自宅からEC商品・レンタル商品などを発送できる三菱商事の「Smari(スマリ)サービス」に対応したパナソニック ハウジングソリューションズの宅配ボックス「e-COMBO LIGHT(イーコンボライト)スマリ対応タイプ」が、9月2日からフリマアプリ「メルカリ」で販売する商品を簡単に発送できる「らくらくメルカリ便」に対応。e-COMBO LIGHTに商品を格納するだけで、不在時でも集荷してもらえます。
らくらくメルカリ便は、ヤマト運輸が提供する配送サービス(宅急便コンパクト/宅急便)を用いて配送できるメルカリのサービスで、e-COMBO LIGHTでの集荷サービスは全国的に展開します。
宅配業者はオートロック付きの集合住宅でも、e-COMBO LIGHTが設置されている住戸であれば、パナソニック エレクトリックワークス社が展開するマンションインターホン「Clouge」(クラウジュ)などを使って各住戸前から荷物の集荷が可能となります。
宅配ボックスは7色のカラーと2つのサイズから選べる
パナソニック ハウジングソリューションズの電子錠付き宅配ボックス「e-COMBO LIGHT スマリ対応タイプ」は、スマリサービスを利用できるQRコードが扉に印刷されています。単3形アルカリ乾電池6本で駆動する電池式なので、電源工事が不要ですぐに設置できるのが特徴。マンションの場合は、各住戸前に設置するのはもちろん、各階のエレベーターホール前などにまとめて設置することも可能です。
本体は樹脂の二重構造になっています。内部はビールケースのような構造で堅牢性を担保しながら、外側はヘルメットなどで使われている材質を使用し、色あせしにくい素材を用いています。住宅と調和するように7色のカラーを用意しており、サイズは缶ビール24缶が2ケース入るミドルタイプと、12リットルのウォーターサーバーボトルが2つ入るラージタイプを取りそろえています。
パナソニック ハウジングソリューションズ 外廻りシステム事業部 商品企画部 部長の林伸昭氏はスマリサービスに対応したことによって、宅配ボックスの設置率をさらに向上させたいと語りました。
宅配ボックスは、新築においては戸建て住宅で約20%、集合住宅で約90%と非常に設置率が高いです。しかし、既築においては戸建て住宅が約40%、集合住宅では約4%と、伸びてはいるもののまだまだ少ないです。ここを普及させることで社会課題を解決すると考えています。我々メーカーだけではなかなか普及しませんが、各事業者が一体となってこういったサービスを伴った宅配ボックスやインターホンが設置されていけば、労働や物流、環境などの社会課題を解決し、ニューノーマルに対応した豊かな暮らしを実現していきたいと考えています」(林氏)
宅配ボックスでメルカリで販売する商品の発送が可能に
「e-COMBO LIGHT スマリ対応タイプ」で利用できる三菱商事の「Smariサービス」は、EC商品やレンタル商品の発送をよりスムーズに行えるサービスで、スマホ1つで発送手続きができ、手書きの送り状記入などの面倒な手続きが不要なのが特徴です。
ECサイトで購入した商品の発送や返品、レンタルサービスやサブスクリプションサービスなどの商品の返却、商品の修理や補修のための発送作業などを、宅配業者やコンビニに持ち込まずに自宅から非対面で行えるのが特徴です。
2023年4月から首都圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)でYahoo!フリマや楽天ラクマ、ZOZOTOWNなど約20社と提携。今回、メルカリの「らくらくメルカリ便」では全国での対応が可能となりました。
発送の流れは以下の通りです。
インターホンとの連携で宅配業者がマンションのオートロックを解除できる
もう一つの特徴がマンションインターホンとの連携です。Clougeなどのインターホンを活用することで、宅配業者がオートロックを解錠して宅配ボックスの荷物を集荷できます。
集合住宅では、宅配業者がワンタイムパスワードを使って、エントランスのマンションインターホンの親機でオートロックを解錠し、各住戸前に設置した宅配ボックスe-COMBO LIGHTからの集荷が可能になります。
「今回、パナソニックと三菱商事が連携したことで、マンションのオートロックはもちろん、共連れ防止のために第1ゲートや第2ゲートを設けるダブルオートロックなどの高いセキュリティを確保するマンションでも、指定された業者の方が各住戸の前まで行けるようになり、今回のサービス展開を実現できました」(パナソニック エレクトリックワークス社 電材&くらしエネルギー事業部 マーケティングセンター 商品営業企画部 システム商品部長の楢本陽介氏)
集荷の流れは次の通りです。マンションロビーのインターホンで「*」を2回押し、部屋番号を指定します。
サービスの事業者一覧が出るので「スマリ」を選びます。集荷を依頼した際に設定した暗証番号がロビーのインターホンにも登録されるので、暗証番号を押して呼び出しを押すと、オートロックが解錠できてマンション内に入れます。
マンション内に設置されたe-COMBO LIGHTは、戸建て住宅と同様に暗証番号を入れることで開くので、それで集荷が完了する流れです。
e-COMBO LIGHTがらくらくメルカリ便に対応したことによるヤマト運輸側のメリットについて、ヤマト運輸 執行役員(ネコサポ事業開発、エリアマネジメント推進 統括)の櫻井敏之氏は「物流問題の解決というよりは顧客満足度向上にある」と語りました。
「効率については一部良くなる側面は当然あると思いますが、当社としてはお客様が荷物を発送されたり、受け取る選択肢が増えること、そこに柔軟に対応することが大事だと思っています。結果的にお客様をお待たせしない形にもつながっています」(櫻井氏)
メルカリ 執行役員 VP of Business Development / Logistics Marketplaceの進藤智之氏は、物流業界の「2024年・2025年問題」に対する取り組みについて次のように語りました。
「今年は、置き配で配送される『エコメルカリ便』を開始し、メルカリ便そのものを初期設定にするなど、新たな物流の課題に大きく取り組んでいます。スマリボックスをはじめとする非対面筐体での発送にも非常に力を入れており、お客様のありとあらゆる利便性を追求してきました。置き配が前提となる配送サービスを拡充しており、自身のライフシーンに合わせた柔軟に利用していただきながら、再配達を減らすことでドライバーの負荷軽減も期待できると考えています」(進藤氏)
住宅設備メーカーで構成される一般社団法人リビングアメニティ協会の調査によると、宅配ボックスの出荷数量は年々右肩上がりに上昇しており、2022年度の宅配ボックスの出荷数は24万6564個で2013年度に比べて7倍以上に伸びているそうです。
コロナ禍で宅配業者の置き配対応も進み、宅配業者にとっても消費者にとっても利便性が向上しました。今回全国で利用できるのはらくらくメルカリ便だけですが、今後さらにさまざまなサービスに対応することで、e-COMBO LIGHT スマリ対応タイプは消費者にとって便利な宅配ボックスになっていきそうです。