ヤマハは、AI生成ツール研究会「ARS」が進める音楽制作実証実験に協力し、同社の「VOCALOID β-STUDIO」が開発するAIを活用した歌声合成の試作プラグイン「VX-β(ブイエックス ベータ)」を提供した。

  • AI生成ツール研究会「ARS」が進める音楽制作実証実験に協力し、歌声合成の試作プラグイン「VX-β」を提供

「VOCALOID β-STUDIO」は、合成音声の常識を打ち破ることを目的とする研究スタジオとして誕生、2023年8月には、音楽制作ソフト(DAW)上で歌声合成を可能にするAIを活用した試作プラグイン「VX-β」を抽選制で一般公開した(2024年3月31日をもって実証実験は終了。配布した「VX-β」は使用できなくなる)。

今回のARSが進める音楽制作実証実験では、プロの作曲家が「VX-β」を用いて楽曲を制作することで、AI歌唱がもたらす楽曲や制作プロセスの新たな価値を検証するというもの。制作された楽曲のパラデータやMIDIデータ、セッションデータも公開することで、これらデータを用いた二次創作の可能性を探求するとともに、新たなビジネスの展望についても考察を進める。

ヤマハは、この実証実験に賛同し、シンガーソングライター・Elleyの歌声をベースにした、プロ音楽クリエイター向けのVX-β専用ボイスバンク「L(エル)」を新たに開発・提供した(L」については一般配布は予定されていない)。「L」は特にポップスのジャンルに強みを持ち、メインボーカルからコーラスまで幅広くこなせる「プロの音楽制作現場で使える」のを目指して開発したという。ヤマハは音楽制作を生業とするプロの音楽家に「VX-β」を提供することで、いわゆるボーカロイド楽曲といった特定のジャンルに限らない幅広い音楽ジャンルで、従来の歌声合成の常識を覆すような楽曲が生み出されるのに期待を寄せているとのこと。

  • 浅田祐介氏

  • 田辺恵二氏

  • 中山翔吾氏

実証実験には現在、浅田祐介氏、田辺恵二氏、中山翔吾氏をはじめとする音楽クリエイター約40名が参加しており、その楽曲はARS公式ウェブサイトなどで公開されている。

  • 音楽制作ハッカソンイベント「ARS presents VX-β 作家ソン(作家×ハッカソン) supported by Yamaha VOCALOID β-STUDIO」を開催

さらにARSは、実証実験に参加したクリエイターを対象に、「VX-β」を用いた音楽制作ハッカソンイベント「ARS presents VX-β 作家ソン(作家×ハッカソン) supported by Yamaha VOCALOID β-STUDIO」を、2024年4月6日から7日にかけて開催する。同イベントでは、当日までに制作された楽曲を紹介するとともに、プロ音楽クリエイター同士が短時間で音楽を共同制作するハッカソン形式の試みも行い、AI歌声合成技術とプロ音楽クリエイターの発想が掛け合わさった「未来のヒット曲」の創出に挑戦する。開催日時は2024年4月6日(10:00~12:00)と7日(15:00~18:00)。4月6日はZoomによるオンライン公開で、7日はヤマハ銀座コンサートサロン(会場)とオンライン(Zoom)の併用となる(両日ともオンライン配信を予定)。6日は実証実験紹介のほか、ARS代表の浅田祐介氏、共同代表の山口哲一氏、ゲスト音楽クリエイターによるトーク、これまでに制作された楽曲紹介、クリエイター同士による作家ソンのチームマッチングという構成で、7日は作家ソン制作楽曲プレゼンテーション、楽曲発表、プロ作曲家によるスペシャルデモパフォーマンスなどが予定されている。一般視聴はこちらから申し込めるが、先着90名となっているので早めの申し込みをお勧めする。