先日、近所の主婦から電話があった。彼女は、私に「知っている?」と訊ねた。主婦の中には、先生や生徒のことなど学校の情報に詳しい人がいるものだ。当の彼女がそうである。学校のことで大事なことが生じると、電話で私に教えてくれるのである。電話の相手は続けて、「2学期からしばらく給食がないの、知ってた?」と言った。私が知らずに、娘に弁当を持たせないで登校させてしまうのではないか、と思ったらしい。私はたまたま知っていた。「知ってるよ」と答えると、彼女は意外だと言いたげな声を出した。

東芝のジューサー「JC-S3」。ビタミンカラーの黄色がかわいい

近所の主婦から見ると、私は頼りない部分があるようである。否定はしないが、せめてダメならダメなりに頑張らなければ……。何に頑張るかというと、栄養バランスである。給食がお休みになって、一番心配なのは栄養のバランスが崩れることだ。

娘は給食なら野菜まで残さず食べているようだが、家では野菜に手をつけることが少ない。かぼちゃの煮物やとん汁に入ったニンジンなど、食べられる野菜は増えてきたが、それでも残すことが圧倒的に多い。お弁当はなおさらで、ブロッコリーやほうれん草は形のまま弁当箱に残って帰ってくる。給食のお休みに伴う野菜不足を解消しなければならない。そこで登場願ったのが、東芝のジューサー「JC-S3」だ。これで作った野菜ジュースを毎朝、娘に飲ませるのである。

見た目が悪いものほど美味しい?

給食は栄養士が献立を考え、栄養バランス満点。同等にはならないまでも、何種類か野菜をミックスしたジュースなら、必要なビタミンが摂れるはずだ。しかも、ジュースなら、野菜嫌いでもラクに飲める。ただし、ジュースだと繊維質が充分に摂れないのではないか、と心配になる。大丈夫である。JC-S3には「繊維調節リング」なるものがついていて、スライドさせることで、繊維や果肉の量を増減できるようになっている。

穴が開いた状態のとき、繊維や果肉が多くなる

押し棒で押して入れる。下のカップにジュースがたまる

まずは、取扱説明書に載っているレシピの一つを作ってみた。材料はニンジン、パセリ、キャベツにリンゴ。サラダにしたら、間違いなく残す食材である。それぞれ、ちょうど良い大きさに切って投入。上から押し棒でおさえるだけ。パセリのような柔らかいものは、キャベツに巻いて入れれば良いのである。

出来上がったジュースに、ヨーグルトを大さじ1杯と氷を少々入れる。出来立てを飲むのが美味しくいただくコツのようである。娘がいない間、試作品をこしらえてみた。見た目、特に色はきれいではないが、美味しいのである。リンゴの甘味が効いていて、砂糖を入れる必要はない。臭みがあったら、レモン汁やハチミツを入れようかと思ったが、その必要もなかった。レシピ通りで、充分美味しい。しかも、ビタミンと繊維が入っている。とても健康的な気分が味わえるのだ。

クランプレバーを下げるところ

JC-S3は、ニンジンやリンゴなどジュース向きの野菜、果物はどれを入れても大丈夫である。小松菜などの葉のものは丸めていれるといい。ニンジンは固いので、小さく切ったほうが早く絞れる。ただし、山芋やバナナなどの粘り気が強いもの、キウイやよもぎなどの水分が出にくいもの、そしてゴボウなどの繊維の多いもののほか、ざくろのような小さな種が多いものも向かないようだ。

手入れは簡単である。まず、クランプレバーを下げて、部品を外す。後は水洗いでOK。油がついていないので、汚れは簡単に落ちる。ケースが簡単に外れ、隅々まできれいにできるので、気持ちがいい。バスケットの網にはさまったものは、歯ブラシなどでこすると汚れがとれ、手入れは簡単である。ちなみに、価格はマイコミジャーナルで11,113円~13,800円(2008年8月下旬現在)。平均値は12,392円である。

味はイイが、臭いは悪い

娘が帰ってきたので、さっそく二人で野菜ジュースを作ることにした。
「すごく美味しいからね。パセリはキャベツに包んで入れてね」
私がそう言うと、パセリを見て3歩遠のく娘。嫌な雰囲気が漂うが、気を取り直して絞り開始。勢い良く、キャベツとパセリが吸い込まれていく。JC-S3はバスケットが深いので、しっかりと絞れるのが特徴だ。

パセリは、キャベツにくるんで入れる


「臭い」
娘がパセリとキャベツの臭いが鼻につくと言い出した。確かに、いかにも「緑」を象徴するような臭いが漂っている。でも、出来上がったジュースにはリンゴの匂いが混ざり、パセリの臭さは目立たない。
「すごく美味しいのができるから」
「本当?」

レモンジュースも作れる。すっぱい味が大人向け

私の説明に納得したかどうかはわからないが、娘はニンジンとリンゴを次々と入れた。ジュースにヨーグルトを入れて完成である。せっかく出来上がったのに、見た目の地味な色に、早くも腰が引ける娘は「私は飲まない」と言いだした。私は美味しいから、飲んでみてと説得した。しかし、娘はもう断固として嫌がっている。グラスに口をつけただけで、「ごちそうさま」と言ってグラスを置いた。

結局、私のもくろみは外れた。パセリの苦い臭いを最初にかいでしまった時点で、結果は決まっていたように思う。私が一人でジュースを作ればよかったのだ。娘には、材料はナイショにして、透明のグラスではなく、色の目立たない黒色の陶器に入れて、出せばよかったのである。しかし、諦めるのは残念だ。しばらく、どうしたものかと考えていたら、いいことを思いついたのである。今度はきっとうまく行くに違いない。策があるのである。詳細は次回にゆずる。

イラスト:YO-CO