Activision Blizzardは2月13日(日本時間)、YouTubeやTwitchで『Overwatch 2 Spotlight』と題した配信を実施し、その中で次期「シーズン15」についての情報を明らかにしました。全く新しい「パーク」システムや「スタジアム」モード、新ヒーロー「フレイヤ」の実装など規格外に盛りだくさんな内容になる予定で、配信を眺めたプレイヤーは驚かされたはず。

今回この『Overwatch 2 Spotlight』に先駆けて、カリフォルニア・アーバインに所在するBlizzard Entertainment本社オフィスで、メディア・インフルエンサーを世界中から集めた体験会が開催されました。

忙しい方向けに体験した内容についてまとめておくと、パークシステムはオーバーウォッチの“味変”としてかなり良くできており、新鮮さを取り戻して若返りを図れるはず。スタジアムモードはかなり楽しかったですが、強化内容をいちから把握するのは少し大変かもしれません。

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通常モードに導入される「パーク」システム

体験会でのインプレッションに触れる前に、かんたんに今回発表された「パーク」システムについて振り返っておきましょう。パークはキャラクター1人に2回選択する機会があり、メジャーパークとマイナーパークの2つから選択可能。シンプルに火力が高まるようなメジャーパークと、使用感をがらりと変えつつあまり強くなるわけではないマイナーパークが存在します。

  • 試遊会のキャプチャから。ゲージがたまると左下のネームプレートがさりげなく主張するようになります

  • ハザードのパーク選択画面。バイオレントリープの火力がHP 250以上のヒーローに対して30%も増えるメジャーパークと、壁の強化を行うマイナーパークがあります

いざ試遊会で体験してみると、パークシステムはキャラクターの強化をしっかり感じられてかなり楽しめました。個人的にはやはり強みがシンプルに大きくなるメジャーパークの方が好みでしたが、頭のいいプレイヤーならエキセントリックなマイナーパークを活用して敵を翻弄することもできそう。短い時間の試遊では、意外と“ぶっ壊れ”だなと思うパークがそんなにないようにも思いました。ゲーム性ごとめちゃくちゃになる危惧からしっかり調整が行われたのかもしれません。

なお、個人的にはパークのユーザーインタフェースが少し控えめに感じました。使えるようになるとシステムボイスが入って画面左下が点灯しますが、似たようなシステムを採用している『Apex Legends』ほど一目瞭然でもありません。もっと画面の目立つ場所にドンと表示してくれてもいいかなと思いました。

  • パークが有効化された瞬間はちょっと目立ちますが、それ以降の主張が小さすぎ。気づかずしばらく戦っており、後ろからスタッフに教わることもありました

ちなみに、開発陣に聞いてみた「もっともやばいパーク」はリーパーのマイナーパークかもしれないとのこと。ショットガンで近接攻撃を行うヒーローなのに、右クリックでスラグ弾のようなものを発射して中距離に対応できるようになります。一昔前のロードホッグよりもやや強力なように思えました。

三人称視点で購入モード搭載、最大7ラウンドを戦う「スタジアム」

通常モードへのパークシステム導入とは別に、全く新しい対戦モードである「スタジアム」が追加されます。なんとFPS視点からTPS視点へと大改編が図られており、しかも購入システムを新搭載してキャラクタービルド要素が追加されています。最初に選択したキャラクターは完全に勝敗が決するまで変更できず、最大7ラウンドを4ラウンド先取で争います。

  • キャラクター選択画面。スタジアムモード実装当初は調整との兼ね合いもあり、ある程度人数が絞られるとのこと

  • 戦闘中は三人称視点。精巧に作りこまれたキャラクターモデルも普段はほぼ見えませんが、じっくり背中を眺めることが可能に

  • なお、アッシュは仕様上右クリックでADSすると一人称視点に戻ります。これがこのモードだと強い

  • 購入画面。すべてのキャラクターに固有のアイテムが陳列されており、パークよりはるかに複雑になっています

  • 特にこの「パワー」の項目が強烈。キャラクターの仕様を激変・大幅強化する項目が居並んでおり、ビルドに応じて全く違った体験が楽しめそう

今回試遊会であれこれ遊んだ中で、個人的に一番楽しかったのがこのスタジアムモード。よくわからない新モードはそんなに触らない性格ですが、それにしてもこのモードはめちゃくちゃ楽しめました。やはりこの購入システムの振り切れ方がパークどころではなく、キャラクターの限界を圧倒的に押し広げて拡張することが可能。うまくハマれば信じられないほど強い自分がすべてをなぎ倒して進撃することができ、これはなかなか今までのオーバーウォッチにはない体験だったように思います。

特に、いろいろ使ったなかでザリアの強さは群を抜いていました。バリアの生存能力と主武装の火力を高めることで別次元の存在感を発揮でき、DPSを紙切れのように吹き飛ばしていくことが可能。「エネルギーを80以上チャージするとビームが敵を貫通する」だったり、「エネルギーの上限を125まで拡張する」などという信じられないパワーアイテムが存在しており、明らかに“ぶっ壊れ”ていたように思います。

ただ、キャラクターを全く変更できない仕様上、ピックにはより慎重になる必要がありそう。筆者がザリアを出したところに相手がD.Vaを出してしまっており、手も足も出ていない様子が見られました。せっかくキャラ性能を後から変更できる購入システムなので、ハードカウンター対面時に有効なアイテムがあればよさそう。何なら、マテリアルシールドでパーティクル・キャノンのビームを多少減衰させられるようなアイテムがあってもいいと思います。

このようなキャラの再選択不可仕様、ハードカウンター対面時のアイテム購入については開発陣に質問してみました。「ザリアにD.Vaが出てきたんですか?それは厳しいハードカウンターですね。たしかにキャラクターを選びなおすことはできないため、アイテム購入で緩和させられるような施策も考えています。今はまだ話せませんが、こういったハードカウンター対策はすでに開発が進行中です」とのこと。

また、他ゲームのようにいわゆる“ファーム”や“オブジェクト”の概念が存在しておらず、敵がスノーボール(どんどん強くなっていくこと)していくと止められなくなることもありそう。この点については、「強力なプレーヤーには賞金首が設定されるので、キルすることでお金を稼ぐことができます。隙を見つけてチームプレーを行うことが重要です」と話します。

  • マップはちょっとだけコンパクトになった新仕様のようでした

全体的に振り返ってみると、このスタジアムモードにおいてキャラ強化要素自体は楽しめましたが、個人的に肝心の購入システム全体の流れはやや粗削りだったように感じなくもありません。購入のタイミングがラウンド開始時にしかなかったり、お金の貯め方に工夫が見られなかったり、キャラの変わりっぷり以外は逆に何も変わっていないように思います。開発陣はPvEに忌避感があるのかも知れませんが、ミニオンのような中立オブジェクトの導入でゲーム性ごと大きく変えてしまってもよかったように思います。

シーズン15は2月19日開幕!!

このほか、白人女性の新DPSキャラクター「フレイヤ」が導入されたり、かわいくキャッチーな新スキンシリーズの販売、武器スキン「ギャラクティック」、さらなるLE SSERAFIMコラボレーションなど新要素はてんこ盛り。シーズン15を数えてリリースからもうすぐ10年が経とうというゲームですが、大攻勢をゆるめません。個人的にはさらに先のシーズンで実装予定の“東京”をモチーフにした新マップもとても楽しみです。

  • 社食にスターバックスが入っており、ここにしかないBlizzard限定メニューが存在。この時はハースストーンとウォークラフト仕様でした

  • 本社オフィスにあったトレーサーの巨大スタチュー。2023年にアナハイムで開催されたBlizzConでも見たもの