日本のスタートアップ、ViXion(ヴィクシオン)が新しいアイウェア(メガネ)タイプのウェアラブルデバイス「ViXion01S」を商品化しました。従来モデルよりもデザインをふつうのメガネにグッと近づけたのが特徴です。プレス体験会で最新モデルをいち早く装着してきました。

  • ViXionの新しいアイウェアタイプのウェアラブルデバイス「ViXion01S」を体験してきました

見え方を改善する次世代アイウェアがより身近に

ViXionは、国内の大手光学レンズメーカーであるHOYAで、暗い場所や夜間に目が見えにくくなる夜盲症(やもうしょう)という病気に悩む人のための特別な暗所視支援メガネを開発していたメンバーが集まり、2021年に設立されたスタートアップ企業です。

2023年9月には、ViXionにとって最初のコンシューマー向けプロダクト「ViXion01」をクラウドファンディングを通じて販売。本機はメガネ、あるいはサングラスのような形をした、顔に装着するウェアラブルデバイスです。手元から遠くまで見たいものに視線を向けるだけで、ユーザーの「見え方」をフルサポートする「オートフォーカスアイウェア」と同社は呼んでいます。医療機器ではなく、メガネとしては分類されないスマートデバイスです。

  • 毛様体と呼ばれる目のまわりの筋肉が収縮して水晶体の厚みを変えることでピント調整を行う仕組みを、特殊なレンズが代替する機構を採り入れました

最新モデルは「ViXion01S」と名付けられました。“S”というアルファベットは「Standard」の意味。代表取締役CEOの南部誠一郎氏は「デザイン、使い勝手をより多くの人々が楽しめるようスタンダードにした」と思いを語ります。

2つの点が大きく変わった最新モデル「ViXion01S」

基本機能は、現行モデルのViXion01から大きく変わっていません。装着後に本体の掛かり具合を調整してから、瞳孔間距離や左右の目に合わせて視度を調整します。近さ5cmの手もとから遠くの視界がクリアに見えるだけでなく、ユーザーが「見たいもの」に対するピント合わせが素速く、自動で行われます。ViXionの開発責任者である内海俊晴氏は「人が最も自然に心地よく感じられる速度に、フォーカス合わせのスピードを最適化した」と説明します。

  • ViXionシリーズの開発責任者である内海俊晴氏

ViXion01Sが現行モデルのViXion01から大きく変わった点は2つあります。ひとつはデザインです。

ViXion01は、スポーツ用アイウェアをさらに近未来的にしたようなデザインでした。ガジェットファンを中心に好評だったものの、南部氏は2つの理由からデザイン変更に踏み切ったといいます。

「当社が想定していたよりも多くの人からViXion01に興味・関心をいただいたため、ふだん使うアイウェアとしてはデザインが斬新すぎる、という声が寄せられました。女性の方からもふだん使いしたい、という意見をいただいたことから、よりメガネらしいデザインにすることを決めました」

  • ふつうのメガネのようなデザインに近づけたViXion01S。写真は、アウターレンズを装着した状態です

  • こちらがViXion01。近未来的なデザインが話題を呼びました

「乱視など、個々人が抱える見え方の課題にも対応したいと考えました。ViXion01Sは、視力矯正に対応するアウターレンズが装着できます。アウターレンズに対応するため、デザインをより一般的なメガネに近づける必要がありました」

新モデルのデザインは、現行モデルに引き続きデザインファーム「nendo」が手がけました。

ViXion01Sは、現行モデルの課題とされた質量と装着時のバランスも改善しています。現行モデルの質量は約55gですが、最新モデルは基板の設計を見直して、各パーツの軽量化を徹底したことから、アウターレンズのない状態で約31gまで軽量化。アウターフレームを装着した状態でも約45gに収まり、装着時の負担が大幅に軽減されます。装着した時に左右どちらかに比重が傾かないバランスの良さも追求しました。

  • アウターレンズを外したメインの機構は約31gと軽量です

ViXion01Sは、バッテリーを充電して使うウェアラブルデバイスです。現行モデルは充電式のバッテリーが約2.5時間のチャージで満充電になり、以後は最大10時間まで連続使用できます。ViXion01Sのバッテリーは、約3時間のチャージで満充電すれば、最大15~20時間まで持続します。

  • 充電用の端子はUSB-C。初代モデルからバッテリーの持ちも改善しています

  • ノーズパッドで掛け心地の微調整ができます

  • ViXion01Sの専用ケース

新製品の投入を急いだ理由は?

最新モデルはクラウドファンディングのプロジェクトが開始したばかりですが、現行モデルのViXion01はメーカーの直販サイトやAmazon.co.jpなどのECストアで取り扱われています。

ViXion01Sも医療機器ではないオートフォーカスアイウェアであることから、クラウドファンディングが成功すれば、その後はViXion01と同様の販売形態になることが予想されます。ただ、乱視の矯正効果などを備えるアウターレンズは医療機器となるため、これを取り扱える眼鏡店などで買い求める必要があります。

ViXionが想定する最新モデルのターゲットについて、南部氏は「現行モデルは当初想定していた目の病気を抱える方々だけでなく、老眼、あるいは老眼と近視のように見え方に関する複数の悩みを抱えている方々からも、発表直後から強い引き合いをいただきました。さらにユーザーフレンドリーなデザインになり、使いやすさを高めたViXion01Sをより多くの方々に届けたい」と話します。

  • 体験会に出席したViXionの南部誠一郎氏。新製品が狙うターゲット層について語りました

現行モデルから約1年で新製品を投入する理由は、「目に関する課題を抱えながら困っている人のために、当社の製品を少しでも改良できた時点ですぐにお届けするべきと考えた」からだといいます。

ViXionのオートフォーカスアイウェアを世に出してから、テクノロジーの力で「見え方の能力拡張」を実現するスマートデバイスを待っていたという応援の声が数多く寄せられたそうです。南部氏は「ViXionシリーズからアイウェアの未来が見えてくると信じています。ぜひ支援してほしい」と呼びかけました。

驚く軽さ! 装着感と見え方を体験できる場も用意

筆者も、プレス体験会でViXion01Sを試着しました。最も驚くべきことは、やはり装着感の快適さです。本機は、額の部分に搭載する測距センサーにより、ユーザーが視線を向けた対象との距離を素速く測ってフォーカス調整を自動で行います。電動部分を動かすためにバッテリーを必要としながら、その重さを感じさせることなく、まるで「ふつうのメガネ」のように軽々と掛けられました。

  • アウターレンズを着けない状態でも、オートフォーカスアイウェアとしての機能を存分に発揮します

ただ、レンズの口径は現行モデルと変わらず小さめであることから、装着した状態で首を振らなくても明瞭に見渡せる視野が若干狭いところが、次世代に向けた課題であると思いました。アウターレンズを装着することによって乱視を抱える人も使いやすくなっていますが、そもそもの装着感や見え方が自身に合うデバイスなのか、購入前に実機で確かめることが大切です。

ViXion01Sは、9月26日午前10時から11月21日まで、クラウドファンディングの「Kibidango」と「GREEN FUNDING」で支援の受付を開始しました。クラウドファンディングの特典価格は下記の通りで、興味を持った人は早めの支援申し込みがお得です。

【クラウドファンディングの特典価格(送料込み)】

  • 超早期割引価格:59,800円(200台限定)
  • 早期割引価格:62,800円(200台限定)
  • 特別価格:64,800円
  • 2個セット割引価格:119,600円
  • 3個セット割引価格:179,400円

クラウドファンディングの期間中、以下の店舗でViXion01Sが体験できます。仕上がりや装着感が気になる人は、店頭に足を運んで試してみることをおすすめします。

【体験できる店舗】

  • 蔦屋家電+
  • SHIBUYA TSUTAYA 4階「GREEN FUNDINGタッチ&トライ」ブース
  • b8ta Tokyo - Yurakucho
  • b8ta Tokyo - Shibuya
  • b8ta Koshigaya Laketown
  • b8ta Osaka - Hankyu Umeda