習い事が好きな子っているのだろうか。娘は習い事が好きではない。絵画やピアノ教室を勧めたことはあるが、行きたくないと彼女は言った。ところが、先日、初めて自分からやってみたいと言い出したものがある。それは料理教室、パンとケーキを習いたいらしい。きっかけは近所の主婦に誘われた料理教室体験入学だ。ケーキをこしらえに行ったら気に入ってしまったのだ。娘は将来、パティシエになりたいと言っているので、親としては禁止する理由もない。

親子で参加したお試しのクラスで作ったものは「ロールケーキ」。スポンジ生地を焼いて、クリームをはさんで巻いたのである。家に帰ってから食べてみた。なかなか良い出来である。ところが、私と娘の分としてロールケーキは2本ある。美味しいのだが、食べきれない。 「これさぁ、パパにあげようよ」 娘は言った。食べきれないから人に勧めること自体、どうかと思うが、腐らせるよりかはマシだ。しかし、である。夫が帰ってきたとき、娘は寝ている。私は起きていることもあるが、娘が寝ている横で仕事をしているので、リビングで寝る夫とは顔を合わせない。冷蔵庫に入れても、ひとこと言っておかないと気づかないだろう。

ネットワーク普通紙ファクス・ネットワークスピークス「SP-NA640」。カラースキャナーで読み取った原稿を携帯電話やパソコンに送れる

ケータイやパソコンが使えなくてもメールができる

娘が作ったケーキを夫に食べてもらうには、前もって夫に「食べておくれ」と伝えておかなければならないのだ。携帯電話にメールを送るという手もあるのだが、娘はパソコンが使えない。ならばと、夫にメモを残しても見ないかもしれない。かといって、仕事中にケーキごときの私用で電話をかけるのもなんだか悪い。確実に伝える手はないのか。

ふと、私の頭をよぎったのはネットワーク普通紙ファクス・ネットワークスピークス「SP-NA640」だ。前回も触れたように、この製品は手で描いたメッセージを相手の携帯電話やパソコンに送信することができるのだ。娘は、パソコンはいじれないが、絵なら描ける。それを夫の携帯電話にFAXすれば良いのである。しかもスキャナーはカラー。そっけない白黒の文字ばかりのメッセージではなく、手描きのカラフルな絵。愛娘が父親である自分に宛てて描いたものである。どんなに忙しくても忘れることはないだろう。

手順はFAXを送信するのとほぼ同じ。手書きの原稿をスキャナー部分に入れて、相手先を指定して、スタートボタン押す。これだけである。早速、娘は絵を描き始めた。パステルを使って、楽しそうに描いている。

話は変わるが、伝えたいことが一瞬でわかる絵って親切だと思う。鑑賞して楽しむ絵もあるが、具体的なメッセージを伝えるときは、わかりやすいほうがいい。プロのイラストレーターが描いた絵を見ると、いつも感心してしまう。何を伝えたいのか、はっきりしているのである。そんなことを考えていたら、娘は絵を描き終えていた。出来上がったのは「海」の絵。海とケーキ何の関係があるのだ?

「海の絵が描きたかったの。海はケーキとなんの関係もないけど……」 それでも、隅のほうに申し訳なさそうにケーキが描かれている。まあ、いい。文字で「れいぞうこのケーキ、たべてね」と書いてあるから、要件はわかるだろう。ということで、早速、相手先を電話帳登録しようとボタンを押した。相手先を指定する際、送りたい相手のメールアドレスを電話帳に登録しておくのである。そのとき、問題が起きた。

スキャナーで取り込んだ絵(サイト用に軽くしてある)。解像度は300dpi(設定で変更可能)、カラーは1,677万色

携帯電話に送信したイラスト(※イメージ)

気持ちが伝わるのはカラースキャナーだから

そういえば、私は夫の携帯メールアドレスを知らないのである。近所の主婦の携帯電話にはメールを送ることもよくあるが、夫には送ったことがなかった。 「ぐうたら家ご夫婦って変わってらっしゃるのね」、ってよく言われる。大きなお世話である。別に、仲が悪いわけではないのだ。べったりするのが面倒くさいだけである。

それはそうと、アドレスがわからなかったら送れないのだが、せっかく娘が描いた絵を捨てるのはもったいない。そこで、パソコンに取り込んで保存することにした。前回も触れたが、SP-NA640のカラースキャナーでスキャンしたものは、パソコンに取り込むことができる。まず、USBケーブルでファクスとパソコンを接続。パソコン側でペイントなどを立ち上げて、スキャナーから取り込みを実行する。画質は良い。

結局、娘は翌朝、夫にケーキを食べてもらった。相変わらず、思い通りに物事が進まないぐうたら主婦である。娘は私に言った。 「人生なんて、そんなものよ」 10年しか生きていないのに、そんなことを言うなと私は叱った。でも、娘が言う通り、人生なんてそんなものかもしれない。

そういえば、この「ぐうたら主婦でごめんあそばせ」も無事50回を越すことが出来た。生きていると思い通りに行かないことによくあたるが、嬉しいこともちょっとだけある。今回で52回。ここまで続けられたのも、皆様のおかげ。感謝しています。読者の皆様、読んでくださってありがとう。次回も次々回もずっと、お越しいただくことを心よりお待ち申し上げております。どうぞ、これからもよろしくしてくださいませ。

イラスト:YO-CO