米Intelは4月17日、ニューロモーフィック・システム「Hala Point(開発コード名)」の構築完了を発表した。サンディア国立研究所への導入を予定しており、人間の脳に着想を得たAI研究における活用に向けて利用されるという。

  • Intel「Hala Point」構築完了 - フクロウの脳とほぼ同等のニューロン容量実現へ

Hala Pointは、第1世代大規模研究システム「Pohoiki Springs(開発コード名)」の後継に当たるシステム。Intel Loihi 2プロセッサを搭載した大規模ニューロモーフィック・システムで、20 Peta-opsというう高い演算処理性能が特徴。GPUやCPUのアーキテクチャーに匹敵、上回る効率でディープ・ニューラル・ネットワークの処理を行えるとしており、科学や工学の問題解決、物流、スマートシティーのインフラ管理、大規模言語モデル(LLM)、AIエージェントのようなAI利活用における継続学習ワークロードに革新を起こせる可能性があると主張されている。

ハードウェアとしては6ラックユニットのデータセンター向けシャーシが外装に採用されており、Intel 3プロセスで製造した1,152基のLoihi 2プロセッサを統合。140,544個を超えるニューロモーフィック・プロセシング・コアに最大11億5,000万のニューロンを分散させ、1,280億のシナプスで結合。補助演算用に2,300基を超えるx86プロセッサも組み合わせている。

  • 従来のAIシステムとは異なるアーキテクチャで高い性能・効率を目指す

  • パッケージされた様子

  • チップ単体はかなり小さい

この構成で処理、メモリー、通信チャネルを1つの超並列化ファブリックに統合している点が最大の特徴。システム全体でメモリー帯域幅は毎秒16PB/s、コア間の通信帯域幅は3.5PB/s、チップ間の通信帯域幅は5TB/sを実現しているという。

Hala Point自体は神経科学モデリング用ではない一方、生物学にヒントを得たスパイキング・ニューラル・ネットワーク(SNN)モデルを適用すると、11億5,000万ニューロンを人間の脳の20倍高速に、より低容量の際には最大200倍高速に実行することが可能だという。これはフクロウの脳やオマキザルの皮質とほぼ同等だとしている。

  • 納入されるHala Point