ビジネス、クリエイティブ、ゲーミング、静音などさまざまなニーズに対応するPCを展開している老舗BTOメーカーのサイコム。その中でスタンダードなゲーミングPCの「G-Master Spear Series」の一つで、小型ながら高いカスタマイズ性、パワフルな性能、ハイレベルな静音性を持つのが「G-Master Spear Mini B850A」だ。本モデルのレビューを前後編に分けてお届けしよう。
コンパクトながら幅広いカスタマイズ性を実現
「G-Master Spear Mini B850A」はコンパクトなボディのゲーミングPCだ。同社のスタンダードなタワー型ゲーミングPC「G-Master Spear X870A」が容量54.9リットルで、サイズが幅220mm×奥行き506mm×高さ493mmなのに対して、本機はわずか容量26.3リットル、サイズが幅194mm×奥行き443mm×高さ305mmと52.6%もサイズ削減を実現している。
そして圧迫感のないスマートなサイズながら、カスタマイズ性が非常に高いのが大きな特徴だ。CPUはAMDのRyzen 9000/7000シリーズから10種類以上、GPUはAMDのRadeon RX 9000シリーズやNVIDIAのRTX 50シリーズを中心に20種類以上から選べる。さらに、CPUクーラー、CPUグリス、マザーボード、メモリ、SSDまで変更できるので、自分の目的や予算に最大限マッチしたスペックに仕上げることが可能だ。
加えてPCケースは今回使用したブラックカラー以外に、白とウッドが用意され、ARGB発光システム(LEDストリップ1本)の追加もできると、見た目やライティングにもこだわれる。この柔軟性の高さは老舗BTOメーカーならではの強みと言えるだろう。
今回試用した構成はAMDの最新世代CPU「Ryzen 7 9700X」、同じくAMDの最新世代GPU「Radeon RX 9060」を組み合わせたもの。Radeon RX 9060は単体販売されておらず、BTO PCだからこそ選べるレアなミドルレンジモデル。WQHD解像度までなら多くのゲームを快適に遊べるパワーを持つ。
また、PCケースはmicroATXに対応するブラックカラーの「Lian Li A3-mATX」に背面ファンとして高い冷却力と静音性を両立する「Noctua NF-F12 PWM」を組み合わせたもの。CPUクーラーも同じく冷却力と静音性に優れる「Noctua NH-U12S redux」が採用されており、冷却ファンにこだわる人なら思わず“ニヤリ”とする構成だ。
Lian Li A3-mATXは、前面側に電源ユニットを配置することで高さを抑え、microATX対応ながらコンパクトなサイズを実現している。天面、右側面はメッシュ構造で左側面はクリアな強化ガラスなので内部をしっかりと見ることが可能だ。ライティングなどでドレスアップに凝りたい人にもピッタリのPCケースと言える。簡易水冷クーラーや大型のビデオカードも搭載できるスペースも確保されており、ハイエンド構成を組めるのもポイント。このほか、試用機にはARGB発光システムも含まれていた。クリアな強化ガラスと相まってなかなか幻想的なライティングを楽しめる。
なお、PC本体だけではなく周辺機器の選択肢も充実している。キーボード、マウス、マウスパッド、スピーカー、ヘッドセット、モニター、コントローラーにそれぞれ複数の製品が用意されているので、同時に注文すれば一気にゲーミング環境を整えることが可能だ。このほか、延長保証や訪問設置サービスなども用意している。
定番ベンチで基本性能を測定! 動作音や温度も同時にチェックする
ここからは実際の性能や静音性、温度などをチェックしていこう。今回の試用機のスペックは以下の通りだ。
||2.試用機の構成| |モデル|G-Master Spear Mini B850A| |OS|Windows 11 Home| |CPU|Ryzen 7 9700X(8コア16スレッド)| |CPUクーラー|Noctua NH-U12S redux| |マザーボード|ASRock B850M Pro RS WiFi| |メモリ|32GB DDR5-5600(16GB×2)| |グラフィックス|ASRock Radeon RX 9060 Challenger 8G| |SSD|Crucial T500 CT1000T500SSD8(M.2 PCIe Gen4 SSD 1TB)| |ケース|Lian Li A3-mATX Black+背面ファン| |*電源|SilverStone Decathlon 750R Gold(80PLUS Gold)|
CPUはAMD最新世代のRyzen 9000シリーズからミドルレンジの「Ryzen 7 9700X」を採用。Zen 5アーキテクチャーを採用し、8コア16スレッド、最大5.5GHzとコア数、動作クロックともゲームプレイには十分なスペックだ。価格が手頃なのに加え、デフォルトのTDPは65Wと低いので、消費電力と発熱が小さく、静音性が高い環境を作りやすいことから人気のCPUとなっている。
試用機のビデオカードは標準構成のGeForce RTX 5060 Tiではなく、ASRock Radeon RX 9060 Challenger 8Gが搭載されていた。GPUはRadeon RX 9060でWQHD解像度をターゲットにしたミドルレンジモデル。RDNA 4アーキテクチャを採用し、8GBのビデオメモリを搭載。Compute Unitを28基、ストリームプロセッサを1,792基、レイアクセラレータを28基、AIアクセラレータを56基を備える。天板部分にLEDを内蔵しており、ライティングを楽しめるのもポイントだ。
ここからは定番ベンチマークで性能をチェックしていく。CPUパワーを測定する「Cinebench 2024」、PCの基本性能を測る「PCMark 10」、3Dベンチマークの「3DMark」を実行する。
Cinebench 2024はMulti Core、Single CoreともにRyzen 7 9700Xとして順当なスコアだ。PCMark 10のスコアも総じて高く、オフィスワークだけではなく、クリエイティブワークもある程度はこなせるスペックと言える。3DMarkもRX 9060としてアベレージスコアを出しており、小型ボディでもCPU、GPUの性能をしっかりと引き出せている。
冷却力や動作音もチェックしてみよう。サイバーパンク2077を10分間プレイした際のCPUとGPU温度をシステム監視アプリの「HWiNFO Pro」で測定した。動作音については、前面、天面、背面それぞれ10cmの位置に騒音計を設置。こちらはCinebench 2024、サイバーパンク2077をそれぞれ10分実行したときの最大値を掲載している。なお、室温は23℃だ。
CPUは平均61.3℃、GPUは平均55.3℃とコンパクトなPCケースとは思えないほどよく冷えている。CPU、GPUともそれほど発熱が多いモデルではないとは言え、かなり低い平均温度だ。天面と右側面がメッシュ仕様、Noctua製のファンの搭載が効いているのではないだろうか。そして動作音はCPUだけに負荷がかかるCinebench 2024よりも、CPUとGPUの両方に負荷がかかるサイバーパンク2077のほうが大きくなっているが、それでも前面で36.6dB、天面で37.6dB、背面で42.4dBとゲーミングPCとしては非常に静かだ。正面からだと、動作音が気になると感じる人はほとんどいないだろう。
コンパクトで実用性が高く静かに使える1台
スマートなデザインのPCケースに普段使いからゲーミングまで快適にこなせるスペックとゲームに集中しやすい静音性を確保と非常に完成度の高いデスクトップPCだ。コンパクトながらカスタマイズの幅も非常に広く、理想のスペックも追求できる。後半では、定番、人気、最新ゲームを用意し、そのゲーミング性能をさらに深く検証していく。

























