ソニーは、デザインを一新し、“世界最高”のノイズキャンセリング(NC)性能を備えた完全ワイヤレスイヤホン「WF-1000XM5」を9月1日に発売する。価格はオープンプライスで、店頭価格は42,000円前後を見込む。カラーはブラックとプラチナシルバーの2色。

  • WF-1000XM5(プラチナシルバー)

  • WF-1000XM5(ブラック)

強力なNC機能を備え、LDACコーデックによるハイレゾワイヤレス伝送にも対応したソニーの完全ワイヤレスイヤホン「WF-1000XM4」(2021年発売)の後継機種。NC、音質、通話品質において「3つの『最高』を兼ね備えた最高峰モデル」と位置づけ、JEITA(電子情報技術産業協会)基準に基づく“世界最高ノイキャンの完全ワイヤレスイヤホン”を掲げて展開する。

なお、1000Xシリーズの完全ワイヤレスイヤホンには“M2(マークツー)”が存在しないので、初代WF-1000Xからひとつ飛ばしてWF-1000XM3WF-1000XM4に続く「M5だけど4代目」というナンバリングになっている。WF-1000XM4については、直販ストアでは7月25日時点でまだ注文可能だが生産を完了しており、今後はWF-1000XM5へ切り替えていくとのこと。

ソニー1000Xシリーズの音をよく知る、ライターの山本敦氏に実機を試してもらったインプレッションは下記の通り。弊誌では後日、最上位Xperiaと組み合わせた詳細なレビューを公開予定だ。

■ライター・山本敦氏のコメント

あのフラグシップの1000Xシリーズがずいぶんと小さく、まるで“1000X mini”のようになってしまったように見えますが、内容は前機種よりもさらに充実しています。

特にサウンドはまた飛躍を遂げて、感性に響く生々しさが増しています。ノイキャンは強力ですが、同時に上品でもあり、効果のキツさに悩まされることなくリスニングに深く没入できる仕上がりはさすがです。広い帯域にまんべんなくスムーズな消音効果がかかります。

WF-1000XM5の詳細

独自の新チップやイヤーピースでNC性能を高め、ハイレゾワイヤレス伝送や音質補正機能「DSEE Extreme」などを盛り込んで強化した前機種WF-1000XM4のコンセプトを踏襲。

WF-1000XM5では前機種比で20%ノイズを低減するよう設計しており、独自開発の新ユニット「ダイナミックドライバーX」などで音質も強化。通話品質をはじめ、機能面などにもさらに磨きをかけた。

プロセッサ構成は、統合プロセッサー「V2」と高音質ノイズキャンセリングプロセッサー「QN2e」の計2基に増強(従来は「V1」チップ1基搭載)。NC用のマイクは左右合わせて4個から6個(デュアルフィードバックマイク+フィードフォワードマイク)に増えており、こうしたパフォーマンス強化によって低域のNC性能を向上させたほか、周囲の環境にあわせたNC性能の最適化も図っている。

短時間ながら、飛行機のエンジン音のような轟音を流した状態でNC機能をテストしたところ、耳につくうるさい感じがWF-1000XM4よりもさらに抑えられているように感じられた。

新搭載の独自開発「ダイナミックドライバーX」は8.4mm径(従来は6mm)。ドーム部とエッジ部で異なる素材(非公表)を組み合わせた振動板になっており、「柔らかいエッジが沈み込む低域、軽量高剛性のドームが伸びのある高域を再生する」とのこと。

V2チップの24bit信号処理と、QN2eチップに入っている高品質DACアンプとの掛け合わせで更なる高音質を追求。機械学習を用いた独自の音質補正機能「DSEE Extreme」を搭載し、音楽ストリーミングサービスなどの圧縮音源もハイレゾ級サウンドにアップスケーリング可能だ。

通話品質も強化。現行のLinkBuds Sと同様に、機械学習を活用してユーザーの声を高精度にピックアップする「高精度ボイスピックアップテクノロジー」を継承。骨伝導センサーによるセンシングも採用して、同社の完全ワイヤレス史上“最高の通話品質”を実現したとする。

マットな質感とツヤのある2つの質感を掛け合わせた新しい“ミニマルデザイン”は、装着性と機能性を追求して生まれたもの。ソニーが持つ耳型データと感性評価を元に小型化し、多くの人にとって快適な使用できる形状に仕上げた。

前機種WF-1000XM4で特徴的だったマイク部の突起部は、アルミに微細孔を施した凹凸のないデザインに変更し、風切りノイズも低減。マットな部分はタッチセンサーを兼ねており、新たに4回タップすることでイヤホン単体での音量調整が可能になる。

Bluetooth 5.2準拠で、対応コーデックはSBC、AAC、LDAC。次世代Bluetoothオーディオ「LE Audio」をサポートし、対応機器との組み合わせでLC3コーデックも利用可能。低遅延なゲーム体験を提供するという。ほかにも、複数台のAndroidデバイスと組み合わせてのオーディオスイッチに新対応する。

操作性の面では、頭を動かして着信応答やAuto Playなどが行える「ヘッドジェスチャー」や、対応する機器とコンテンツの組み合わせで臨場感あるサラウンド体験ができる「ヘッドトラッキング」を新たに追加した。

ソニーのワイヤレスオーディオ機器と連携する「Sony|Headphones Connect」アプリには、直感的に自分好みの音質に調整できるイコライザー設定を追加。WF-1000XM5発売と同時に、対象製品すべてで利用可能になる。このほか、ソニー独自の立体音響技術を活用した音楽体験「360 Reality Audio」の認定モデルにもなっており、個人最適化が進化するという。

連続再生時間は前機種と同じく、イヤホン本体のみで最大8時間(NCオン)、NCオフ時は12時間。NCオン時は、付属の充電ケースと組み合わせて最大24時間再生できる。また、急速充電のスピードアップも図り、3分充電で60分再生可能にした(従来は5分充電で60分再生)。

一部のWF-1000XM4ではバッテリーに負荷がかかり、容量が減少するといった問題が起きていた(後日公開のソフトウェアアップデートで対処済み)が、WF-1000XM5では「今後そのような事象がより起きないようなかたちで対応した」(ソニー)としている。

ケースは従来よりもコンパクトなサイズになり、Qi規格のワイヤレス充電や、Xperiaからの“おすそ分け充電”に対応する。イヤホン本体は体積比で25%小さく、重さも片側約5.9gと軽くなった(前機種は片側約7.3g)。ケースも従来比で2g軽い約39gになり、体積比で約15%小型化してポケットに入れやすくした。

独自開発のノイズアイソレーションイヤーピースは新しい「EP-NI1010」に刷新。9月1日に単品発売も行い、価格はオープンプライス、店頭価格は2,000円前後を見込む。

柔らかいポリウレタンフォーム素材で高い遮音性や装着安定性を実現する点はそのままに、根元(音道管)の部分の厚さを薄く仕上げ、耳穴への圧迫感を軽減。従来と同じS/M/Lの3サイズに加え、SSサイズを新たに追加して幅広い耳のサイズに対応する。また、細かい点では開口部にメッシュを追加し、ユーザー自身で付着したゴミのクリーニングをしやすくした(代わりに、イヤホン本体に従来備えていたメッシュがなくなっている)。

製品とパッケージは地球環境に配慮し、再生プラスチックを本体の一部に使用。パッケージ素材は独自の「オリジナルブレンドマテリアル」でプラスチックフリーを実現している。