シャープは2月15日、同社初となるEV(電気自動車)用コンバータを発売し、EVと住宅をつなげるV2H(Vehicle to Home)システムを構築。太陽光発電による電力を中心に、蓄電池と家電、EVの3つを連携させる「Eeeコネクト」システムを提供開始すると発表した。

  • シャープ、業界最小・最軽量の住宅向けEV用コンバータ3月発売 - 太陽光発電の“3連携”開始

  • EV用コンバータ「JH-WE2301」

Eeeコネクトでは太陽光発電、蓄電池、EVの3連携制御により、従来の太陽光発電と蓄電池に加えて、EVの充放電も一括制御できるのが特徴。太陽光で発電した電気を直流(DC)のままEVに充電可能で、効率の良い自家消費が行え、EV走行に最大限活用できるとする。

新たに発売するEV用コンバータ「JH-WE2301」は、EVとパワーコンディショナ間の相互通信・電圧調整・制御の機能を備え、EVの充放電に使用するもの。業界最小・最軽量を特徴としており、住宅の壁に設置可能なサイズなため、スペースが限られる駐車場でもEV付近の壁に省スペースで設置できるとする。発売日は3月26日で、価格は165万円。

「PV EXPO 第16回 太陽光発電展」(2023年開催)での参考出展時に「2024年春発売予定」とアナウンスしていたもので、今回発売日など詳細が決まったかたちだ。販路については、シャープが太陽光蓄電池を販売しているチャネルを中心に、EVやクルマ関係の新たなチャネルも含めて提案していく考えだという。

  • EV用コンバータの設置イメージ

さらに、エネルギー機器を自動制御するシャープのクラウドHEMS(Home Energy Management System/住宅で使うエネルギーを管理制御するシステム)サービス「COCORO ENERGY」においても、EV連携機能を新たに搭載。たとえば、台風などで気象警報が発令されると、蓄電池だけでなくEVにも充電することで停電に備えられる「気象警報連携」に対応する。

機器保証に加えて、コールセンターによる24時間365日対応、自然災害補償、偶発事故に対する損害補償などの有償サービスも用意し、夜間に発生したトラブルへの問合せや、落雷・台風・EV用充放電コネクタの落下といった偶発事故による破損なども補償対象としている。

シャープでは、太陽光発電、蓄電池、家電、EVがつながるEeeコネクトシステムと、アフターサービスも含めたトータルソリューションを提案することで、今後も再生可能エネルギーの普及拡大に寄与していく。

なお、同システムは東京ビッグサイトで2月28日から3月1日まで開催される「PV EXPO 第18回 太陽光発電展」に出展予定で、場所は東6ホール E50-40。

V2Hシステム・Eeeコネクトの詳細

Eeeコネクトは、太陽光発電システム、クラウド蓄電池システムとV2Hシステム、クラウドHEMSサービス、家電、住設機器を連携させ、太陽光で発電した電気を有効活用する、シャープ独自の住宅用エネルギーソリューション。1959年に太陽電池の開発に着手して以来、60年以上エネルギー事業に取り組み、AI技術の開発にも携わるシャープならではのトータルソリューションとアピールする。

太陽光発電+蓄電池+EVの3連携型のシステムは他社でも展開しているが、シャープのEV用コンバータ「JH-WE2301」は、太陽光発電と蓄電池とDC連携可能なV2Hシステムにおいて業界最小・最軽量をうたっている点や、自社で提供しているクラウドHEMSサービス「COCORO ENERGY」との連携、機器保証だけでなくV2H特有の困りごと解決のためめの有償保証サービスを提供する点を強みとしている。

新製品のEV用コンバータは、屋内外への設置に対応。太陽光発電システムなしで、V2H単体、あるいは蓄電池とV2Hの組み合わせとして使用することもできる。車両側の定格充電電力/定格放電電力はどちらも6kW、パワコン側の定格入出力電圧はDC340V。本体サイズと重さは505×194×347mm(幅×奥行き×高さ)/23kgで、充放電コネクタケーブルの長さは7.8m。

Eeeコネクトシステムでは、太陽光で発電した電気を交流(AC)に変換することなく、直流(DC)のままEVに充電できるので、効率良く自家消費できるのを強みとしている(効率の数値については非公開)。日中など発電量が多いときには、自宅にある蓄電池とEVへの同時充電も可能。また、万が一自宅が停電した場合には、停電していない地域でEVを充電してから家に戻り、EVから自宅へと放電しながら蓄電池も充電でき、停電の備えとしても有効活用できるとしている。

  • V2Hシステムの活用イメージ

COCORO ENERGYに追加したEV連携機能としては、EVの気象警報連携、EV接続忘れ通知などに新たに対応。具体的には、台風などの気象警報と連動して、従来の蓄電池に加えてEVも充電することで停電に備えられるとする。またV2Hシステムでは、EVに充放電コネクタを取り付けた後、通信を開始するためEV接続操作が必要となるが、COCORO ENERGYでは指定時間にEV接続操作がされていない場合、スマートフォンにインストールした「COCORO HOME」アプリ(無料)から通知が届くため、EVの充電忘れを抑止できるとのこと(一部車種によっては、操作不要の場合がある)。

有償保証サービスについては、シャープエネルギーソリューション、損害保険ジャパン、SOMPOワランティが連携して提供。最大15年まで延長でき、購入後も安心して使えるようにした。

なお、Eeeコネクトの3つのEは、エネルギー(Energy)、地球環境(environment)、経済的(economy)の頭文字をとって名付けたもの。機器やサービスをいい(良い)感じにつなぐことで、太陽光発電によるエネルギー(Energy)を、地球環境(environment)へ配慮し、経済的(economy)な活用することをめざすとしている。