さまざまな記事でお伝えしていますが、筆者はただいまエアソフトガンで撃ち合いに興じる「サバイバルゲーム」(サバゲー)にドハマりしています。
そんなサバゲーで最近よく見かけるのが、アクションカメラや360度カメラを使った動画撮影です。自分の戦いぶりや仲間との連携を映像に残し、帰宅後、その映像を肴にビールを飲む。これが筆者にとって至福の時間となっています。
というわけで、DJIのポケットジンバルカメラ「Osmo Pocket 4P」を試用した際、筆者が最初に考えたのは、本製品でサバゲーを臨場感たっぷりに撮影できるのか、ということでした。
本来、ポケットジンバルカメラは手でしっかりと保持し、被写体に向けて撮影する製品です。そのため、サバゲーの撮影には不向きであることは重々承知しています。とはいえ、今回はさまざまな工夫を凝らして撮影してみたところ、思いのほか面白い映像を収めることができました。
本稿では、通常の製品レビューとは少し趣向を変え、Osmo Pocket 4Pを実際にサバゲーへ持ち込み、どのような映像を撮影できたのか、また撮影時にどのような課題があったのかをお伝えします。
デュアルレンズを搭載したDJI初のポケットジンバルカメラ
「Osmo Pocket 4P」は、広角と中望遠のデュアルレンズを搭載したポケットジンバルカメラです。広角カメラには1インチCMOSセンサー(20mm相当、F2.0)、中望遠カメラには1/1.28インチCMOSセンサー(60mm相当、F1.8)を採用。動画は、スローモーションモード時に広角カメラで最大4K/240fps、中望遠カメラで最大4K/200fpsで撮影可能です。
本体中央部には、2インチのOLEDディスプレイ(556×314ドット、最大輝度1000ニト)を搭載。ディスプレイを時計回りに90度回転させると自動的に電源が入り、すぐに撮影を開始できます。また、本体には3つのボタンと5Dジョイスティックが用意されており、グローブを装着した状態でも基本操作が可能です。サバゲーのように、プレー中にグローブを外しにくいスポーツでも扱いやすい設計となっています。
本体サイズは159.5×63.3×33.5mm、重量は230g。容量1545mAhのバッテリーを内蔵しており、動作時間は最大210分です。充電時間は80%まで約18分、100%まで約32分となっています。
撮影データの保存用には、103GBの内蔵ストレージを備えるほか、最大1TBのmicroSDメモリーカードに対応するスロットを用意。内蔵ストレージには、1080p/24fpsの動画を最大約570分、4K/60fpsの動画を最大約210分保存できます。1080p/24fpsであれば余裕で、4K/60fpsでもほぼ1日ぶんのサバゲーの映像を撮影できるはずです。
中望遠カメラで比較的離れた場所から撮影が可能
さて、実際にOsmo Pocket 4Pを使い、サバゲーでの動画撮影を試してみました。まずはプレイヤーとしてゲームに参加せず、手持ちで撮影してみます。
本製品は広角カメラと中望遠カメラを搭載しており、画角を素早く切り替えられるため、離れた場所にいるプレイヤーも撮影しやすいですね。
サバゲーの撮影では、ふたつの理由でプレイヤーに近づくことができません。近づけば「流れBB弾」に当たる危険がありますし、撮影者の存在によって、プレイヤーの位置が相手チームにばれてしまいます。
その点、中望遠カメラで比較的離れた場所から撮影できることは、大きなメリットと言えるでしょう。
【動画】広角、中望遠の切り替えはスムーズです
サバゲー撮影で使うと断然楽しいのが、スローモーション撮影です。本製品は、広角カメラで最大4K/240fpsのハイスピード撮影に対応しています。
今回は、周囲に大量のBB弾をばらまくグレネードの作動シーンを撮影してみました。肉眼では一瞬で終わってしまう場面ですが、スローモーションで再生すると、BB弾が四方へゆっくりと飛び散る様子が克明に記録されています。このような映像をサバゲー動画に差し込めば、緊迫感を一段階引き上げることができるでしょう。
【動画】今回は1080p/240fpsで撮影しました。スローモーションで再生すると、グレネード本体が回転しながら、周囲へBB弾を勢いよく振りまいている様子がよく分かります
こちらは、別の日に撮影したサバゲー動画です。常連プレイヤーの後ろを早足で追いかけながら撮影しましたが、映像はほとんど揺れていません。大きく揺れたのは、倒木を乗り越えたときぐらい。また、電子式手ブレ補正で見られるような、不自然なゆがみやブレもほとんど見受けられません。この安定感は、物理的な3軸ジンバルを搭載したカメラならではと言えます。
【動画】自然かつ強力な手ブレ補正効果は、物理的な3軸ジンバルならではです
片手でOsmo Pocket 4P、片手でハンドガンは悪くはない
次に、自分自身の撮影にも挑戦してみました。左手でOsmo Pocket 4Pを持ち、右手でハンドガンを構えるスタイルです。実際に試してみると、これは意外に悪くありません。
自分の顔をトラッキング対象に設定しておけば、カメラを持つ手を多少雑に動かしても、自分を画面の中心付近に捉え続けてくれます。エアソフトガンを撃ったり、移動したりする様子を撮影する方法としては、なかなか面白いと思います。
ただし、両手がふさがってしまうため、マガジンを交換できないという致命的な欠点があります。もっとも、これはOsmo Pocket 4Pの問題ではありません。装弾数の多い電動ハンドガンなどを使えば、途中でマガジンを交換せずにゲームを続行可能です。まあ、実戦中に撮影と射撃を同時にこなすのは、なかなか難しいですけどね。
【動画】Osmo Pocket 4Pを握る左手はかなり揺れていますが、映像は安定しています
長物で撮影する際には20mmレールに取り付ける
次に、長物であるM4系アサルトライフルへ装着してみました。取り付けには、20mmレール対応のカメラマウントベースと、1/4インチねじ穴付きの純正ハンドルを使用しています。
Osmo Pocket 4P本体には1/4インチねじ穴がないため、複数のパーツを介するぶん取り付け位置は高くなってしまいます。ただし、それぞれのねじをしっかり締めておけば、撮影中に不安定さを感じることはありませんでした。
また、先ほどのハンドガンでの撮影と同様に、自分の顔をトラッキング対象に設定しておけば、エアソフトガンを左右にスイッチングしても顔を捉え続けてくれます。銃の向きが変わっても、カメラが自動的にこちらを向いてくれるのは便利ですね。
今回の装着方法では光学サイトの視界をふさいでしまいましたが、ハンドガードの左右にマウントを取り付ければ、光学サイトをふさがずにOsmo Pocket 4Pを装着できるでしょう。
【動画】左右にエアソフトガンをスイッチングしても、自分の顔を中心に捉え続けてくれます
戦友を撮るときは高所から撮影してBB弾を避ける
さて、ここまでは、ある問題をあえて避けてきました。それは、Osmo Pocket 4PがBB弾を被弾する危険性です。
Osmo Pocket 4Pは99,000円からの高価なポケットジンバルカメラです。BB弾が当たれば、当たりどころによっては破損する可能性が十分にあります。
そこで被弾対策としてまず考えたのが、自撮り棒などを使い、高い位置から撮影する方法です。射線から外れた高所にカメラを掲げれば、BB弾が当たるリスクを大幅に減らせます。
ただし、今回のような市街地フィールドでは、カメラの位置によって撮影しているプレイヤーの居場所を相手に知らせてしまう可能性が非常に高いですね。森林フィールドであれば、それほど目立たないかもしれませんが、自撮り棒を使って高所から撮影する場合には、事前に撮影するプレイヤーの了承を得ておいたほうがいいでしょう。
【動画】自撮り棒を使えば、ドローンのような撮影を手軽に楽しめます
20mmレールにはバリケード側に取り付ける
自分自身の撮影に限定するのであれば、Osmo Pocket 4Pをハンドガードの左右へ横向きに取り付ける方法もあります。そのうえで、カメラが常にバリケード側に隠れるように立ち回れば、破損しやすいレンズやディスプレイにBB弾が当たる可能性を大幅に引き下げられるでしょう。
ただし、ジンバルカメラは基本的に直立した状態で使用するように設計されています。真横にした状態では、エアソフトガンの傾け方や構え方によって、ジンバルの可動範囲が足りなくなる可能性があります。Osmo Pocket 4Pを上部へ直立させて装着した場合と比べると、エアソフトガンの角度や取り回しに、より注意する必要があるわけです。
フィルターを付ければ一定の保護効果はある?
なお、Osmo Pocket 4Pは保護レンズを取り外せます。また「Osmo Pocket 4P ブラックミストフィルター」(直販価格8,800円)や「Osmo Pocket 4P 広角レンズ」(直販価格8,800円)も販売されています。
なぜか記事執筆時点では、DJIストアで交換用の保護レンズは販売されていません。しかし、サポートセンターに問い合わせれば、交換パーツとして購入できる可能性はあります。また、サードパーティーからは、レンズやディスプレイ用の保護ガラスも販売されています。
これらを装着しておけば、BB弾が直接レンズやディスプレイに当たるのを防ぎ、被弾時の損傷を軽減できる可能性はあります。とはいえ、至近距離から被弾すれば、フィルターや保護ガラスごと破損する恐れがあります。あくまで気休め程度の対策と考えておいたほうがいいでしょう。
フィールドに設置して偵察カメラとして使う
最後は、少し変則的な活用方法です。Osmo Pocket 4Pは、リモートコントローラー「Osmo FrameTap」やスマートフォンの「DJI Mimo」アプリから、映像の確認や遠隔操作が可能です。
フィールドの要所に設置すれば、離れた場所から相手チームの動きを把握する偵察カメラとして利用できます。もちろん、通信距離には限界がありますし、通常のゲームで無断使用するのは当然NGです。ただし、フィールド運営者や参加プレイヤーの同意を得たうえで、特殊ルールのイベントとして実施すれば面白そうです。両チームが同じ条件で利用できれば、作戦の幅も広がるでしょう。
ただし、踏まれたり、BB弾が当たったりして破損する可能性もあるため、安易に試せる遊び方ではありません。それでも、ルールを守って運用できるのであれば、こうした新しい楽しみ方があってもいいと筆者は考えています。
【動画】トラッキング設定が必要ですが、人を追尾させることも可能です
多少の無理はあるが、サバゲー撮影の可能性を広げる1台
今回、「Osmo Pocket 4P」をサバゲーに特化してレビューしてきました。正直なところ、やや無理のある活用方法ではあります。しかし、広角と中望遠を切り替えられるデュアルカメラ、強力な3軸ジンバル、トラッキング機能は、サバゲー撮影でも大きな効果を発揮しました。
ただし、実際に使うのであれば、基本的にはプレイヤーではなく、カメラマンとして参加することを強くお勧めします。高価なカメラをBB弾が飛び交うフィールドへ持ち込む以上、被弾による破損は自己責任です。
それでも、仲間がフィールド内で躍動する姿を、滑らかで臨場感のある映像として残せるのは大きな魅力です。帰宅後、その映像を肴にビールを飲む時間まで含めて、サバゲーの楽しみがひとつ増えるはずです。
もちろん、Osmo Pocket 4Pが活躍するのはサバゲーだけではありません。自分が熱中している趣味へ持ち込み、普段とは違う視点で撮影してみれば、新たな楽しみ方を発見できることでしょう。














