先日開かれたCP+2025では、メモリーカードを手がけるいくつかのメーカーが、それぞれ特色を持たせた展示をしていました。

一番スペースを取っていたのがNextorageで、正統派というか「おすすめは展示物すべて。しいて言えば新製品を含むCFexpressカード」と、メモリーカードをストレートに推していました。

  • メモリーカード系では最も広かったNextorageブース。といっても中央はステージとなっています

CP+2025と同時に発表したのが、世界初となるVPG800準拠の「NX-A2Pro」シリーズと、動画撮影向けのアドバンスモデル「NX-A2AE」シリーズで、それぞれNextorageダイレクト通販にて4月下旬より発売されます。

NX-A2Proシリーズは、CFexpress4.0対応のCFexpress Type Aカードで、pSLC(注:多値NANDを1bitしか使わないので高速かつ高耐久となる手法。欠点は容量が少なくなり単価が高くなる)を採用し、特に連写で撮影を行うユーザーにおススメな製品です。

最低継続書き込み速度800MB/sを保証するVPG800(Video Performance Guarantee 800)に対応するだけでなく、最大読み出し速度1950MB/s、最大書き込み速度1900MB/sと撮影後のパソコンなどへのデータ転送が早く、円滑なワークフローを実現します。

NX-A2AEシリーズは、Proシリーズほどの性能は求めないが長時間の動画撮影を行いたい、できれば長時間記録に耐える容量が欲しいというユーザー向けの製品で、CFexpress4.0対応のCFexpress Type Aカードですが、TLC(注:多値NANDでは現在主流の製品で、1つの記憶素子に3bitのデータを書き込むためpSLCよりも安価だが、記録はpSLCよりも遅くなる)を採用。最低継続書き込み速度800MB/sを保証するVPG800に対応するだけでなく、最大読み出し速度1950MB/s、最大書き込み速度1900MB/s(2T/1TB製品)ですが、最低継続書き込み速度は400MB/sとVPG400準拠の製品となります。

カードメーカーとして悩ましいのは、CFexpress4.0に対応したカメラが現時点で発表されていないこと。もちろん、カメラメーカーの新製品開発に協力しているとは思いますが、カメラメーカーが発表していない製品のことに言及できません。

  • 中央にあるのが、現在の高速メモリーカードの主流となっているCFexpress。CP+2025に合わせて、Type-AのCFexpress4.0対応製品を発表しました

  • こちらはType-B製品。奥に見えるのはUSB20/40Gbps接続のカードリーダーです

超小型SSDも展示していましたが、裏手の方に置いてあったこともあり、最終日まで気づきませんでした。また、HDMIを5GHz帯を使ったワイヤレスで接続するアダプターも展示。フルHDまでの対応となりますが、スマートフォンの画面を大きく表示したい場合に向いている感じです。

  • スマートフォン接続の環境も裏手に展示。こちらはUSB-Cハブを経由して電源とワイヤレスHDMIアダプタを接続しており、フルHDまでの動画表示が行えます

  • ハブ(左)とUSB-C接続のSSD(右)で動画撮影向けという説明をおこなっていました

2番目に広かったのがLexar。もちろんCFexpressカードも展示していましたが、スタッフは世界初のステンレス外装をまとうSDカード「ARMOR」シリーズやGo Portable SSDを押していました。

  • Lexarブース。こちらも中央はステージとして利用していました

前者の最大の特徴はステンレス外装。5mから落下させても破損しない強度に加えて、UHS-II接続によって最大書き込み速度205MB/s、最大読み込み速度280MB/sを達成。これはゴールドモデルのスペックですが、今後最大書き込み速度が120MB/sのシルバーモデルをECサイトでも追加販売を行います。

  • 今回イチオシと言われたのが、世界初のステンレスで強化されたSDカード「Armor」。UHS-II接続で読み込みは最高280MB/s。書き込み性能はゴールドとシルバーで異なります。すでに発売中

  • UHS-IIなので端子は2列です。ステンレス外装という事もあり、レーザー刻印です

  • CFexpress4.0対応のカードも展示していましたが、あまり大きくアピールしていませんでした

後者は、スマートフォン背面への装着を想定した超小型SSD。大量の写真や動画を入れるとストレージ不足になりますし、トラブルを考えるとバックアップも行いたいところ。そのような人向けの製品でしょう。中央のハブ経由でライトなどを接続できるようになっていたので、動画撮影に向いた製品でした。

  • USB-C接続SSD「Go Portable」。今回展示されていた外付けSSDのなかでは最も小型で、ライトも含めて接続できるハブも展示されていました

SUNEASTは新製品や開発中の製品を中心に紹介していました。

  • SUNEASTブース。3社の中では最も小さ目ですが、ステージがないので製品展示という点では最も多かった感があります

Eclipse E40はUSB4に対応した高速SSDドライブ。LexarのGo Portableほどではないですが小型軽量のうえ、40GbpsのUSB4接続ならば最大読み取り速度4000MB/s、最大書き込み速度3600Mb/s(1TBモデルは3500MB/s)という超高速がウリです。もう少し気軽に使いたいという人には、USBメモリ形状でUSB Type-A/C両対応のSSD、Eclipse E10/E05もあります。

  • 今回イチオシだったのが、USB4 40Gbps接続のSSD、Eclipse E40。MagSafe対応とこれもスマートフォンを意識していますが、今回の3社の中では最も大型で、性能重視の製品です

  • USB 3.2 Gen 2x2の製品は3種類を展示していました。普段使いという観点では、一番下のUSBメモリ形状のものがType-A/C両対応で好感が持てます

ほかには、マグネット接続のiPhone用レンズフィルターやメディアステーションも参考展示していました。単なるレンズ保護ガラスやフィルムはすでにあちこちからありますが、スターやブルーストライプ(イメージ的には陸上競技の判定画面のように青い縦線が入るそうです)といった変わり種もありました。説明員にお願いするとサンプル画像が出てきましたが、フィルターはイメージを分かりやすく表示したパネルが欲しかったところ(開発がギリギリで間に合わなかったそうです)。メモリーカードもCFexpress4.0対応製品が開発中となっていました。

  • iPhone用カメラフィルターのSnapfitも参考出品。ケースとマグネット接続のフィルターのセットで、右上のブルーストライプのようなユニークなものもありました

  • CFexpress4.0メモリーカードは現在開発中とのことですが、対応カメラが発表されていない以上、致し方ないところでしょう

三者三様の展示でしたが、CFexpress4.0対応のメモリーカードを展示・販売しても対応カメラが登場しておらず、「卵先行のイメージ」があります。今年はSDアソシエーションが出展しておらず、メモリーカード全般としてはやや不完全燃焼のイメージのあるCP+2025でした。