3月2日から5日(現地時間)にスペイン・バルセロナで開催された、モバイル業界最大のイベント「MWC26」。日本からも楽天/KDDI/NTT/富士通などが出展。またサムスン/レノボ/シャオミ/クアルコム/エリクソンなどおなじみの企業も、それぞれ大きなブースを構えていました。会場でよく見かけたのはやはりAI関連の展示でしたが、今年は画面の中だけでなく、社会に実装されたユースケースも多く見ることができました。各社の注目の展示を振り返ります。
工夫を凝らした体験型展示で多様なAIのユースケースを紹介したKDDI
KDDIブースでは、「AIデータセンターが支える、未来の都市・未来の街角」をテーマに、花屋やコンビニを模した体験型展示が行われていました。
生花店を模したエリアでは、スマートフォンや決済の利用データなどから個人の興味関心を推測する技術を披露。ペルソナごとのICカードをかざすと「花言葉」にちなんだお花をレコメンドしてくれるというユニークなデモが人気を集めていました。
コンビニを模したエリアでは、商品開発を支援するAIツールが試せるようになっていたほか、目線を合わせて表情豊かに話すヒューマノイド「ヒナタ」も出展されていました。
モビリティのエリアでは、自律走行車の車内カメラが乗客の骨格を検知し、急病などの際に自動でアラートを上げる、遠隔監視のデモを体験することができました。
通信インフラでは、AIを活用したネットワーク運用の自動化について展示。障害原因の特定から部品交換の手配、さらには交換後のネットワークへの組み込みまでを、複数のAIエージェントが協調して行うフローが示されていました。
NTTはIOWNの最新技術、ドコモは6GのコンセプトやAIエージェントを展示
NTTグループは「Photonics Unlocks an Intelligent Power-Optimized Future」をキーメッセージに掲げ、光電融合技術によって低消費電力化を実現するIOWNの最新技術やソリューションを展示していました。
NTTドコモは、次世代の6Gを見据え、人間とAI、ロボットが共生するコンセプトを展示。遅延のない通信とAIの組み合わせによる没入型体験や、ロボットの遠隔操作のデモなども行われていました。発表されたばかりのパーソナルAIエージェント「SyncMe」の一歩先の姿として、マルチデバイスでの活用シーンを展示していたほか、「自律型復旧エージェント」など、AIを活用したネットワーク運用の自動化についても説明されていました。
楽天グループは「Open RAN」ほか楽天エコシステムでのAI活用事例を紹介
楽天グループのブースでは、完全仮想化による「Open RAN」関連の技術や製品展示ほか、Eコマースでのマッチングや、カスタマイズ広告、ネットワーク運用における障害特定の自動化など、AIの具体的な導入例を提示。さらに三木谷浩史社長が他国キャリアからの注目度が高いと語っていた、楽天経済圏のエコシステムについても、ディスプレイを使用して詳しく解説されていました。
富士通ブースでは次世代プロセッサ「MONAKA」とゴジラ体験に注目が集まる
富士通はネットワーク事業を手がける子会社の1FINITYと共同出展。開発中の次世代プロセッサ「FUJITSU-MONAKA」のウェハを展示し、2nmと5nmを組み合わせたチップレット技術を紹介していました。担当者によれば、MONAKAは高性能・省電力かつコストのバランスを最適化しているとのこと。
人気を集めていたのが、来場者が「ゴジラ」になりきる体験展示です。骨格認識AIが人の動きを瞬時に読み取って、画面上のゴジラに反映するというもの。これは、通常時はエンタメなどに使用しているGPUリソースを、非常時にはドローンなど災害対策に割り当てるという「AI-RAN」の最適化技術を示す展示にもなっていました。
ギミック満載のPCや次世代デバイス、モトローラの折りたたみスマホも展示したレノボ
レノボのブースでは、OSを横断して利用できるAIエージェント「Qira(キラ)」をアピール。カメラ/マイク/スピーカーを内蔵し、音声操作が可能なペンダント型のAIウェアラブルデバイスのデモも見ることができました。
ディスプレイを横に広げられる「Legion Pro Rollable Concept 16"」や、ディスプレイが縦に伸びる「ThinkBook Plus Gen 6 Rollable」のほか、ギミック溢れるコンセプトモデルを展示。裸眼3Dディスプレイを搭載し、AIを使って瞬時に3Dモデルを生成・編集できる機能を備えた「Yoga Book Pro 3D Concept」や、キーボードのほか、USBポートやHDMIポートを自由に付け替えられる、モジュール式PC「ThinkBook Modular AI PC Concept」が来場者の目を引いていました。
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裸眼3Dディスプレイ搭載の「Yoga Book Pro 3D Concept」
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ポートを付け替えられる「ThinkBook Modular AI PC Concept」
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モトローラ初の横折りスマホ「motorola razr fold」の実機も展示されていました
サムスンは発表されたばかりの「Galaxy S26」シリーズほか歴代Galaxyも展示
再生クオーツを用いた、美しいモニュメントが目を引いたのは、サムスンのブース。展示のメインは、日本でも3月12日から発売が開始された、最新スマートフォンの「Galaxy S26」シリーズです。通知だけ、アプリごとなど、自在にカスタムができるのぞき見防止機能「プライバシーディスプレイ」やカメラ、Galaxy AIを実機で試せるようになっていました。
広げると10インチになる三つ折りスマホ「Galaxy Z TriFold」や、Geminiと連携し視線やジェスチャーで操作できる「Galaxy XR」ヘッドセットなど、日本未発売の製品も試せるようになっていました。「Galaxy S26」シリーズと同時発表された「Galaxy Buds4 Pro」のサウンド体験のほか、Galaxy Watchを中心にした「Samsung Health」のヘルスケアシステムを紹介するコーナーも用意されていました。
シャオミのコンセプトカー「Xiaomi Vision Gran Turismo」が来場者を魅了
シャオミのブースでは、日本でもすでに発売されている「Xiaomi 17 Ultra」や「Leica Leitzphone powered by Xiaomi」のほか、日本未発売の「Xiaomi 17 Pro」シリーズなど、新製品が並んでいました。
新製品以上に来場者が足を止めていたのが、ゲーム「グランツーリスモ」の世界から飛び出してきた、流線型のEVコンセプトカー「Xiaomi Vision Gran Turismo」です。シャオミでは「Human×Car×Home」を掲げて、ほかに日本でもお披露目されたEVカー「Xiaomi SU7 Ultra」や、白物家電製品を展示していました。
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「Xiaomi Vision Gran Turismo」の周りには、常に多くの人だかりができていました
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日本では未発売の「Xiaomi 17 Pro」シリーズも展示されていました
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ブースの奥まったエリアには白物家電のコーナーも用意されていました
Qualcomm:6GからIoT、ウェアラブルまで幅広い技術を紹介
Qualcommのブースはコンシューマー向けの「Snapdragon」、エンタープライズ・IoT向けの「Dragonwing」、6Gなど最新のテクノロジーを紹介するコーナーの3つで展開されていました。
「Snapdragon」のエリアでは、CESで発表されたRazerのAIヘッドセット「Project Motoko」のほか、新たに発表されたウェアラブル向けのチップセット「Snapdragon Wearable Elite」を搭載するスマートウォッチなどを展示。ほかにもSnapdragonを搭載するウェアラブルデバイスがずらりと並べられていました。
また最新のテクノロジーのコーナーでは、「Snapdragon 8 Elite」を搭載したサムスンの「Galaxy S26」を用いた、衛星通信経由の高速データ通信の実証試験や、通信電波をレーダーのように活用するセンシング技術、「Wi-Fi 8」のデモの様子なども紹介されていました。
エリクソンの展示内容はネットワークAPIで実現する通信の収益化
今年設立150周年を迎えるエリクソンでは、通信事業者がいかにネットワーク投資を収益化するかに焦点を当てた展示が行われていました。ネットワークAPIというしくみを使ったユースケースとして、協業するソニーがデモしていたのは、報道機関向けの通信帯域の事前予約サービス。またトヨタやKDDIとの協業では、自動車に搭載したeSIMを特定エリアで自動的に書き換える事例が取り上げられていました。
このほか、ネットワークの自動化に関する展示や、6G関連の展示もたくさんありました。5Gで使用している周波数帯を6Gと共用するデモなどもあり、6Gが迫ってきていると感じました。
筆者にとっては2020年以来となるMWCでしたが、この6年の間に時代は5Gから6Gへと、大きく進んでいました。ネットワークの自動化やフィジカルAI、寄り添ってくれるAIエージェントなど、AIのユースケースもたくさん蓄積されていて、もはや社会に欠かせないものになっていることを実感しました。あとはこれがどう高度化、最適化されていくのか。時代の大きな移り変わりを引き続きウォッチしていきたいと思います。
























