今回はヨドバシカメラ マルチメディア横浜を訪ね、コンパクトデジカメの売れ筋を取材しました。

スマホの台頭を受けて長らく縮小傾向にあったコンパクトデジカメの売り場ですが、カメラ専門コーナーの松本耀平リーダーは、主流ではないものの根強い需要が育っていると解説します。「ニッチにいろいろと進化して伸びている印象ですね。スマホよりも高画質高倍率で撮れるコンパクトなカメラを求める動きは根強くありますし、キッズカメラのようなかわいらしいトイカメラを鞄にぶら下げる若い女性や、配信などを想定して動画もしっかり撮れるアクティブなカメラを求める人もいます」とのこと。

  • ヨドバシカメラ マルチメディア横浜のカメラ売り場。カメラ専門チーム・グループリーダーの松本耀平氏にナビゲートしてもらった

価格も、1万円を切る安価な製品から、レンズ交換式カメラに匹敵する10万円台の製品まで幅広く、購入層も総じて見れば老若男女を問わず、という状況です。「コンパクトデジカメ選びのポイント×3」を踏まえ、独自の進化を見せるコンパクトデジカメの売れ筋を追いかけていきましょう。

<コンパクトデジカメ選びのポイント×3>

  • スマホより高倍率ズームを求めるなら、2万円前後から選択肢が広がる。
  • スマホより高画質を求めるなら、10万円台以上の高級モデルが売れ筋の中心。
  • 防水性や耐衝撃性を重視するなら、アウトドア向けのタフモデルがターゲットになる。

※本文と写真で掲載している価格は、2025年1月14日12:00時点のもの。日々変動しているので、参考程度に見てください。

売れ筋:ズーム重視のシニアに人気「PIXPRO Astro Zoom」

バードウォッチングなどで高倍率の光学ズームを求める人に人気があるのが、KODAKの「PIXPRO Astro Zoom」シリーズです。光学40倍ズームの「AZ405」は40,180円、25倍ズームの「AZ255」は39,800円で、どちらもシニア層を中心によく売れているとのこと。

「動画もフルHDで撮れますが、やはり利用用途は写真ですね。車内広告や新聞で見た、と買いに来られる方が多いモデルです。AZ255なら336gですし、見た目以上に軽いのもポイントですね」

  • KODAK「PIXPRO Astro Zoom」シリーズ

売れ筋:街歩きの動画配信なら「VLOGCAM ZV-1 II」

逆に、動画撮影を重視する人に定番人気となっているのが、ソニーの「VLOGCAM ZV-1 II」です。シューティングクリップ「GP-VPT2BT」とバッテリー2個がセットの「ZV-1M2G BQ」が138,040円で売られていました。

「長らく続く部品不足の影響で品切れ傾向になっている人気モデルも少なくないのですが、こちらは比較的入手しやすい状況をキープしていますね。YouTuberの方によく選ばれています。写真ももちろんですが、暗い室内から明るい屋外に出ても白飛びしにくいなど、動画撮影でも強さを発揮します」

  • ソニー「VLOGCAM ZV-1 II」

売れ筋:趣味のタフ系は「Tough TG-7」

水辺や登山などのアウトドアのお供に人気があるのは、OMデジタルソリューションズの「Tough TG-7」です。水深15mの防水や100kgfの耐荷重、-10度の耐低温性を備える光学4倍ズームカメラで、取材時の価格は59,210円でした。

「キャンプ需要の高まりとともに人気が出た製品ですね。強力な防水性がありますし、外で楽しむさまざまなシーンにお使いいただけます」

  • OMデジタルソリューションズ「Tough TG-7」

売れ筋:仕事用のタフ系は「WG-1000」

一方で、工事現場などでの撮影に人気があるタフなカメラは、リコーイメージングの「WG-1000」とのこと。こちらも水深15mの防水性を備えており、建築現場の工程撮影に最適化した撮影モード「CALSモード」も用意しているのがポイントです。価格は36,800円でした。

「タフですし、首かけ2点吊りもできる仕様で、建築現場の定番になっていますね。エタノールなどでの消毒にも対応しているので医療現場でも使えます。もちろん趣味でも持ち出せますしね」

  • リコーイメージング「WG-1000」

売れ筋:コスパ重視でスマホ以上を求める人に支持される「KC-ZM08」

コスパ重視となると、1万円を切るトイカメラも子どもへのプレゼント需要がありますが、品質も求めるとなるケンコー・トキナーの「KC-ZM08」がよく売れているとのこと。光学5倍ズームレンズを備え、タッチパネル操作が可能な約148gのカメラで、取材時の価格は26,800円でした。

「このお値段でしっかりズームもできるということで支持されていますね。それ以上のズーム力を求めるとなると、KODAKの『PIXPRO Astro Zoom』シリーズが視野に入ってきますが、価格とのバランスですね」

  • ケンコー・トキナー「KC-ZM08」

はみ出し:在庫があれば定番人気の「IXY 650」と「GR IIIx」

取材時には売り切れとなっていましたが、「在庫があれば定番人気」という2モデルも教えてもらいました。

ひとつは、キヤノンの「IXY 650」です。光学12倍ズームが可能な2020万画素カメラで、バッテリー込みで約147gの軽量ボディが支持を集めているといいます。

「指名買いで探しに来られる方が多いモデルですね。4万円台前半の価格帯で、スマホよりも高画質かつ高倍率で撮影できます。そのうえ非常にコンパクトということで、シリーズを通して愛用している人が多いカメラです」

  • キヤノン「IXY 650」

もうひとつは、リコーイメージングの「GR IIIx」です。APS-CサイズのCMOSイメージセンサーを搭載した単焦点カメラで、需要に供給が追いつかない状況が長く続いています。入荷した際も、同店ではヨドバシゴールドポイントカードプラスを所持し、他の店舗でも同一型番を購入していない人に限り販売する、というスタンスを取っています。

  • リコーイメージング「GR IIIx」