米調査会社IDCは2月26日(現地時間)、2026年の世界スマートフォン出荷台数が前年比12.9%減の11億2000万台になるとの予測を公表した。これは統計開始以来で最大の減少幅となり、年間出荷台数としては10年以上ぶりの低水準となる見通しである。IDCは、これがスマートフォンの市場環境の大きな転換点となる可能性を指摘している。
世界のスマートフォン出荷台数は2017年の約15億台をピークに、その後は横ばいから緩やかな減少傾向が続いてきた。2024年は前年比6.4%増の12億3600万台、2025年は同1.9%増の12億6000万台と2年連続で回復したものの、2026年は同12.9%減の11億2000万台へ、大幅なマイナス成長に転じる見込みである。
この急激な市場縮小の主因は、世界的なメモリ不足と、それに伴う部品価格の高騰である。IDCのフランシスコ・ジェロニモ氏は、現在の状況について「一時的な逼迫ではなく、メモリサプライチェーンに端を発する津波のような衝撃であり、その影響はコンシューマーエレクトロニクス業界全体に広がっている」と説明する。
価格面への影響も大きい。IDCは2026年のスマートフォン平均販売価格(ASP)が前年比14%上昇し、過去最高の523ドルに達すると予測する。特に影響を受けるのは、低価格帯を主戦場とするAndroidベンダーである。販売価格への転嫁を余儀なくされる可能性が高い。一方で、AppleとSamsungは相対的に耐性が高く、市場シェアを拡大する可能性があるとIDCは分析している。
中期見通しでは、2027年に前年比1.9%増と小幅な回復に転じ、2028年に5.2%の反発を予測する。ただし、IDCは市場が従来の環境に完全に戻るとは想定していない。メモリ不足は一時的な供給制約にとどまらず、TAM(獲得可能な最大市場規模)や競争環境、製品ポートフォリオの再編を促す構造的変化につながる可能性があるという。
IDCのナビラ・ポパル氏は、メモリ価格が従来より高い価格帯で恒常化した場合、エントリー市場では小規模ベンダーの再編や統合が進むとの見方を示す。メモリ価格は2027年半ばまでに安定に向かうと予測されているが、「100ドル未満のセグメント(約1億7100万台規模)は恒久的に採算が合わない状態になる可能性がある」と指摘する。
地域別では、低価格スマートフォンへの依存度が高い市場ほど影響が大きい。中東・アフリカは前年比20.6%減、中国は同10.5%減、日本と中国を除くアジア太平洋地域は同13.1%減となる見通しである。
