風の中田んぼを見に行くレベルの迂闊と思った方が良いだろう。
この災害を防ぐ基本は「室内でエアコン」の一択だが、災害的酷暑に他の災害がぶつかるという、W災害バーガーになることも珍しくなく、実際今年の夏も台風や大雨の被害が出ていた。
その際に困るのが「停電」である。猛暑の中エアコンが使えないのは死に直結する、そんな時どのように暑さ対策をしたら良いかというと、まずは服装だ。
家の中にいるという地の利を生かして全裸になりたいところだが、全裸だと汗がまとわりつき、いつまでも体感温度が下がらないという問題もあるらしいし、停電レベルの災害時全裸というのは挑戦的すぎるので、通気性と吸汗性の高い衣服を用意しておくとよいだろう。
また、前述の気化熱を生かし濡れタオルを巻いてうちわで仰いだり、水道が無事なら水シャワーや水風呂に入ったりするのも効果的だという。
だが、災害よりも敵となるのが「昔はクーラーなしでも大丈夫だった」と言って暑さ対策を軽んじる老とも言われている。
現在の暑さが昔の暑さとは明らかに違うことぐらい、老でもわかるだろうと思うかもしれない。
もちろん老なので、昔の暑さを覚えておらず「暑さに負けなかった俺」の部分だけ鮮明に覚えている可能性もあるが、老になって暑さ寒さを感じる機能が衰えているせいもあるのだ。
しかし、感じる力が弱いだけで暑さに強くなっているわけではない。暑さに対し涼しい顔をしていた老が、いつの間にか全身冷たくなっていることもある。
もはや暑さを我慢する時代は終わった。今は暑くなくてもエアコンを入れ、喉が渇いてなくても水分を取る、首ビチャ太郎も辞さない「我慢して暑さ対策をする時代」だ。