愛着の持てるデザインと実用性を兼ね備えた健康・美容アイテムを多数展開している、アテックスのルルドブランド。数年前から独自のEMS製品を積極的に手がけており、2020年10月には新製品「ルルド EMS パワーロール」(以下、EMS パワーロール)が発売された。

EMS パワーロールは、2020年春発売の「EMSシート」に次ぐ、新ブランド「ルルドスタイル」の第2弾製品。筒状の機器に身体の部位を乗せるだけで、筋肉を刺激して鍛えられるアイテムだ。EMSシートの誕生秘話を中心に紹介した前編に続き、ここではEMS パワーロールと、2019年秋に発売されたEMS美顔器の開発エピソードを語ってもらう。

  • EMSシートをベースとして筒状にすることで、身体のさまざまな部位にフィットして使えるように進化した、新製品のEMS パワーロール

    EMSシートをベースとして筒状にすることで、身体のさまざまな部位にフィットして使えるように進化した、新製品のEMS パワーロール

コロナ禍の運動不足問題に向き合うための新製品

「EMSシート」をもとに発展させ、第2弾製品として誕生した「EMS パワーロール」 。商品企画を担当したアテックス 企画マーケティング部・部長の田代晶子氏によると、開発のきっかけは、「EMSシートのオーロラに光るデザインを継承しつつ、コロナによって生じた運動不足問題に向きあえる製品を作ろう」というものだった。

ハードな運動器から座ったまま行える物まで、運動不足を解消するための製品は幅広く存在する。「誰もが家で行え、全身に使えることに加えて、能動的に運動できること」を前提に考えた結果、ローラー型に決まった。

ローラー型と振動を組み合わせたフィットネス機器は、市場には既に存在していた。しかし、EMSの機能もあわせ持つ物は初とのこと。ローラー単体でも筋肉を伸ばすことは可能だが、「筋肉がお肉の中で逃げてしまう場合もあり、EMSによって電気的な刺激で筋肉をしっかりとらえた上で、ストレッチするほうがより効果的」だという。

姉妹製品としてデザインする難しさ

しかし、「EMSシート」からアイディアを発展させたアイテムとはいえ、製品化は単純ではなかった。「ロールにEMS機能を搭載すること自体が業界初のこと。すべてが初めての試みでした」と、アテックス 商品開発本部 商品開発第2部の新地翔也氏。

  • ロール状のものにEMSを搭載すること自体が業界初の取り組み。中には振動のためのモーターも内蔵している

    ロール状のものにEMSを搭載すること自体が業界初の取り組み。中には振動のためのモーターも内蔵している

中でも苦労したのは、EMSの強度設定。身体にEMSを安定して通電させるには、身体の部位に沿った電極面を作ることが望ましい。しかし、ロールという形状がそれを阻んでしまった。

「ロール型は身体との接点が少なく、安定した通電がなかなか難しいんです。かといって、電気を強くするとピリピリが痛い! となりますし、弱いと伝わりません。そのため、電極ラインをバランスよく配置し、強度設定に試行錯誤を重ねました」と振り返る。

EMSシートのオーロラに光るデザインを受け継ぐEMS パワーロールだが、その煌びやかさを失わずにロール型にすることも「簡単なようでとても難しかった」そうだ。

「オーロラのデザインはEMSシートの透明な素材の上で活きてくるものでしたが、実はEMS パワーロールは透明ではありません。素材が違っても、EMSシートと共通のデザインに見えるように工夫しました。それに加えて、使いやすさや耐久性も兼ね備えている必要があります。スタイリッシュに見えるように、デザインのバランスやロールの太さを何度も調整しながら完成に至りました」と語る。

ビューティー用途のEMS機器も展開

アテックスでは、2019年秋にも「フェイスメイクエステ」というアイテムを発売している。「Face Makeシリーズ」という、顔用のエステ家電ブランドの第2弾として発売された製品で、EMS美顔器、温感RF(ラジオ波)、LEDフォトトリートメントという3つの機能を1台で備える美容機器だ。顔だけでなく、ボディにも使用できる汎用性の高さでも注目と人気を集めた。

  • 2019年秋に発売された「フェイスメイクエステ」。EMS美顔器、温感RF、LEDフォトトリートメントという3つの機能を持つ美顔器で、顔だけでなく身体にも使用できる形状を目指した

    2019年秋に発売された「フェイスメイクエステ」。EMS美顔器、温感RF、LEDフォトトリートメントという3つの機能を持つ美顔器で、顔だけでなく身体にも使用できる形状を目指した

マルチな機能と使用部位の多様性を実現した秘密のひとつには、独特の形状と機構・設計が挙げられる。アテックス 商品開発本部 商品開発第2部・次長の佐藤奈津貴氏は、「社内では“しゃもじ”と呼ばれていたりするんですが(笑)、頭皮にも使うと考え、ヘアブラシの形状をイメージしました」と語る。

フェイスメイクエステも、EMS機能を持つ製品として、多数の電極を備えている。注目したのは、表側の平らな面だけでなく、先端部分にまで電極を配置している点だ。佐藤氏は、その理由について次のように話した。

「広い面だけを当てるようにすると、細かな部分には使えなくなってしまいます。そこで先端部分にも電極を設け、ピンポイントでも使えるような設計にしました。これにより、指圧の効果も出すことができました」

  • 「フェイスメイクエステ」の内部構造。23本の電極針と、先端部分にも電極ヘッドを備え、多様な部位にフィットして使える

    「フェイスメイクエステ」の内部構造。23本の電極針と、先端部分にも電極ヘッドを備え、多様な部位にフィットして使える

多数の機能を持たせてつつ、内部に電極をびっしりと配置した。しかし、今度はデザイン上の課題に直面。「最終形はイメージよりも太ってきてしまいました(笑)。美容器としてデザイン性を高める必要もあり、手元は細く仕上げました。ですが、構造的にさまざまな部品が入っているために物理的な限界もあり、すべてを両立させるバランスを取るのが非常に難しかったですね」と語る。

特に苦労したのは刺激の強さだ。「全身に使うアイテムなので、いろんな面で神経を使わなければなりませんでした。痛覚というのは部位ごとに違うので、EMSはもちろん、温感RFの強度も、さまざまなパターンで検証しました。当初、顔は痛くて使えないといった問題もあったのですが、全部位に対応できるよう、電気的な制御によって調整しました」と明かす。

「お風呂でも使えるように」と防水性も備える。だが、「パーツを上下組み合わせた構造なので、水が入らない状態にするのはどうしても難しい。そこで、水が入っても問題がないような設計をしています」とのことだ。

データ検証で機器の効果を実証

EMSシートやフェイスメイクエステなど、アテックスで展開しているEMS製品はいずれも、“筋肉博士”こと大阪体育大学・石川昌紀教授の監修のもと、トレーニング効果を裏付ける実験も行われている。

「年代や性別、運動習慣の有無など幅広い層の被験者を集めて、実際に機器を使用してもらい、酸素量や心拍数、電気が走ったときの筋肉や脂肪の厚さといったデータを細かく測定しました。疲労度が上がったことで筋肉に作用して、トレーニング効果があることを実証しています」と田代氏が語るように、アテックスのEMS製品は、デザイン性や製品の新規性のみならず、健康や美容機器としての本質である実効性の検証にも抜かりなく取り組んでいる。

EMS製品に限らず、他にはないオリジナリティあふれる製品を、年に2回のペースという驚くような速さとアイテム数で発売しているアテックス。その底知れぬパワーは、常識に囚われず、自由で柔軟な発想と「世の中にないものでも作ってしまえばいい」という気概と個性あふれるスタッフ陣、それを下支えする社風にあると、インタビューを通じて再確認した。

  • 左から、アテックス 商品開発本部 商品開発第2部・新地翔也氏、商品開発本部 商品開発第2部・次長の佐藤奈津貴氏、企画マーケティング部・部長の田代晶子氏

    左から、アテックス 商品開発本部 商品開発第2部・新地翔也氏、商品開発本部 商品開発第2部・次長の佐藤奈津貴氏、企画マーケティング部・部長の田代晶子氏