MMD研究所は3月5日、2024年2月に実施したMNOのシェア・満足度調査の結果を発表した。メインブランドからサブブランド/オンライン専用ブランドへの移行傾向は続いているものの、そのペースは落ち着きつつあるようだ。
18歳~69歳の男女40,000人のうち、通信契約しているスマートフォンをもっている人のメイン/サブ(利用している人のみ)の通信サービスを聞いた結果が次のグラフだ。なお楽天モバイルについては、これまで「Rakuten UN-LIMIT VI」「Rakuten最強プラン」などその時々の提供プラン名で調査していたが、今回から「楽天モバイル(MNO)」とされている。
メイン利用の通信サービスの上位は、「docomo」27.9%、「au」15.9%、「SoftBank」10.9%とキャリアのメインブランドが並ぶ。それに続くのは「Y!mobile」10.0%に「UQ mobile」8.5%のサブブランド2つで、これに「楽天モバイル(MNO)」の7.8%が続く。以下が各キャリアのオンライン専用ブランドで、「ahamo」6.0%、「povo」2.3%、「LINEMO」1.2%という順だった。
メインブランド/サブブランド/オンライン専用ブランドを足したキャリアごとの比率でいうと、NTTドコモが33.9%、KDDI(au)が26.7%、ソフトバンクが22.1%、楽天モバイルが7.8%となっている。
全ブランドを併せたMNO全体の占有率は90.4%で、2023年9月の前回調査から0.2ポイントの増加。オンライン専用ブランドの合計は0.3ポイントの増加、キャリアサブブランドの合計は0.6ポイントの増加となっており、メインブランドからサブブランド/オンライン専用ブランドへ移行する傾向自体は続いているが、前回調査ではそれぞれ1.1ポイント/1.9ポイントの増加だったので、移行ペースは落ち着きつつあるようだ。
直近4回のメイン利用の通信サービスシェアの推移をまとめたのが次の表。この表ではMVNOの利用者を母数から除いているため、各ブランドのシェアは先のグラフとは異なるものとなっている。
利用率を落としているのは「docomo」「au」の2ブランドのみ。2023年9月の調査では前回から利用率ダウンとなっていた「SoftBank」「LINEMO」「povo」は増加に転じている。増加幅が大きいのは「UQ mobile」の0.6ポイント増、「楽天モバイル(MNO)」の0.4ポイント増で、とくに「UQ mobile」は0.7ポイント増→0.9ポイント増→0.6ポイント増と直近3回の調査で常に利用率アップ幅1位を維持している。
各ブランドの利用者300人ずつを抽出し、それぞれの総合満足度を聞いた結果が次の表。
首位は前回2位の「LINEMO」で、スコアとしては9ポイントアップ。以下、2位「povo」(前回3位)、3位「ahamo」(前回1位)と各キャリアのオンライン専用プランが続く。オンライン専用プランは各キャリアのメインブランド/サブブランドに比べるとシェアは小さいが、満足度では上位になっているのが興味深い。
それ以外では、「Y!mobile」が前回調査からスコアを17ポイント落とし、順位も4位から6位に後退しているのが気になるところだ。
最後に、利用しているサービスについて家族や友人に薦めたいかどうかを10点満点でスコア化し、それを集計して算出するNPS(ネット・プロモーター・スコア/顧客推奨度)のグラフを見てみよう。
これまでNPSの調査では各キャリア(楽天モバイル含む)のメインブランドが低めのスコアでオンライン専用プランは比較的高め、サブブランドはその中間という傾向が続いており、今回も多くはその傾向に従っているといえるのだが、「Y!mobile」はその例外といえ、前回から12.4ポイントダウンの-31.7ポイントと、メインブランドに近いスコアになっている。
それ以外のスコア変動は、減少しているのが「docomo」(8.0ポイント減)、「au」(5.6ポイント減)のふたつ。他はスコア増で、もっとも増加幅が大きかったのは「楽天モバイル(MNO)」の7.3ポイント増だった。ゼロ円プラン(Rakuten UN-LIMIT)の終了というサービス方針の転換の影響が落ち着き、ユーザーニーズとサービス内容が合致してきたのであれば喜ばしいところだ。
調査概要
- 調査名:2024年2月MNOのシェア・満足度調査
- 調査期間:2024年2月2日~2月5日
- 有効回答:<予備調査>40,000人 ※人口構成比に合わせてウエイトバックを実施
<本調査>2,700人 ※各サービスの利用者300人ずつ - 調査方法:インターネット調査
- 調査対象:<予備調査>18歳~69歳の男女 <本調査>MNO利用者
- 設問数 :<予備調査>12問 <本調査>9問