ここのところ、「不況」という言葉を耳にしない日はない。テレビでは失業者が沈んだ顔でコメントする姿を映し出している。そんな中、ジャーナリストによっては強気な発言をする人もいる。つまり、すべての産業が手のつけようもないほど崩れているわけではない。分野によっては、今後の伸びを期待できるものもある。

「厳しい状況こそ、うまくやれば大きなチャンスとなるのだ」ということである。確かに、その通りである。なかでも、「環境」はいまや時代(いま)を乗り切るための「注目分野」になっていることは周知のとおり。なかでも、家電メーカーは古くから「エコ」に対する意識が高く、環境に配慮した製品開発を進めてきた。とくに、エアコンや冷蔵庫などは「エコ」の中心に存在する製品だといっていい。でも、今回取り上げるのは、「えっ? こんなものまで省エネできるんだ……」と、ため息が出てしまうようなモノを紹介しようと思う。

電波掛時計「KX319B」

それは何か、といえば時計である。時計で省エネできるのか? と、思う方もいるだろう。時計でもエネルギーの節約をうたった製品は存在するのである。今回紹介するのは電波掛時計「KX319B」。メーカーはセイコークロックだ。この時計は消費電力が従来(「KS261B」など)の約1/5という数字を実現したのである。

優れているのは「エコ」だけじゃない

消費電力が約1/5というのも驚きだが、なにより特徴的なのは、この時計は光るのである。光センサーの働きで暗くなると自動的に点灯する機能がついているのだ。夜中に目が覚めたとき、時間を確認するのに便利なのである。セイコークロックによると、携帯電話やパソコンのモニター等で使用されている「導光板」の技術というものが使われているそうだ。高輝度のLEDライトが文字板を均一に光らせているという。とはいえ、光はとてもやさしい。なので、まぶしくて眠れないということはない。また、強・弱・消の3段階で好みの明るさに切り替えることができる。暗いほうがいいというのなら、「消」に設定して点灯しないようにすることもできる。

高輝度のLEDライトで全面点灯している状態(明るさ切替「強」)

機能面でいえば、電波修正機能がついているので、自動的に表示時刻のズレを修正してくれる。この標準電波で送られる日本標準時というのはおよそ10万年に1秒の誤差といわれる超高精度の「原子時計」をもとにして管理・運用されているものだ。さらに、「おやすみ秒針」機能がより標準電波の受信感度をアップさせている。これは光センサーの働きにより、一定以下の暗さになると自動的に秒針が止まる機能だ。そうすることで、秒針によるノイズがなくなり受信感度がアップするという仕組みだ。しかも、電池が長持ちする、といった効果もおまけとして付いてくる。

数字が大きく見やすい

寝室や書斎など、静かさを求められる場所にも合うように工夫がある。たとえば、スイープセコンド。これにより秒針が滑らかな動きをする「連続秒針」になり、秒針の音が気にならないようにという配慮がある。ところで、マンションの外側に面している壁はネジが簡単に打ち込めないくらい硬い。時計をサッシの上方に掛けようと思っても石膏ボード用掛金具がなくて、あきらめた人もいるのではないだろうか。このKX319Bは石膏ボード用掛金具付き。わざわざ買いに行かなくても済むようにしてある。

デザインは落ち着いていており、私は大変気に入っている。木目の外枠が上品で、リビングの壁に掛けてもシックリ来る。寝室の壁に掛けてもウルサイ感じがしないし、書斎の本棚にも合う。しかも、デザインがいいだけでなく、文字板と数字が大きめで見やすくなっている点にも使い勝手に対する配慮が感じられる。

プレゼントにもオススメ

価格は店によって値段の差が大きいので、KX319Bは店ごとの値段を比較してから買ったほうがよさそうだ。マイコミジャーナル「価格情報」によると14,700円~21,000円(2009年1月16日現在)。最低価格と最高値の間には6,300円もの差がある。価格はプレゼントにも好適なゾーンにある。もうすぐバレンタインである。「二人で同じ時を刻みたい」などのメッセージを込めて、寝室でも使えるこの時計を贈るのはどうだろうか。恐らく、もらったほうは、ものすごく喜ぶか、あるいはドン引きか。そのどちらかであろう。

落ち着いたデザインだから書斎にもぴったり

それはそうと、もうちょっとお安いのがいいというのなら、KX320Mもある。木目の格調高さはないが、若い年齢層の方はむしろこちらのデザインのほうが部屋に合いそうだ。KX320Mは11,760円~16,800円(同)。KX320Mも店による値段の差が大きいので、じっくり探したほうがよさそうだ。

色がさわやかな「KX320M」

ともあれ、「消費電力が従来の約1/5」がうたい文句のこの時計。1/5というのは、すごい数字だ。でも、冷静になって考えてみると時計の消費電力はもともとわずかなものである。従来製品は「アルカリ単2電池4本とマンガン単3電池2本」。このKX319Bは「マンガン単3電池6本」。アルカリ単2電池4本からマンガン単3電池4本分になっただけである。しかも、やがて新エネルギーとして、石油代替エネルギーが広く普及するようになったら、今の時代の省エネのような活動は姿を消してしまうかもしれない。そうしたら、ほんの少しでもいいからエネルギーを節約しようとした21世紀初頭の活動なんて、「昔のこと」として忘れ去られてしまうのだろう。それでも、いいのである。主婦の目線でいえば、量ではないのである。大切なのは、気持ち。結果よりも、何か役に立つことをしていたいという気持ちを行動に移すことが大切なのだ。

イラスト:YO-CO