今週はMicrosoftの人事面で大きな動きがあった。MicrosoftのEVP & Chief Product OfficerだったPanos Panay氏が退職を表明した。同氏は2004年4月からMicrosoftに参加し、Surfaceをはじめとするハードウェア部門に2008年1月から所属。その後、CVPとして責任者を務めてきた。
外国(および国内の外資系)のIT企業は人の入れ替わりが早く、ほかの企業に移籍するのは珍しいことではない。だが、過去にはWindowsとOfficeチームを手がけてきたJoe Belfiore氏、Panos氏と同様の役割を担っていたTerry Myerson氏もMicrosoftを去っている。Windowsの動向を追いかけてきた筆者としては寂しい限りだ。後任はCVP & Consumer CMOのYusuf Mehdi氏だと思われるが、一人のユーザーとしては高品質なWindowsと使いやすいWindowsデバイスを期待するしかない。
さて、そのWindowsの情勢も変化が生じた。Microsoftが現地時間2023年9月21日に開催したオンラインイベントにて、2023年9月26日に次のWindows 11(おそらくバージョン23H2)の提供を開始すると発表した。Windows Copilotはもちろん、Copilotウィンドウなどに直接数式や文字列を書き込むWindows Ink Anywhere、(厳密にはWindows 11の機能ではないが)Windows CopilotでDALL-E3による画像生成を行う機能を備える。一部を除けば月例更新プログラムを適用している環境では珍しくないのだが、タブに対応したエクスプローラーの使い勝手は少しずつ改善しているので、期待していいだろう。
上記のイベントではMicrosoft 365 Copilotに多くの時間を割いていたが、個人的に注目していたのはSurfaceシリーズの新モデル。現在のメインマシン(デスクトップPC)を組み替えるのは少々骨が折れるため、ハイエンドGPUを搭載したノートPCを待っていた。
そこで発表されたのは、Surface Laptop Go 3とSurface Laptop Studio 2だ。確かに後者ならGPUの要件は満たすのだが、SurfaceシリーズのRealtek High Definition Audioはステレオミキサーが使用できず、オンライン発表会で支障が生じる。ドライバーを入れ替えて強制的に有効化する方法は(もちろん自己責任)、過去のSurface Proシリーズで試した範囲では失敗した。ちなみにMicrosoft Storeでは5種類のSurface Laptop Studio 2が用意されており、一例として、第13世代Intel Core i7・メモリ 16GB・SSD 512GBで336,380円、第13世代Intel Core i7・メモリ 64GB・SSD 1TB・GeForce RTX 4060で536,580円だ。
メインPCうんぬんと同時に、フォロー仕切れていないWindows Insider Previewのチャネル用PCにSurface Pro 10(仮)があれば……と思っていたが、こちらも期待が外れたしだいだ。これはあくまで筆者の望みであって、持ち運んで外出先で使用するのであれば、Surface Laptop Goシリーズは使いやすい。Surface Laptop Studio 2も、スペックや前モデルの使用感を踏まえると期待を裏切らないはず。個人的に少々残念なのは、Surfaceシリーズ自身のハードウェア的進化が滞り、スペック向上にとどまっていること。Microsoftがハードウェアビジネスを継続するのかも興味深いところだ。
駆け足でMicrosoftのイベント概要を紹介したが、おおむね予想どおりの内容で特に目新しい発表はなかった。それでもWindows 11最新バージョンのリリース日が明確になったのは収穫だ。