Twitterに「認証マーク」を与えられ「公式沢薫」と化してからしばらくが経った。

公式アカウントになった感想だが「やりづらい」の一言である。

警察官など、制服がある職業の人は制服のままパチンコに行ったりしないだろうし、あまつさえその格好でCRフィーバー倖田來未を台バンしたりはしないだろう。

漫☆画太郎画伯が描くエロ本を買いに行く学生は、学生服を着た上ご丁寧に学生帽までかぶっていたりするが、実際はエロ本を買うのに学生服を着て行くわけがない。むしろ少しでも成人に見えるように、親父の釣りジャンとかを着て行くはずだ。

このように、制服など身分や所属がわかる姿をしている時、人の行動は自ずと制限されてしまうのだ。

パチンコどころか、消防士がコンビニで飯を買っているだけで「サボっている」などと苦情が入ってしまう世知辛い昨今である。

消防士に飯を食わせないほうが、自分の自宅が燃えた時「お腹が空いてホースが持てない」という事態になる気がするが、身分が明かされている状態だとそれを見る人の目は一層厳しくなる。

よって人は制服の時、無意識に目立つ行為は控えようとするのだ。

それと同じように、認証マークがついていると、あまり不穏な呟きをしない方が良い気がしてしまうのだ。特にTwitterの悪口は言いづらい。

認証マークがついていると言うことは、Twitter一味であり、それがTwitterの悪口を言うとは何事かと言う感じがしてしまう。

確かにセブソの制服を着たままセブソ商品の上げ底やパケ詐欺について熱く語ったり、突然「からあげさん最高!」と叫んだりするのはいただけない。

しかし、こちらはTwitterに認証マークをくださいと言ったわけではなく、気づいたらマークがついていたのだ。つまり朝起きたら額にTwitterマークの焼き印が押されていた感じである。

だが知らない人から見れば「Twitterに頭を下げてマークをもらった人」であり、Twitterの手の者なのだ。

もしかしたら、Twitterの悪口ばかり言っている奴を牽制するためにマークをつけたのではないかと思うほどである。

Twitter認証マークの本当の「効果」

そもそも何故「認証マーク」が必要なのか。

「あのTwitterに認められた」ことに価値があるかというと、どちらかというとそれは履歴書の賞罰欄の「罰」側に書かれることであり、ハロワの指導員にも「それはわざわざ書くな」と言われるやつだ。

認証マークの目的は、主に「なりすまし」を防ぐためである。有名人や有名団体になると、それになりすます偽アカウントが作られることがあるのだ。

偽アカウントの目的は「推しを愛するあまり、自分が推しになりたくなった」という、ただのキモ蔵の発想ならまだ良いのだが、有名人になりすまし詐欺話を持ちかけたり、本人の評判を落とすため、なりすましアカウントでド差別発言を繰り返したりと誹謗中傷のために使われる場合もある。

それを防ぐため、このアカウントは本物であると証明するのが認証マークなのだ。

そのはずだったのだが、私がそうであるように、最近のTwitterは本人の申請ではなく、自分が本物と認めた相手にマークを送りつけるようになってきている。これでは「本物である」という信憑性がちょっと薄れてしまうのではないか。

実際、私はTwitter側に私が本物のカレー沢である根拠など特に提示していないのだ。自分が作ったシステムを自分でぶっ壊すTwitterさんのビルド&スクラップ精神には脱帽である。

そもそも認証マークの主な用途がなりすまし防止なら、なりすましが現れるレベルの有名人でなければ特につける意味はないということになる。他にも何か用途があるのかもしれないが、少なくとも私はやりづらくなっただけだ。

冨樫義博先生、Twitterデビューで瞬時に200万フォロワー

  • 急に進呈された認証マークのやりづらさ…

    急に進呈された認証マークのやりづらさ…

その一方で、誕生した瞬間なりすましを疑われる大物漫画家がTwitterを始めたとして大きな話題になった。

その大物漫画家とは、「レベルE」などの人気作で知られる冨樫義博先生である。

余談だが、冨樫先生の代表作を「レベルE」という奴は特定の話題になると異常に話が長い「早口お喋り」の念能力の使い手である場合が多いので、出会った際は警戒を強め「姪が小学校に入った」など「社会性のある世間話」で対抗してほしい。

冨樫先生といえば、気づけば「HUNTER×HUNTER(ハンター×ハンター)」を3年休載しており、それ以前からそんなに表に出てくる作家ではなかったため、突然のアカウント開設に「本物なのか?」とTwitterは騒然とする。

その後、ジャンプ編集部と、ワンパンマンの作者である村田雄介先生の声明により「どうやら本物」という結論となった。

だが、その当初告知したジャンプ編集部のTwitterアカウントがなりすましだったため、「これもハンター試験か」とざわつく展開に。その後の取材や本物のジャンプ公式アカウントによるフォローによって、冨樫先生本人のアカウントであると証明された。

初回のツイートは原稿の端を載せただけだが、50万リツイートを超え、フォロワーも既に200万人を超えている。

情報化社会と言われるようになってから、情報も人の興味も移り変わりが激しく、気づいたらもう誰も4,360万円の話をしていないという状態である。

だが、一方で3年音沙汰なくても忘れないどころか、Twitterを開設しただけでこれだけ大騒ぎになる人もいるのだから、人の心というのはそこまで移り気ではないのかもしれない。

ちなみにこの記事を描くにあたり冨樫先生のアカウントを確認しようと思ったら、既に偽アカウントが結構な数できていた。

Twitter社はこういう人に認証マークを与えるべきなのではないだろうか。